2015年 日本
台湾映画界の新星・姜秀瓊(チアン・シュウチョン)監督による現代女性のための珠玉のドラマ
故郷であり幼い頃に別れた父との思い出の場所である奥能登・珠洲市に帰り、父が遺した船小屋を改装して焙煎珈琲店『ヨダカ珈琲』を開いた岬(永作博美)
ヨダカ珈琲のすぐ近く、祖母が経営していた民宿の建物で暮らしているが金沢まで仕事に出かけ帰らないことも多いシングルマザーの絵里子(佐々木希)
生き方も価値観も全く異なる二人の女性の出会いと衝突、その後の相互理解と友情を美しい能登の海を背景に描いています
絵里子は、二人の子ども・有沙(桜田ひより)と翔太(保田盛凱清)を置いてきぼりにして何日も留守にしても平気だし、食事はインスタント食品ばかり
食事中も携帯優先で子どもが喧嘩すると怒鳴るような最低の母親
そんな母でも大好きな母なのですね
子どもたち、特に姉の有紗は忙しく働く母を気遣って、給食費が払えないこと、学校で苛められていること、母が連れてくる男(永瀬正敏)には本能的に危険を感じていること、など何も言えないでいます
そんな子どもたちに優しく接するのが岬で、母から得られない安らぎの場を岬の店に見い出します
しかし、岬の優しさを迷惑としか捉えない絵里子は、勝手なことをするな、と岬に抗議、岬の店に近づかないよう子供たちを厳しく叱ります
ある日、絵里子の男によってもたらされた岬の窮地を絵里子が救ったことで状況は一変
絵里子はヨダカ珈琲で働くことになり、もう家を空けることもなくなりました
親子3人で囲む食卓に子どもたちも明るい笑顔を見せるようになります
そして、岬と絵里子は互いを理解し友情を育んでいくのでした
そんな穏やかな毎日がずっと続くと思っていた絵里子たちでしたが、ある日岬の父親について衝撃の事実がもたらされるのでした
女性目線で描かれた女性の為の映画です
キツイ状況の中、一生懸命生きている絵里子
父への罪悪感から逃れられないでいる岬
主人公は岬なのでしょうが、突然廃屋だった船小屋にやってきて修繕、改築を済ませ珈琲店を開店、までの時間が短すぎて、現実離れしている感が否めませんでした
その点、どっぷり現実に浸かって疲れ果てている絵里子には容易に感情移入出来ましたし、彼女が本来の優しい女性、母親に変わっていくあたりは応援したくなりました
絵里子の祖母役の浅田美代子さんが、入院中のベッドの上で林檎を切り分けられるのがとてもお上手で感心しました
有紗と翔太へのごく自然で気負いの無い愛情が感じられてとても温かなシーンでした
この映画、永作博美ファン向け?
ただ、さいはての地で毎日繰り返される『おかえり』『ただいま』の言葉と美しい奥能登の海の風景には癒されましたけどね
>ただ、さいはての地で毎日繰り返される『おかえり』『ただいま』の言葉と美しい奥能登の海の風景には癒されましたけどね
本当に!!!この風景に本当にいやされました。
コーヒー飲みたくなりました。
家でコーヒーを淹れる時、岬が絵里子に教えていたように「ゆっくり」とかブツブツ言いながらやっています。
とても穏やかな気持ちになりますね♪
珠洲市をさいはてと呼ぶのは失礼ではないかとも思いますが地理的にそんな感覚なのでしょうか。