角川文庫
2011年12月 初版発行
2012年11月 7版発行
解説・縄田一男
352頁
舞台は筑前の小藩・秋月藩
専横を極める家老・宮崎織部の排除に成功する、間小四郎と志を同じくする仲間の藩士たち
藩政の刷新に力を尽くす小四郎だったが、家老失脚の背後には実は本藩の福岡藩の策謀があり、家老はそれを承知のうえ捨石となったのだという
宮家老の真の姿を知ったときから、小四郎の本当の藩政改革が始まります
秋月藩を自らの傀儡にしようとする福岡藩に対し、辛うじてのところで何とか自立を保っている小藩
理想や綺麗事だけでは政治はやっていけません
重要なのは経済=お金です
欲に塗れた汚いもの、としか描かれてこなかったお金が百姓の娘・いとが作った「葛」が特産物として流通し始めることで生きて役立つものに変わります
最後には自らも捨石となる小四郎
幼い頃、臆病であるが故、妹を死なせてしまった彼
ずっと自分の弱さに打ち克ちたいと思って生きてきた彼にもやっと安堵の日が訪れたのです
政争、経済、剣劇に加え、自らに誇りを持ち毅然と生きる人々を描いた素晴らしい作品だと思います
藤沢さんを読みながら葉室さんが思い出され、葉室さんを読みながら藤沢さんが思い出され、こんがらかってきます。
(^_^;)
でも、藤沢さんに比べると若い感覚が入っていてやはり違う人なんだな、と思いました。(当然ですが)
先日、藤沢さんの読みたい本リストを作ったら16冊にもなってしまいました!
大人買いしてみたいものです…。