「あなたってそういう人よね。あたしが弱(よわ)ってるのに平気(へいき)で塩(しお)をすり込むようなことして」
「それは、どういう喩(たと)えだよ。俺(おれ)はやめとけって言っただろ? それを――」
「分かってるよ。あ~っ、上手(うま)くいくと思ったのになぁ」
「おまえさぁ、思いつきは悪くないんだけど、詰(つ)めが甘(あま)いっていうか…。もう少し、考えをまとめてから行動(こうどう)しろよ。そうじゃなきゃ、いつまでたっても…」
彼女は、彼を恨(うら)めしそうに見つめた。そして、それは懇願(こんがん)の眼差(まなざ)しになっていく。彼はため息(いき)をつくと、
「分かったから…。じゃあ、俺が何とかしてやるよ」
「ほんとに…? ありがとう、やっぱり持つべきものは友だちよねぇ」
「調子(ちょうし)いい奴(やつ)だなぁ。その代わり、上手くいったら俺の頼(たの)みをきいてくれるか?」
「頼み…? うん、いいよ。あたしにできることなら何でも…」
彼は、薄笑(うすわら)いをして彼女を見つめる。彼女は、不安(ふあん)な気持ちになって言い直(なお)した。
「ダメだからね。変なことしたら許(ゆる)さないんだから」
「バカか? お前に何かするわけないだろ。俺は、お前に興味(きょうみ)なんか全(まった)くない」
「何よ、その言い方…。あたしだって…、女性としての魅力(みりょく)あるのよ。あなたが、それに気づいてないだけじゃない。あたし、告白(こくはく)されたことだってあるんだから」
<つぶやき>さて、彼女はいったい何をやろうとしたのでしょうか? 彼の頼みって…。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。