みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0321「メシマズ」

2018-09-16 18:38:52 | ブログ短編

 新婚生活(しんこんせいかつ)を始めて一週間。普通(ふつう)なら一番(いちばん)幸せな時なのだが、僕(ぼく)の場合(ばあい)はちょっと違(ちが)っていた。彼女、いや、嫁(よめ)さんの作る料理(りょうり)が激(げき)マズなのだ。付き合っていた頃(ころ)、彼女の部屋(へや)へ遊(あそ)びに行っても、手料理を作ってくれたことが一度もなかった。僕はちょっと期待(きたい)して行っていたのだが…、作ってくれなかった理由(わけ)がやっと分かった。
 僕は嫁さんを愛(あい)している。だから、これしきのことで彼女のことを嫌(きら)いになんかならない。でも、やっぱり美味(おい)しいものを食べたいじゃない。
 彼女だって、そのことは分かってて、一生懸命(いっしょうけんめい)、キッチンで格闘(かくとう)している。しかし、ちょっと不器用(ぶきよう)で粗忽(そこつ)なところがあるので、いろんな失敗(しっぱい)を繰(く)り返す。それにアバウトな性格(せいかく)も加わって、とんでもない料理ができあがるのだ。
 僕も簡単(かんたん)な料理ぐらいはできる。だから、彼女の横でいろんなアドバイスをするのだが、彼女にとっては邪魔(じゃま)なようで、「もう、うるさいわよ。気が散(ち)るでしょ。向こうへ行ってよ!」と、逆(ぎゃく)ギレされてしまう。
 でも、ここで僕が諦(あきら)めてしまったら、これからの夫婦(ふうふ)生活にも支障(ししょう)をきたしてしまうだろう。だから、僕は心を鬼(おに)にして、メシマズの矯正(きょうせい)をすることにした。どんなに嫌がられても、彼女のために僕も頑張(がんば)ろうと思う。
 嫁は熱(あつ)いうちに打(う)て。まさに今、適切(てきせつ)かつ迅速(じんそく)に行動(こうどう)しなくてはいけないのだ。
<つぶやき>新婚生活の醍醐味(だいごみ)は手料理かもしれません。胃袋(いぶくろ)が満(み)たされれば家庭円満(かていえんまん)。
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