2013年 日本
大黒シズオ(堤真一)42歳、バツイチ
「本当の自分を見つける」と勢いで会社を辞めて1か月
朝からゲーム三昧、バイト先では「店長」と渾名されてはいるけれど新人にさえ叱られる有様
父親(石橋蓮司)からは毎日のように何とかしろと言われるもどこ吹く風でのらりくらり
一人娘の鈴子(橋本愛)だけはそんな父親を優しく見守っている、とはいえ実態は不明です
ある日、本屋で立ち読みをしていて突然ひらめいたシズオは家族に漫画家になると宣言
幼馴染でサラリーマンの宮田(生瀬勝久)、バイト先で知り合った26歳元ヤンキー市野沢(山田孝之)と居酒屋で呑みつつ「俺はまだ本気出してないだけ」と豪語するも時間だけが過ぎていく
真面目サラリーマンの宮田や何をしても長続きしない市野沢がシズオの能天気に徐々に引っ張られていく様が可笑しくもあり、やるせなくもあります
シズオが原稿を持ちこむ出版社の担当編集・村上(濱田岳)のキャラが良いです
シズオに対してダメ出しするのでもなく褒め過ぎもしない、上手くシズオを持ちあげてやる気を導き出すのですが、何と彼もある日シズオに一通の手紙を残して出版社を退社してしまうのです
その手紙には「本当の自分を見つける、大黒さんのお蔭です」とありました
シズオが漫画家デビューできる日は来るのか?
一番の見どころはシズオの内面の葛藤を描いた「自分会議」です
インチキ臭いカミ(神)
リーマン時代の32歳
ヒッピー時代の22歳
ヤンキー時代の17歳
現在のシズオ、42歳が今後どうすべきか話し合うのです
5人のシズオはそれぞれやることも言うことも違うのですが全てシズオ
内面にシズオが持っているものは外から見るよりずっと広く複雑です
他者が理解できる部分とできない部分、本人すらわかっていない部分を持っています
原作の漫画は知りませんでしたが、シズオのキャラは堤さんとは随分違うそうです
堤真一さんが時に柳沢慎吾さんに見えて笑えました
いつもの堤さんらしかったのは
ラスト近く、鈴子と河原を散歩しながら「父親らしい」ところを見せたシーンくらいでしょうか
世にシズオのような人は数多いるのでしょう
目の前にいたら避けたくなるようなキャラですが、家族や周囲とのエピソードを通して少しずつ印象が変わっていきました
これもやはり堤さんが演じていたからだと思います
一生こんなふうにのらりくらりでは困るけれど、人生のある期間、こんなふうに過ごせたらいいのに・・・なんて思います。体力も気力も衰えた「老後」ではなくて・・・。
いい年をした息子があんな風では父親(石橋さん)も大変でしょうね~。
人生、いつ開花するかわからないもの。
気長に待ちますかね。
(^_-)