講談社
2019年3月 第1刷発行
2019年5月 第2刷発行
262頁
東北の大震災後、水辺の災害の歴史と土地の記憶を辿る旅を続ける『彼』は、その締めくくりとすべく、大震災と同じ年に台風12号による記録的な豪雨に襲われた紀伊半島に向かいます
バスの車窓から見える土砂災害の傷跡を眺める『彼』の胸中には、自身の病、幼い頃の屈辱、クラシック好きで自死した友・唐谷のことなど、さまざまな思いが去来します
『彼』=私小説の名手・佐伯一麦さん本人
ラスト70頁は『彼』の旅から二年
『私』が再び十津川を訪ねた時の様子が描かれます
『彼』『私』の心情を除けば、その土地の地誌、人々の営みが淡々と綴られていくばかりで、退屈といえば退屈ですが地誌については雑学として大変参考になる内容が多かったです
正確な内容は直に忘れてしまうのですけど、ふと何かで思い出したりすると嬉しくなるものです
日本は記録が残っているおよそ1600年の間に死者が出た地震が全国で170回以上起きており、およそ10年に1度の勘定になるそうです
日本は災害大国なのです…
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