「存在のない子供たち」
原題 CAPHARNAUM
2018年 レバノン、フランス
【Netflix】
CS放送を録画したのを観てからNetflixで配信されていることを発見
時間を置かず再度鑑賞しました
貧しさゆえに親からまともな愛情も受けることができずに生きる12歳の少年・ゼインの目線で中東の貧困、移民問題を抉り出した人間ドラマです
可愛がっていた妹が近所の年上の男性と強制的に結婚させられたことに反発し家を飛び出すゼインでしたが、両親が出生届を出していないためIDもなく、職に就くこともできません
辿り着いた海辺の町の遊園地でエチオピア移民の女性と知り合い、彼女の赤ん坊・ヨナスを世話しながら一緒に暮らすことになります
ある日を境に彼女が家に戻らなくなり、困り果てたゼインはヨナスを連れて彼女を捜し歩くうち、雑貨屋を営む男性に声をかけられます
その男は人身売買商人で以前からヨナスに目をつけていました
ゼインにも偽IDとパスポートを用意してやるから家で何か出生を証明するものを取ってくるように言われ、戻ったところ妹が亡くなったことを聞かされます
怒りに我を忘れたゼインは包丁を手に妹の結婚相手の家に向かい殺害
収容所に入れられたゼインは驚くことに自分を産んだ罪で両親を告訴します
子は親を選べない、産んでほしいと頼むことはできない、この過酷な生活に、この世に生を受けるとは素晴らしいことだと誰が言えるのか
両親の育児放棄を問題視する裁判かと思っていましたが、そんなレベルの話ではありませんでした
両親も貧しさ故、どうしようもない状態に置かれています
エチオピア移民の女性の人生も苦難の連続です
ゼインが弁護士に話した内容から人身売買の商人が逮捕されヨナスは無事母の元に戻り、ゼインがID用の写真撮影で微笑むところで映画は終わります
初めて彼が見せた心からの微笑みが却って哀しかったです
ゼインを演じた少年はシリア難民で他のほとんどの出演者も実際に難民や移民だった人だそうです
これは過去の歴史ではなく現在進行形の話なのです
色々と考えさせられました
「エセルとアーネスト ふたりの物語 」
原題 ETHEL & ERNEST
2019年 イギリス、ルクセンブルグ
【Amazon Prime Video】
イギリスの絵本作家レイモンド・ブリッグズが自身の両親をモデルに描いたグラフィックノベル「エセルとアーネスト」をアニメ映画化したものです
1928年ロンドン
牛乳配達人のアーネストとメイドのエセルは恋に落ちて結婚しウィンブルドンに小さな家を構えます
晩婚であったためか、なかなか子に恵まれませんでしたが待ちに待った最愛の息子レイモンドが誕生
息子の成長を見守りながら第二次大戦の苦難の中にあっても寄り添い笑い暮らす2人でした
大人になったレイモンドは結婚し家を出ます
そして変わらぬ暮らしを続ける2人に静かに老いが忍び寄ってくるのでした
何の変哲もない庶民の日常を描いたものですが大袈裟な感情表現を抑えた描き方からはレイモンド・ブリッグズの両親への深い愛が伝わってきます
最後に紹介される実際の2人の写真とアニメがそのままで、本当にこんな暮らしがあったんだ、と実感できました
また、ポール・マッカートニーによるエンディング曲も良かったです
「永遠の門 ゴッホの見た未来」
原題 AT ETERNITY’S GATE
2018年 イギリス、フランス、アメリカ
【ムービープラス】
パリに暮らすフィンセント・ファン・ゴッホは画家として全く評価されません
偶然出会ったゴーギャンの助言に従い南仏のアルルにやってきたフィンセントは画商である弟のテオの助けもありゴーギャンとの共同生活を送りながら毎日スケッチに出かけて精力的に創作活動に励みます
しかし、ゴーギャンがアルルを去った後、地元の人々との間にトラブルが絶えず孤独な日々が続くのでした
出演者にマッツ・ミケルセンの名を見て鑑賞しました
まだかな、まだかな…後半ようやくお顔を見ることができました
精神病院で療養中のフィンセントと会話をして退院が可能かどうか判断する牧師役
宗教学に疎い私には難しかったですが、牧師がフィンセントの心のうちを理解したのは間違いないと思いました
