岩波書店
2017年4月 第1刷発行
322頁
生まれ変わりを題材に時空を超えた男女の究極の愛を描きます
仙台で妻と娘の3人で穏やかに暮らしていた小山内堅
突然の交通事故で妻・梢とひとり娘・瑠璃を失い、今は故郷の八戸で老母と暮らしています
ある日、三角と名乗る男性が訪ねてきて、瑠璃は面識のない彼に会いに東京へ行く途中で事故に遭ったのだと聞かされます
小山内、三角、正木という名の3人の男性と「瑠璃」という名の女性(女児)の30余年に及ぶ数奇なる愛の軌跡
物語冒頭
東北新幹線で八戸から東京へやってきた小山内堅
面会の相手は緑坂ゆい、るり母娘と三角
三角が現れない中、この娘のペースに巻き込まれてはなるまいと必死になる小山内ですが、彼女の話、態度に混乱は深まるばかりです
知っていても全然OKと思うので
4人の『瑠璃』と登場人物との関係を下に記します
1番目:正木瑠璃 正木の妻、三角の恋人
2番目:小山内瑠璃 小山内の娘
3番目:小沼希美 妻・1番目の瑠璃の死後、正木が就職した会社社長の娘、瑠璃と名付けられるはずでしたが周囲の反対で希美となりました
4番目:緑坂るり 小山内の妻・梢の高校時代の親友・緑坂ゆいの娘
2番目から4番目の瑠璃は7歳までは普通に成長します
しかし、原因不明の高熱に冒された後、過去の瑠璃の記憶が蘇ります
女児が三角を慕うあまりに起こす行動は小説と思えば良いのでしょうが、何だかねぇ、でした
三角と正木は1番目の瑠璃と直接関りがあったので良いのですが2番目の瑠璃の父親で常識人、小山内には三角や緑坂ゆいから聞かされる話はホラーでしかありません
気の毒でした
八戸に戻る小山内に緑坂るりが告げる言葉はさらに小山内を苦悩させます
月の満ち欠けのように生と死を繰り返す
そして未練のある三角の前に現れる瑠璃
そんな人間は瑠璃以外にもいる
最終章で、ようやく瑠璃と三角は一緒になれる、と考えて良いのかな
う~ん
瑠璃と三角は良いけれど、たまたま生まれ変わりの瑠璃の親になった人間には辛過ぎますねぇ
映画が話題になったので読んでみました
もっと難しい話かと構えていましたが、ひとつひとつのエピソードが丁寧に描かれており人間関係に混乱することなくサクサクと読めました
佐藤正午さんは他には「5」「Y」と何だったか忘れたけど3冊くらいしか読んでいませんが、すごく読みたい!と思える作家さんではないかな
機会があったら映画は観てみたいです
どうしてもこの「生まれ変わり」というプロット自体が好きになれなくて。結局幼女とオジサンが最後に出会って、どーするの?と思ってしまうのです。
佐藤正午さんでしたら「鳩の撃退法」がオススメですよ。それも好き嫌いはあるかもしれないけれど・・・。
映画は、全体のストーリーは別として、目黒蓮くんと有村架純さんのシーンは、素晴らしくいいです!!
まあ、これもめめファンのひいき目かもしれないですけれど。
正木vs瑠璃、正木vs希美のパートは眉間に皺が入っていたかも。
映画、観ますね!
お薦め本、図書館予約カートに入れました。
真っ新な気持ちで読もうと思います。