みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0883「謎めく」

2020-05-03 18:12:49 | ブログ短編

 私(わたし)のクラスにちょっと謎(なぞ)めいた娘(こ)が転校(てんこう)してきた。その娘(こ)は、私たちみたいにきゃっきゃしてなくて、物静(ものしず)かで、しゃべり方はもう大人(おとな)の女性って感じなの。彼女はすぐにクラスに溶(と)け込んで、友だちの輪(わ)ができていた。でも、私は見てしまったの。彼女がひとりでいたときの淋(さび)しげな表情(ひょうじょう)を…。それ以来(いらい)、私は彼女のことが気になってしまった。
 下校(げこう)のとき、たまたま彼女の姿(すがた)を見つけた。それで、私、彼女のあとを追(お)いかけた。私の好奇心(こうきしん)がそうさせてしまったの。彼女がどんなところに住んでいるのか見てみたかった。私は少し離(はな)れて彼女について行く。でも、道の角(かど)を曲(ま)がったとこで彼女の姿は消(き)えてしまった。まさか、彼女に気づかれちゃった? そんなはずは…。
 翌日、私は彼女から声をかけられた。彼女とは席(せき)も離れているし、おしゃべりすることもほとんどなかったのに…。彼女は私にこう言ったの。
「ねぇ、今日、うちに遊(あそ)びに来ない?」
「えっ、何で…。わ、私なんかに…」私は大混乱(だいこんらん)…。だって、友だちでもないのに…。
 そんなんで、私は彼女の家にいる。ここはごく普通(ふつう)の家。ちょっと古そうだけど、私の家よりは広いかも…。彼女は私に言ったわ。
「あたしね、おばさんの家に住んでるのよ。両親(りょうしん)は仕事(しごと)の関係(かんけい)で遠(とお)くにいるから」
 私は気づかなかった。彼女が、そのおばさんにこう言われていたことを――。
「お嬢(じょう)さまが、お友だちをお連れなさるなんて…。ほんとうに、ようございました」
<つぶやき>彼女はいったい何者なのでしょうか? 大富豪(だいふごう)のお嬢様なのかもしれません。
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