2003年から毎年この時期に東京で開催される恒例の「さくらんぼコンサート」、今回は今年ミュージック・パートナーに就任したチェコの名ホルン奏者にして指揮者のラデク・バボラークを迎えた彼のお国物を中心としたプログラムだ。まずはスメタナの交響詩「ブラニーク」。全6曲の連作交響詩「我が祖国」の終曲であるが、各曲の性格からして二曲ひと組と考えられる構成からこの一曲だけを抜き出すのは珍しい試みなのではないか。コンバス最大4本の小編成のオケを目一杯鳴らした演奏で、弦の厚みがない分金管や木管アンサンブルが強調され、強弱を丁寧につけた弦の表現と相まって、戦乱の後の勝利の凱歌という重厚さよりも、どちらかと言うと爽やかな気分が溢れる仕上がりとなった。とりわけ舞曲調の部分のドライブは本場感に溢れるものだった。続いては有名なモーツアルトのホルン協奏曲第3番変ホ長調と、それに続いてドニゼッティのホルン協奏曲ヘ長調という珍しい佳作。これはもう間違いなくバボラークの妙技を楽しませてくれる選曲だった。繊細で羽毛のように軽やかな弱音から逞しく輝かしい勇壮な強音まで、どこをとっても滑らかさを欠かさない文句のつけようのない音楽に只々聞き惚れるのみだった。そしてメインはドヴォルザークの交響曲第8番ト長調作品88。ここでも爽やかな気分は貫かれ、次から次へと湧き出るメロディを楽しんだ。盛大な拍手にアンコールはスラブ舞曲作品72-71。奏者達の気分的な盛り上がりもあってか、これはこの晩のオーケストラ・ピースでは一番の出来だった。
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