【被災地の100円惣菜】ゲストハウスの女将が断水続く地域の人々に届ける理由<能登島> (2024年2月21日)
能登半島地震による断水が「解消された」地域と「続く」地域がある能登島では、住民同士が互いに助け合う動きが始まっていました。 石川県七尾市の能登島。キッチンで行われていたのは味が染みた大根を中心にしたお惣菜のパック詰めです。 Qきょうは何食くらい? 「料理によって、出来上がりの数が違ってしまうので30パックずつくらい」 Qここは水は? 「ここは最初から、私が帰ってから出てます」 七尾市能登島地区は、今もほとんどの地域で断水が続いています。 22日にようやく県の水が通る予定ですが、実際に断水が解消するまでにはまだまだ時間がかかる見込みです。 能登島の向田町にある「能登島ゲストハウス葉波」のオーナー福嶋葉子さんは「お水もまだ出ないし、火も使えない家も多いってことなので、別に何かは食べてらっしゃるでしょうけどね。やっぱり手で作ったものを届けて伝わるじゃないですか。食べ物って」と語ります。 このゲストハウスがある地区は、井戸水を使っているため、先月下旬にはほぼ全域で断水が解消されました。 そこで福嶋さんたちは、水が出る同じ地区の人たちで協力し、水が出ていない地域に惣菜を作って運ぶ取り組みを考えました。 【「能登島ゲストハウス葉波」のオーナー福嶋葉子さん】 「全員がもうなにもできない状態になっているわけじゃないから。島の中でまず助け合いというか、お互いできることをやって。今回もこれは1パック100円頂こうと思っていて」 無料ではなく、あえてお金をもらうことには理由がありました。 【福嶋さん】 「自分も100円払うことで、またそれが募金の一部に回そうと思っているので、だから持って行ってみてどういう反応なのかわかんないですけど。『金とるんか』って言われそうだけど、『それの原資がないと次のことがもうできないよ』っていうことをわかってほしいという」 Q.(行ってみて皆さんの反応を?) 「どうなるかしらって感じね」 この日、おかずなど、およそ200パックを積んで断水が続いている島の東側に向かいます。 惣菜を並べ始めると… 「(惣菜を)広げるまでだめやろ」 「いいよいいよ」 「全部100円」 「これ餃子とこれお好み焼きキャベツいっぱい入っとる」 「それ2つもらおうか」 福嶋さんたちが作った惣菜を求め続々と住民が集まって来ます。 購入した人は「水はまだ断水やしだから助かります」 「(100円は?)安すぎます。本当に100円は、安いぐらいでありがたいです」と話していました。 別の町でも福嶋さんの惣菜は大人気。 購入者した人は、「大根の煮っころがしある」「ご馳走だよ」「またきてください」「またよろしくね」と福嶋さんに声をかけていました。 【福嶋さん】 「やっぱり人が作ったものは嬉しいなって思ってくれるのかなと思って良かったです。(価格の面でも心配されていたかなと思うんですが)いや全然大丈夫で。取り越し苦労でよかったです。結局人と人なので、そういう繋がりが細くならないようにというか、機会を作り出さないとなかなか難しい所はあるので。知ってる人も知らない人も顔なじみになるのがいいので顔合わせるのはいいかなと思います」 この出張販売、能登島の断水が解消されるまで毎週火曜日に行うということです。