おばあさんの猫

バスに乗ると、後ろの席にご婦人が二人座った。

知り人のようで、世間話をしている。
話が自然と耳に入ってくる。

なんということもない世間話なのだけれど、
ある時点から、完全に耳がダンボになった（←この言い方も古いねぇ（汗））

（おばあちゃんの話）
　明日はゆっくり朝寝でもするわ。
　猫と一緒にね。
　え？ああ、いつもね、猫と一緒に寝てるのよ。
　もう２１歳くらいの猫でねぇ。
　２０年くらいは家の外も自由に出ていたんだけど、
　トイレに行くのにね、夜中に起こされちゃうから、
　一昨年くらいから、家の中にトイレを作ってやってね、
　すぐ慣れて、トイレも家の中にするようになったわ。
　最近の猫のトイレはすごいわね。
　おしっこが固まってそのまま家のトイレに流せるから、楽だわ。

　でね、そうしたら、もう殆ど家の外に出なくなっちゃって、
　ずーっと家にいるのよ。
　台所の椅子の上にね、電気座布団を置いてね。
　ずっとそこで寝てるのよ。
　私が仕事に出ているときはね、
　こたつの電気入れておくの。一番弱くしてね。
　寒いでしょうからね。
　きっとずっと寝てるんだと思うわ。
　私が家に居る時なんかずっと一緒にこたつで寝てるわよ。

　ご飯もね、１３歳以上の粒の小さいエサなのよ。
　あとは缶詰とかね。そう、１３歳以上のね。
　安いエサじゃダメなのよ～（笑）
　もう歳だからね、全部１３歳以上用のしか食べないのよ。

　あ、ここで降りるわね。じゃ。


ふふ。
何だか朝から幸せな気分になっちゃった。
さらりと「２１歳の猫」なんて、ステキよおばあちゃん。

なんだかねぇ。
似合うよね。おばあちゃんと猫。
何となくだけど、
その猫も「おばあちゃん」みたいな気がする。
性別は言わなかったけど。何となくね。