角川文庫
2019年6月 初版発行
398頁
職場の上司である不倫相手に騙され鬱病になり、仕事もお金も居場所さえも失った25歳のエミリ
両親はエミリが10歳の時に離婚
父は北海道で新しい家族と、母も新しい年下の彼氏と東京のベッドタウンで幸せに暮らしており、たった一人の兄はアメリカ暮らし
唯一頼れるのは10年以上連絡をとっていなかった母方の祖父・大三おじいちゃんだけ
おじいちゃんの家に逃げ込んだものの寂れた田舎の海辺の暮らしになかなか馴染めず鬱々と暮らすエミリの心を救ったのはおじいちゃんの手料理と町の人々の優しさでした
プロローグ冒頭
「わたしには武器がある」
穏やかならぬ始まりにどうなるのかと思いきや…
本編冒頭
「わたしには武器がない」
おじいちゃんと釣った魚と近所の畑でもらった野菜を材料に二人で台所に立つようになってから少しずつ少しずつ心が癒されていくエミリ
一方的な失恋や昔の同僚の無神経な言葉に、たまの揺り戻しはありますが、いつも変わらずエミリを見守ってくれるおじいちゃんの美味しい料理とおじいちゃんが作った風鈴の“凛”という響き、町の人々の後押しもあり、エミリは再び自分の足で武器を手に立ち上がろうと決心します
そして、プロローグへ戻ります
エピローグ末尾
「しかも、私には武器がある。80年もの間積み重ねてきた「経験」という武器が、ある」
主人公は大三おじいちゃんだったかもしれませんね
エミリがおじいちゃんに餞別としてもらった小さな包丁のエピソードは泣けました
派手で男好きでどうしても好きになれなかった母・麻衣子とエミリが心を通わせていけたら素敵です♪
表紙カバーもいい感じです
森沢さん、好きな作家さんの一人だったのですが。。
2014年に読み始め2018年までで19冊。
でも、だんだん新鮮さが薄れてきちゃって。
他にも原田マハさんや小路幸也と共に「善人ばかりの優しい良いお話」は暫く休読中なのです。
まあ、もう暫くすると再開することになると思うのですがね。
私も久方ぶりの森沢さんで、好きな作家さんリスト(60人くらい)から、選んでみました!(^^)!