ここ、フィンセントが育った家庭環境を知っておくのが重要です
自分は生まれた時代を誤った、とは不遇の人生を送る天才芸術家の口からよく聞く言葉ですね
江戸後期の日本画家、伊藤若冲も自分の作品は千年後に理解されるだろう、と言ったとか
フィンセントが生きた時代の、フランスの階級制度、植民地政策、当時の油絵の技法、美術史などなどを頭に入れておかないと理解し辛い作品かもしれません
ただ、まるで絵画のような美しい映像と音楽だけでも観る価値はあると思いました
「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」
原題 THE WOMAN IN THE WINDOW
2021年 アメリカ
【Netflix】
原作 A・J・フィン
広場恐怖症のため外に出られない心理セラピストのアナ(エイミー・アダムス)
別居中の夫と電話をしたり、窓から外を眺める以外は何もせず、薬と一緒にお酒を飲むなどカウンセラーの指示を無視した生活を送っています
ある日、向かいに越してきたジェーン(ジュリアン・ムーア)と知り合いになったアナは、ジェーンと夫アリステア(ゲイリー・オールドマン)、息子イーサン(フレッド・ヘッキンジャー)の生活を窓から覗き見するようになり、ジェーンが夫から暴力を受けているところを目撃し警察に通報します
しかし、アリステアは何も起きていないと主張、警察も病を抱えるアナの言うことを信じてくれません
さらに、ジェーンと名乗る別の女性が現れ、イーサンもアナの記憶とは違うことを証言します
誰も信用できないと考えたアナは自力で解決しようと望遠レンズをつけたカメラで写真を撮ったりネットでアリステア一家を調べ始めますが…
B級ホラーですかねぇ
イーサン役の少年が力量不足かなぁ
脚本も失敗ではないかしら
良い役者さんを使っている割には残念な作品でした
「バンク・ジョブ」
原題 THE BANK JOB
2008年 イギリス
【WOWOWプラス】
1971年、イギリスで実際に起きた王室スキャンダルに関わる銀行強盗事件を基にしたクライムサスペンスです
麻薬密輸を疑われた女性・マルティーヌ(サフロン・バロウズ)はある男から罪を免れる代わりに銀行強盗の話を持ち掛けられ昔の恋人・テリー(ジェイソン・ステイサム)や仲間を募って見事銀行の貸金庫からお金や宝石他を盗み出すのに成功します
ところが、驚くことに、品々の中には、王室スキャンダル、売春稼業の男と警察の癒着の証拠、政治家の変態趣味の写真もあり、強盗団は様々な組織から追われる羽目に陥ります
王室スキャンダルに絡んでくるのが麻薬組織で、マルティーヌはその殲滅目的で麻薬密輸犯に仕立てられ銀行強盗をさせられていたのです
前半は素人強盗団が浮かれ騒ぎするだけで面白くなかったのですが、後半、盗まれた物をこっそり取り返したい輩、イギリス諜報機関のMI5や贈賄側、収賄側、腐敗した政治家らと強盗団の心理戦の展開に目が離せなくなりました
良心あるひとりの警察官がテリーから受け取った証拠のお陰で、悪人たちは逮捕されるのですが、王室スキャンダルだけは決して表沙汰に出来ないことから銀行強奪事件は無かったことになり目出度し目出度し、でした
銀行の貸金庫に預けていた被害者の多くが被害内容の申告を拒否したとか
皆さん、人に知られてはマズイものを預けていたのでしょうねぇ
名探偵ポワロで有名なデヴィッド・スーシェが警官に賄賂を贈る売春王役でした
ポワロさん以外のお姿を見るのは初めてて、似た人がいるものだ程度でいましたがエンドロールでお名前を見て驚きました
本件の王室スキャンダルが公開されるのは2043年だったかしら?
実際、どんな内容なのでしょうね
同じように感じられたのですね!!
本当に美しい映画でしたよね。
マッツ・ミケルセン、出番は少なかったですが、
大事な役でピッタリでしたね。
マッツさん、様々な役をこなせる役者さんで益々好きになりました♪
肝心のウィレム・デフォー、出演作は何本か観ているのですがあまり覚えてなくて…主役なのに申し訳ないです。
( ;∀;)