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青来有一「人間のしわざ」

2015年10月26日 | さ行の作家

 

集英社
2015年4月 第1刷発行
182頁

 

 

戦後70年に問う
「聖水」「爆心」に続いて新たに殺戮と紛争の世紀を問う衝撃作

 

この世界のどこに救いや癒しがあるのか―――

 

「人間のしわざ」
大学時代の恋人と不倫関係にある女性、50代前半でしょうか
娘が二人いますが、夫も他所に若い愛人がいます
不倫相手の仕事は戦場カメラマン
中東など各所で撮影された写真の中には社会には出せないような悲惨なものも多く含まれていいます
妻は病死していますが、その妻も他所に男がいました
ひとり息子は引きこもり生活でネットで世界と繋がってはいるものの、全く実態を理解せぬまま原発反対運動に参加しようとしたり、危うい状態です
男性は戦場での体験や妻の病死、息子との断絶から精神を病んでおり、幻想や妄想に悩まされています

どうにも救いのない設定です

 

「神のしわざ」
前出のカメラマンの男性と息子が干潟で写真撮影に取り組んでいます
息子は少し立ち直ったようで父親の助手を勤めていますが、父親のほうは変わらず時折幻想が見えるようです

 

 

舞台は長崎
島原の乱と先の大戦での原爆投下は必ず扱われます
信仰、殉教、被爆といった長崎の地が抱える記憶は、自分には難しいのですが少しでも理解できればという思いから出版されるとつい手にしてしまいます

でも、やはり難しいですね…

 

 


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