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向田邦子「隣の女」

2021年05月11日 | ま行の作家
文春文庫
2010年11月 新装版第1刷
2017年11月    第11刷
解説・浅生憲章
新装版解説・中島淳彦
211頁

連続ドラマW、倉科カナさん主演で2018年に放送された「春が来た」を観て原作に興味を持ちました

「隣の女」
日々、ミシン内職で家計を助ける平凡な主婦が隣室の男女の睦言を壁越しに聞いたことを発端に飛び込んだニューヨークへの恋の道行きを描きます
これも、1981年、桃井かおりさん主演、TBSでドラマ化されています
古いですが探して観たいです

「幸福」
小さな工場で働く無口な青年は兄の婚約者だった女性とただ一度過ちを犯しました
再びその女が目の前に現れ…青年を慕うその女の妹、その女を見守る中年男性、青年を憎む兄
様々な愛が絡み縺れ傷つけあう姿を通して本当の幸福とは何かを問いかけます

「胡桃の部屋」
突然父親が失踪し、残された家族を守るため必死に働くしっかりものの次女
かつての父親の部下に何かと相談に乗ってもらううち、何を勘違いしたのか彼と結婚する気でいたのですが…
2011年、松下奈緒さん主演のNHKドラマ10は初回のみで挫折
どうしても松下さんの硬さが気になって仕方ありませんでした

「下駄」
会社に来るガランゴロンと下駄ばきの音が特徴の出前持ちの若者が父が他所の女性に産ませた異母弟であることが判明した男性
子供の頃から苦労をしたと聞き、何かと気にかけてやるのですが、徐々に自分の領域に入り込んでくる弟が鬱陶しくなり始めた矢先、会社が倒産
新しい就職先で、もうその店に出前を頼むことはなく弟と会うことも無くなるだろう思っていたところ、廊下からガランゴロンと下駄の音が聞こえてきました
怖いです~~~地味に確実に近づいてくる弟はただ兄を慕っているだけなのか、それとも…

「春が来た」
勤務先の取引先の男性と2人だけでお茶を飲むようになって5回目
今、この時の幸せを失いたくない思いから、見栄を張って自分の生い立ちや家族のことなどを飾って話してしまう女性
ところが嘘はつけないもので本当のことがバレてしまいます
もう終わりかと思いきや、男性は喜んで家に遊びにくるようになり女性の家族もまるで「春が来た」かのように大歓迎するのでした

連続ドラマWは現代風にアレンジされていましたが基本は同じです
ちょっとしたきっかけがあれば、人は明るく楽しく張り合いをもって生きていくことが出来るのです^^


向田さんの作品は結構キビシイですが、本質を捉えていていちいち納得させられるものが多いです


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