「ねえ、木村(きむら)君だったら、何が欲(ほ)しい?」
「僕(ぼく)? 僕は、そうだな…。何がいいかなぁ――」
私の質問(しつもん)に、彼は真剣(しんけん)に考えてくれていた。何か、そういうところがいいのよね。真面目(まじめ)っていうか…。木村君とは友達(ともだち)としてのお付き合いだったけど、それ以上(いじょう)になってもいいかなって。だから、今度のバレンタインは何か特別(とくべつ)なものを贈(おく)ろうって思ってる。
チョコじゃ、何かつまんないし、彼の印象(いんしょう)に残(のこ)らないじゃない。木村君は、まだ私のこと何とも思ってないみたいだし。彼の欲しいものをリサーチして、彼の心をギュッとつかんじゃうんだ。私は、彼の答えをドキドキしながら待っていた。
「僕が欲しいのはね…、土地(とち)かな。今、ちょっと気になってるんだよね」
「土地? えっ、土地が欲しいの」そんなの無理(むり)よ。私に買えるわけないじゃん。
困惑(こんわく)している私を見て、彼は、「ああ、土地っていっても、月のなんだけどね」
「月の土地って…、そんなの買えるの?」
「それがさ、けっこう安いみたいなんだよね」
彼は、子供みたいに嬉(うれ)しそうに笑(わら)ってる。どうしてそんなのが欲しいのかなぁ。男の人の気持ちってほんと分かんない。あーっ、プレゼント…、どうしようかなぁ?
<つぶやき>男はロマンを求(もと)めるのです。どんなプレゼントでも、男性は喜(よろこ)ぶんじゃない。
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