「シークレット・オブ・モンスター」
原題 THE CHILDHOOD OF A LEADER
2015年 イギリス、フランス、ハンガリー
【ムービープラス】
サルトルの短編小説「一指導者の幼年時代」をベースにした心理ミステリー
オープニングからBGMが緊張感を高めます
1918年、ベルサイユ条約締結のため、アメリカから政府高官(リーアム・カニンガム)が、妻(ベレニク・ベジョ)と息子・プレスコット(トム・スィート)とともにフランスにやってきます
まるで少女のように美しいプレスコットですが癇癪持ちで不可解な行動や言動を繰り返し周囲を困らせてばかりいます
この息子がやがてヒトラーを彷彿とさせる独裁者へ変貌を遂げていくという内容なのですが…
息子ばかりがおかしいのではなくて、両親を始めとした周囲の大人たちもおかしいです
息子にきちんと向き合おうとしない両親や家庭教師
ただ一人、彼を無条件に受け入れてくれていた小間使いの女性も甘やかすということでクビになってしまい、夫婦関係が子供への態度にも現れ、益々不安定になっていきます
大人の人間関係-特に男女の関係-が明らかにされないのもミステリー色を濃くし、一体どうなるのか最後まで目が離せませんでした
成長した少年には愕然としました
怖かったです
「マイ・ライフ(1993)」
原題 MY LIFE
1993年 アメリカ
【シネフィルWOWOW】
末期ガンを宣告され、余命幾ばくも無いと知った男性(マイケル・キートン)は産まれてくる我が子のために自分の姿をビデオで残すことにします
職場の仲間たちからメッセージをもらったり、長く会っていなかった幼馴染を訪ねたり、良好な関係とはいえない両親を招いたり、夫自身も死を見つめながらこれまで生きてきた自らの人生を振りかえることになるのでした
そんな夫を優しく見守る妻(ニコール・キッドマン)の姿に頭が下がります
これから出産という大仕事が待っているし、その時には夫はもうこの世にいないかもしれないというのに…
ニコール・キッドマンはいつも通りの安定感で良し
コミカルな面とシリアスな面を上手く表現するマイケル・キートンにヤラレタって感じです
自分や主人に置き換えて観てしまい何度も泣きました
家族を大事にしよう
強く思いました
でも、きっと直ぐに不平不満が出て言わなくてもいい余計なことを言ってしまうのよネ
「ホームワーク」
原題 MASHGH-SHAB
英題 HOMEWORK
1989年 イラン
【シネフィルWOWOW】
アッバス・キアロスタミ監督が小学校の生徒と親たちが宿題についてどう考えているかリサーチしたもの
朝礼で、始祖はアリ、打倒フセイン、イスラムは勝つ、を繰り返す生徒たちに驚きました
当時はそういうものだったのでしょうか
宿題をやってこなかったら罰を受ける、つまり打たれるのが当然と思っている生徒たち
忙しく疲れている親たちの37%は文盲で子供の勉強を見てやれません
ひとりの父親が「記憶力ではなく考える力が大事、魚を捕って与えるのではなく魚の捕り方を教えるのが大事」と語るのが印象的でした
なかにはこのような意見を持つ親もいたのですが、大部分は日々の暮らしに必死で子供のことを考える余裕も無かったようです
現在がどうかというと分らないのですが、30年前のイランの学校教育の状況が非常に悪かったのはわかりました
「私が愛した大統領」
原題 HYDE PARK ON HUDSON
2012年 イギリス
【ムービープラス】
第32代アメリカ大統領、フランクリン・ルーズベルトの知られざる素顔に迫った伝記ドラマ
ビル・マーレイが演じるルーズベルトに興味津々と思ったのは途中まで
従妹のデイジーだけじゃなく秘書とも…って、何それ?でした
当時は大統領の秘密を暴かない時代だったのですねぇ
今なら即辞任となりそうです
ドイツの侵攻に怯えるイギリス
アメリカの援助を乞う為、遥々イギリスから来た英国王ジョージ6世夫妻を描く辺りは面白かったかな
「英国王のスピーチ」よりこちらの方が夫妻のリアルを描いていたかも
国王の妻の台詞「望んだ人生じゃない、辛い」に日本の皇室に嫁いだ女性たちを思い出しました
「桜桃の味」
4Kレストア版
原題 TA’M E GUILASS
英題 THE TASTE OF CHERRY
1997年 イラン
【シネフィルWOWOW】
人生に絶望し自殺を決意した男が、土砂採掘現場を車で走りながら自殺を助けてくれる人を探しつつ、セメントの原材料採掘現場でひとりの老人に出逢い、世の美しさを教えられ、人生の意味を知るというシンプルな物語
『目で見ている世界は本当の世界とは違う、幸せな目で見れば違って見える』
哲学的ですね(^_^;)
登場するのはイラン人以外に、出稼ぎにきているアフガニスタン人やトルコ人など
イランと周辺国との関係もそれとなく描いています
男の自殺願望の理由が説明されないこと
結局、自殺したのかどうかはっきりしないこと
アッバス・キアロスタミ監督らしい映画でした
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