中央公論新社
2016年1月 初版発行
301頁
闇医者おゑん秘録帖シリーズ第2弾
竹は女の樹だ
細く、風に容易にしなってしまう
けれど容易く折れはしない
江戸の片隅の竹林を背負った家で「闇医者」として、異国から流れ着き薬草に精通する末音と、情を交わした男に殺されかけ二度と子を産めない体になった見習いのお春と共に子堕ろしを行うおゑん
おゑんの元を訪れたいきさつのある女たちの再生を描きます
「竹が鳴く」
大店の女主人・お江代が「子を堕ろして欲しい」と連れてきたのは内儀つきの女中・お竹
あろうことか夫である三代目と通じて子を孕んでしまったといいます
幼い頃から苦労を重ね、いつも周囲の言われるままに生きてきたお竹でしたが、おゑんの元で過ごすうちに、子を産みたい、母親になりたい、自分の手で育てたい、という思いを強くします
難産の末に生まれてきた男の赤ちゃんに「この世は辛いことのほうが多い、でも生きてみる価値はある」と語りかけるおゑんでした
「花冷えて」
江戸市中で若い娘が突然倒れ、昏睡状態に陥った後亡くなるという「娘コロリ」が流行します
病ではなく殺人事件と見抜いたおゑんがその謎を解き明かします
おゑんと弥勒シリーズの小暮信次郎が重なります
本巻ではおゑんの心の闇が垣間見えます
こちらもシリーズ化されているようで次巻「残陽の廓」も早めに読みたいです
第4弾となる「明けの花」の連載が始まっているらしく、楽しみが続きそうで嬉しいです
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