みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0884「これは夢?」

2020-05-04 18:12:09 | ブログ短編

 僕(ぼく)が目覚(めざ)めると、妻(つま)が不機嫌(ふきげん)な顔(かお)で立っていた。よくよく訊(き)いてみると、僕が寝言(ねごと)で〈祐子(ゆうこ)〉という女性の名前(なまえ)を何度(なんど)も呼(よ)んでいたそうだ。そんなことで責(せ)められても、どんな夢(ゆめ)を見たのか憶(おぼ)えてないし、〈祐子〉という女性にもまったく心当(こころあ)たりはない。もちろん、僕は浮気(うわき)なんて――。
 その日の夜。僕は不思議(ふしぎ)な夢を見た。夢の中に妻が出てきて…、それも付き合い始めた頃(ころ)の若々(わかわか)しい姿(すがた)で。僕は不覚(ふかく)にも、夢の中で恋(こい)に落ちてしまった。
 目が覚めると、僕は隣(となり)で寝ている妻の方を見た。でも…、僕は目を見開(みひら)いた。そこにあるはずの妻の顔が、別人(べつじん)になっているのだ。誰(だれ)なんだ、この女性は…?
 不意(ふい)にその女性が目を覚ました。そして僕に言った。それも恋人(こいびと)のように微笑(ほほえ)みかけて。
「おはよう…。あっ、あたし朝寝坊(あさねぼう)しちゃった?」
 僕は何と答えればいいのか、「あ、あの…。あなたは、どなたですか? どうして…」
「あなた、寝ぼけてるの? 祐子よ、変なこと言わないで。あたしたち結婚(けっこん)したじゃない」
「け、結婚…? き、君(きみ)と…? どうして…?」
「どうしてって…。何それ、冗談(じょうだん)でも言ってるつもりなの? まったく笑(わら)えないから」
「あっ、ごめん…。そういうつもりじゃないんだけど…」
 僕は目をぎゅっと閉(と)じた。夢なら覚めてくれと念(ねん)じながら――。
<つぶやき>どちらが夢なのでしょうか? 夢と現実(げんじつ)がごちゃごちゃになってしまうと…。
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