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イリーナ・コルシュノフ「ゼバスチアンからの電話」

2014年09月10日 | 海外の作家

 

訳 石川素子 吉原高志
白水社
2014年5月 発行
254頁

 

 

 

1970年代のドイツ
ミュンヘンに住むザビーネの17歳の誕生日である大晦日から翌年の大晦日までを描いた物語
表向きは民主的なのだが結局は何でも自分の思い通りにする父
いつも父の言いなりで自分の意見を言わない母
両親に対して批判的だったザビーネ
絶対に母のようにはならないと固く心に決めていたのに、いつのまにか恋人のゼバスチアンに対して母が父に対するのと同じように振る舞っている自分に気づく
ゼバスチアンのことを優先し、自分自身や自分の生き方をほうり出してしまったザビーネはゼバスチアンにとって重荷となり、自身もやりきれなくなっていき喧嘩をしてしまう
父の決めた近隣農村への引っ越し、転校でゼバスチアンから距離を取ったザビーネはふたりで過ごした日々を回想していく
そんな中で、ザビーネと彼女を取り巻く人々との関係が少しづつ変わっていき、ザビーネ、父、母、それぞれが自立へと向かっていく
そして、おそらくゼバスチアンにもザビーネと離れたことで何か変化があったのではないでしょうか

 

既成の社会制度や価値観に関心を持ち始めた時代
特に女性問題、職場や家庭生活における男女同権や女性の自己実現など女性の解放についてです

 

ザビーネはゼバスチアンと出会ってからの一年で様々なことを考え、自分に向き合い、本当の意味でパートナーとの良い関係を築くことができるようになったのかもしれません

 

ドイツと日本
国も歴史も違うけれど、共通点は多いのだと思った次第

 

 


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