【白鳥】最終章
深夜の踏切、最終の列車が踏切を交差しようとしていた。
涙で前が見えない、Maiは、彼「白鳥」だけが見えていた。
踏切の向こうで待っているはずのその人を、Maiは感じた。
一歩、そしてまた一歩、、、遮断機を越えるMai。
誰もMaiを止めない。
其の時、Maiを包む黒い影達。
Maiは一線を越えたのだろうか?
次の瞬間、Maiの体は宙に浮いていた。
自分の居場所はここなのか?
感じた事のない安らぎ、母の胸の中のぬくもり、胎児の記憶、優しい夕日に光る凪。
彼女は、飛んだ。
そう、彼は決して幻ではなかったのだ。
彼女は死を選んだのではない。
逃亡したのでもない。
ただ、自分の居場所に戻っただけなのだ。
そう、白鳥に戻っただけ。