読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

中島要「しのぶ梅 着物始末暦(一)」

2024年01月31日 | な行の作家
時代小説文庫(ハルキ文庫)2012年11月 第1刷発行2013年10月 第5刷発行259頁着物の染み抜き、洗いや染めと何でもこなす着物の始末屋・余一は職人としても腕は良いし、若くて男前なのですが不愛想で人と深く関わろうとしません難ありの客ばかり連れてくる余一の古い馴染で柳原土手の古着屋・六助余一の腕を認めながら敵対心を燃やす呉服太物問屋の若旦那・綾太郎余一に片想いをしている一膳飯屋の看板娘・お糸な . . . 本文を読む
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中山可穂「ダンシング玉入れ」

2023年12月27日 | な行の作家
河出書房新社2022年5月 初版発行207頁宝塚シリーズのスピンオフ作品孤高の殺し屋コリオレイナスに新たな依頼が届くターゲットは宝塚歌劇団月組のトップスター・三日月傑ヅカオタの協力員ハーミアとともに三日月の命をつけ狙うのですが果たしてコリオレイナスは任務を完遂できるのでしょうかまずは相手を知ることから始めよう、ということでハーミアの薫陶を受けたコリオレイナスはあろうことかヅカ沼にはまってしまい、三 . . . 本文を読む
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乃南アサ「家裁調査官・庵原かのん」

2023年12月25日 | な行の作家
新潮社2022年8月 発行345頁庵原かのんは赴任先の北九州市で少年係調査官として更生の可能性を信じて家庭や学校、友人との問題等で荒んだ少年少女たちの声なき声に今日も耳を傾けます「自転車泥棒」「野良犬」「沈黙」「かざぐるま」「パパスの祈り」「アスパラガス」「おとうと」何れも少年少女たちの一生を左右するような重い事件を扱っていますが、ミステリー色は薄く、同僚たちとの会話や飲食、東京に暮らすゴリラ飼育 . . . 本文を読む
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長野まゆみ「いい部屋あります」

2023年11月12日 | な行の作家
角川℮文庫2009年11月に筑摩書房より刊行された「白いひつじ」を改題のうえ、加筆修正して文庫化したもの海をみたことのない少年の、見知らぬ大人の男性との冒険から始まる物語その後につながるのは、うって変わって、一人の17歳男子が、大学進学をきっかけに上京した春の話部屋探しをしている彼が、これから通うこととなる大学の学食で見知らぬ男子学生に話しかけられ、そこからさらに不思議な流れに巻き込まれていきます . . . 本文を読む
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長野まゆみ「メルカトル」

2023年10月25日 | な行の作家
角川℮文庫2018年2月発行底本 2018年2月発行角川文庫解説・吉田篤弘生後まもなく、流木に乗って漂っていたところを拾われて以来、17年間、親兄弟も親戚も友人もなく、何事においても自らの感情を封じ込め、慎ましい生活を送ってきたリュス17歳で救済院を出て、ネオ・バロック様式のミロナ地図収集館の受付で働き始めますある日、静かな日々を送っていた彼のもとに、地図製作技師メルカトルなる人物から謎の地図が届 . . . 本文を読む
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西加奈子「夜が明ける」

2023年10月23日 | な行の作家
新潮社2021年10月 発行407頁15歳の時、高校で「俺」は身長191㎝の「アキ」と出会います普通の家庭に育った「俺」と、母親にネグレクトされていた吃音の「アキ」は、互いにかけがえのない存在になっていき、大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、「アキ」は劇団に入団しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、少しずつ2人の心と身体は壊れていくのでした思春期から33歳までの2人の友情と成 . . . 本文を読む
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中山可穂「銀橋」

2023年10月18日 | な行の作家
角川書店2018年9月 初版発行191頁宝塚シリーズ第3弾大劇場に棲みつく亡霊にワクワクした「男役」ヅカファンのヤクザの組長が主人公というぶっ飛んだ設定の「娘役」第3弾はひたむきに芸の道を突き進むジェンヌさんたちの愛と青春を謳いあげる「銀橋」銀橋とは舞台前方にあるオーケストラボックスと客席の間にあるゆるやかにカーブしている道のことで、二階席から見ると暗い中に淡いライトだけで浮かび上がる様子は幻想的 . . . 本文を読む
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中山可穂「娘役」

2023年06月20日 | な行の作家
角川書店2016年4月 初版発行211頁宝塚歌劇団の若手娘役・ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの男役・薔薇木涼をコンビを組むこととなりますほたるの娘役としての成長と薔薇木とのコンビ愛そして、そんな彼女を遠くから密かに見守り続ける孤独なヤクザ・片桐ほたると片桐のそれぞれの10年を切なく濃密に描きます前作「男役」のような恋愛幻想譚を想像していたのでやや拍子抜けでした序盤では荻原浩さん . . . 本文を読む
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にしのあきひろ「えんとつ町のプペル」

