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クレメンス・マイヤー「夜と灯りと」

2022年03月12日 | 海外の作家


訳・杵渕博樹
新潮クレスト・ブックス
2010年3月 発行
233頁

ベルリンの壁崩壊から20年
「負け組」として生きる人々の12の物語を収録しています

少しだけ希望や明るい未来が見えるものもありますが、どの物語も暗いです、辛いです、厳しいです
しかし「負け組」の人間模様から社会的矛盾を批判したりはしておらず、ただ、物語を書き、人々を描いています
そこは救いです

物語にリアリティがあるのは旧東ドイツ・ハレ生まれの作家自身の体験の裏付けがあるから、とのこと
旧東ドイツ出身の人々にとって西側に馴染むのは容易なことではなかったのですね
簡単に馴染めた人もいたでしょうが、根本のところで変われない人は悶々として生きるしかないのです
自分の生まれ育った国が別のものになってしまう喪失感やアイデンティティの揺らぎは経験者にしか分からないと思います

映画「希望の灯り」の原作「通路にて」が収録されています
映画を観た後、探すもなかなか見つからず、少し時間が経ってからですがブロ友さんから某インターネットショップにあると教えて頂き入手しました
その後すぐ、登録しておいた古書店のサイトからも連絡があって「あら」でした
往々にしてよくある話しですね



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