河出文庫
2017年3月 初版発行
解説・門賀美央子
214頁
文化文政時代、ただひたすらに「己だけの女」を求めて、美人画に枕絵に絵筆をふるう浮世絵師・渓齋英泉
お津賀、おたま、おりよ、三人の妹の生をも搦めとった果てに見い出したのは―――
爛熟の江戸を舞台に、絵師の凄まじいまでの業を妹たちの情念が濃艶に花開く
英泉の妹たちについては実在した人物であることは確かなれど、その名前も生涯も詳らかではなく、相次いだ両親の死による一家離散は史実ですが、それ以外の人生や人物像も著者の想像によるもの、とのこと
自堕落ゆえ栄泉のミューズとなるおたま、そんなふたりの関係に悋気の炎を燃やすお津賀、兄姉たちの葛藤を冷ややかに見つめるおりよ
腹違いの兄を挟んでせめぎ合う女の業と、それすら養分にしてしまう画家の業
時代小説ながら絵師の自我形成を深く穿つ現代的な小説は、とにかく濃密で強烈でした
英泉のことは名前以外知らなかったのでネットで調べてみました
実際は本作ほどエキセントリックな人物ではなかったようですね
またしても皆川ワールドにしてやられました
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