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伊坂幸太郎「チルドレン」

2021年08月05日 | あ行の作家


講談社文庫
2007年5月 第1刷発行
2021年6月 第60刷発行
解説・香山二三郎
336頁

2006年WOWOW制作のドラマを観て読んだはずの原作の内容をほとんど忘れていたので再読しました

「俺たちは奇跡を起こすんだ」
独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内
彼を中心にして起こる不思議な事件の数々
何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ

「バンク」
シリーズキャラクターとなる三人の出会い編
仙台の大学生、鴨居と陣内は閉店間近の銀行で武装強盗に巻き込まれ、盲目の青年、永瀬とともに人質になります

「チルドレン」
「バンク」から12年後
家裁調査官に就いている陣内の後輩、武藤が担当した万引き高校生、木原志郎と不愛想な父親の関係修復に努めるべく動きます

「レトリーバー」
再び過去に戻り
陣内は家裁調査官を目指して受験勉強中の22歳
永瀬と恋人の優子は失恋中の陣内のリハビリに付き合わされ仙台駅近くのベンチにいます
驚くことに陣内は周囲の時間が止まっていると言い出します
なるほど周りのベンチに座っている人々は二時間前から顔ぶれが変わっていないのでした

「チルドレンⅡ」
「チルドレン」の1年後
居酒屋で働く試験観察中の少年とのやり取りや武藤が担当する離婚調停中の夫婦とのやり取りが並行して進んでいきます
意外な人間関係とラストが感動的です

「イン」
「バンク」の事件から1年後
陣内のバイト先であるデパートの屋上にやってきた永瀬と優子
優子が席を外している間に見知らぬ娘に騙されそうになったり陣内の不可解な行動に惑わされる永瀬でした
各編にチラッと出てくる陣内と父親の間にある確執
それがどのように吹っ切れたのかがサラリと気持ちよく描かれています


いやぁ~、こんな面白い小説だったとは…<m(__)m>
最初に読んだ時にあまり好きになれなかった陣内
ドラマで大森南朋さんが演じたこともありますが、ホント憎めなくて、やることはやる優秀な人間とわかりました



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