2023年02月16日 | な行の作家
幻冬舎2016年10月 第1刷発行2017年 2月 第15刷発行絵本です4000mの崖に囲まれ、外の世界を知らない町がありました町は煙突だらけ、そこかしこから煙があがり、えんとつ町に住む人は黒い煙に閉じ込められて青い空も輝く星も知りませんハロウィン祭の真っただ中、配達屋さんがうっかりゴミ山に落としてしまった心臓にゴミがあれこれくっついて生まれたゴミ人間町の皆からバケモノと罵られ、ひとりぼっちでいた . . . 本文を読む
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西加奈子「漁港の肉子ちゃん」再読

2022年12月10日 | な行の作家
幻冬舎2011年8月 第1刷発行329頁2021年制作のアニメーション映画を観て、こんなんと違うのでは?と思い再読しました2012年の過去記事を読んだら、多分同じところで泣いたし感想もほぼ同じで、敢えて新しく書かなくてもいい、書かない方が良いかな、と思いました過去記事は↓↓西加奈子「漁港の肉子ちゃん」いやぁ、本当に良い物語でした映画は声優さんが気に入らなかったし、色々不満はあっ . . . 本文を読む
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梨木香歩「f植物園の巣穴」再読

2022年11月27日 | な行の作家
朝日新聞出版2009年5月 第1刷発行2009年6月 第3刷発行193頁「椿宿の辺りに」を読んで姉妹作にあたる本作を再読しましたF植物園に転任してきた佐田豊彦は歯痛に見舞われ奇妙な出来事に遭遇するようになりますある時、椋の木の巣穴に落ちて、気づけば子供の体躯に…そこで出会った「坊」とともに故郷を歩き、過去の記憶を辿ることになります伏線が多く再発見の連続初読時は、どこからどこまでが夢で . . . 本文を読む
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梨木香歩「椿宿の辺りに」

2022年11月17日 | な行の作家
朝日文庫2022年7月 第1刷発行巻末エッセイ・傳田光洋 痛みから始まる「物語」の発見369頁三十肩と鬱に悩まされている皮膚科学研究院の山幸彦(通称・山彦)は治療で訪れた鍼灸師のすすめで祖先の地・椿宿に向かいますそこで屋敷と土地の由来、自らの名前の由来を知るのでした従妹の名前が海幸彦(通称・海子)屋敷の賃借人で親戚筋にあたる青年の名前が宙幸彦それらの名前だけでも興味津々時間や空間を超えた世界と現実 . . . 本文を読む
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砥上裕將「線は、僕を描く」

2022年09月03日 | な行の作家
講談社文庫2021年10月 第1刷発行解説・瀧井朝世388頁高校時代に両親を交通事故で亡くしてから心を閉ざしてしまっている大学生・青山霜介ひょんなことから水墨画の巨匠・篠田湖山に気に入られて内弟子になります反発するのは湖山の孫、千瑛自分は祖父に教えてもらえないのに何故?勢いで霜介に来年の湖山賞で対決しようと提案します生きる意味を見失っていた青年が未知の世界で切磋琢磨しながらコンクールを目指すことに . . . 本文を読む
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夏川草介「勿忘草の咲く町で 安曇野診療記」

2022年08月26日 | な行の作家
角川文庫2022年3月 初版発行解説・佐藤賢一338頁松本市郊外の梓川病院に勤めて3年目の看護師・月岡美琴風変わりな研修医・桂正太郎や先輩、同僚看護師、癖の強い医師たちと、地域医療ならではの患者との関りを通じて、悩みながらも前向きな毎日を送っています高齢者医療とは何か生きることと死んでいることの差は何か作中、桂正太郎は患者の家族に告げます病院近くに群生するカタクリに例えてカタクリは根を地中に深く張 . . . 本文を読む
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長嶋有「ルーティーンズ」

2022年04月11日 | な行の作家
講談社2021年11月 第1刷発行172頁「願いのコリブリ、ロレックス」「ルーティーンズ」の2編を収録小説家の『俺』と漫画家の『私』、2歳になる保育園に通う一人娘コロナ下で様々な不自由に戸惑いながらも、工夫を凝らしてルーティーンを繰り返す家族の日々を描きます先日の落語会御主人も噺家・金原亭馬久さんの春風亭一花さんが、夫婦二人が長時間一緒に家にいる辛さの話題をマクラにあげられていましたすごく分かりま . . . 本文を読む
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