キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

ヒューベルトとあの茸について妄想働かせていた

2023年11月15日 | 二次創作
以下、以前ふせったーに書いたもののコピペです。整えてもいません。


しばらく足止めされるものの、問題のある後遺症が出ないことは知っているようなのに、茸を食べたときの絵面は初めて見た感じ。
もしかして、食べたことあるのか?
ベストラ家に資料があるなら、食べたときの絵面の説明くらいは載っていそう。何を食べたのかわかるようにしないと、別の毒キノコと勘違いしても困るでしょう。茸毒とその後遺症はなかなかしゃれにならないものも多い。

ヒューベルトが「他のフレスブルグ家の方」にお仕えしている時に、エーデルガルトを迎えにいけるよう自分から口添えしてやってもいいけど、その代わり、この茸を食べて見せてくれという趣旨のことを言われたとする。
もちろん嘘です。ヒューベルトもそれはわかってる。わかっているけれども、こういうことを言ってくる輩はお断りすると、にやにやしながら「なんだ、エーデルガルトは思っていたより人望がないんだな」くらいのことを言ってくるものです。残念ながらそれもわかってる。
なぜこんな真似をしたかといえば、嫉妬と不安でしょう。この二つは膨らみすぎると宿主の人間性を原型を失うレベルで破壊します。
エーデルガルトの父イオニアス帝は寵妃の後ろ楯とするために小貴族のその兄に大公位と広大な領地を与えてしまったポンコツです。更なる後ろ楯としてエーデルガルトを次期皇帝に指名する心積もりが元々あって、ヒューベルトがエーデルガルトに仕えるようになったのはその布石と考えられます。フェルディナントがある時期から帝都を離れていたのは、更なる布石として彼を次期皇配に指名されるのを避けるためでもあったのではないかと。嫡子を分捕られたら、エーギル家がフレスブルグ家に吸収されてしまう。
イオニアス帝のきょうだいの話が単語ひとつ分たりとも出てこないのも、エーデルガルトのきょうだいにとっては大きな不安要素かもしれません。後宮の存在が明示されているなら、なおのこと。
皇帝がひとりっこだから仕方なく即位したわけではないでしょう。アドラステア皇帝は代々セイロスの紋章を持つ者となっていますから、紋章を持たないきょうだいは脅威になる恐れもなさそうなのに、存在しなかったみたいに語られもしないのです。
嫉妬と不安から身を守るために、エーデルガルトを脅威ではないと思い込もうとしたり、自分の中で矮小化させたりするのはありがちな防衛です。エーデルガルトは「かわいい」「かわいい」って言われ慣れたかわいい子だったはずです。
本人に向かって「かわいい」が浴びせられなくなり、見えざる脅威になったとき、不安はやたら大きくなります。不安が大きくなりすぎて制御出来なくなると、人は本人があとから思い返しても信じられないようなバカな真似をしてしまうものです。
そして茸を。おおお。小さなかわいいエルを恐れてベストラ侯をブチキレさせるという暴挙に出てしまったとしたなら。ブチキレついでにベストラ父さんは「そうだ、二度とこんなことのないように、エーデルガルトも(機会があったら)消しとこう」と思い至る。きょうだいがおばかだったためにとんだとばっちり。もとはと言えばイオニアス帝のパワーバランスをわきまえない寵妃びいきが原因なんてすが。彼女の幸せと安全を考えて、ちゃんと味方とほうれんそうしといたら良かったのに。恋は嵐。
……という妄想でございました。
 短文にしようかと思ったけど、まとめる暇がとれそうにないので投げます。書きたいかたは拾ってどうぞ。ただのアイディアなので。
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ヒューベルトの蠍座みについて考えてみた。

2022年01月24日 | 二次創作
※ふせったーに載せた内容ですが、今後書き足したり一部修正したりしたくなりそうだったので、こちらにも載せておきます。

 風花雪月には11月7日生まれのリンハルトがいて、リンハルトは
・いきなり核心を突いた発言をする
・考えと情が深い
・己の根源や命に関わることに吸着されていくように惹かれる
・良いものを着ているのになんか地味
・日常的に頼られるのは避けたい
・動きのイメージはもっさり
 ……と、蠍座の特徴をしっかり備えている人物です。もうちょっと言うと、実家についてつぶれて良いと言っているのは、蠍座にしては穏当な表現です。育ちが良いんですね。見限った元身内については、蠍座は基本的に容赦ない。というのも3回は最後通告するのが蠍座(最後とは)。だいたいそれで甘く見られてもう一度地雷を踏まれるので、「予告はしたよ?」とサンクコストの大きさは一切気にしないで、ひどい目に遭ってもどうでもいい他人から可及的速やかに消滅して欲しい何かの間に見限った元身内を分類して放り込みます。何やっちまったんだろうねえ、ヘヴリング伯。

 ここにさらに蠍座っぽい人を加える意味は特になさそう。だいたい、ヒューベルトは4月17日生まれ、牡羊座。
 牡羊座っぽくなさそうなのが気になるところですが、蠍座! っていうほど蠍座っぽいわけではなくて、どちらかというと創作物の蠍座キャラっぽいのですよね、立場やら雰囲気やらエロみやら(着込んでる方が色気があるのが良いですね)。フィクションではお色気担当と言えば蠍座。
蠍座は8番目の星座で、ホロスコープの8室との対応も扱われるものです。8室は受け継ぐもの、秘密、閨事、他者との特別な関係。ベストラ家が帝国/皇帝の8室担当っぽい感じの配置。千年の忠誠、皇帝の影、仕事のほとんどは後ろ暗いこと、近衛・後宮担当。
とは言え、8室の印象が前面にくるから蠍座っぽいのかというと、そうでもないように思います。

 リンハルトとヒューベルトの共通点は以下の通り
・頭が良い
・率直(ヒューベルトの言い回しはともかく)
・好き嫌いがはっきりしている
・気になる相手のことを非常によく見ている
・懐に入れた相手に関しては情が深い
 頭が良いのに星座は関係ないのですが(かしこい牡羊座と言えば振り切れた天才橋本景岳先生)、率直なのは蠍座みがあるかっていうと、かしこい人が率直に物を言うと核心を突いたところに行きがちなので、両方合わさると蠍座っぽくなります。
あと、蠍座と言えば嫉妬深さを挙げられることが多いかな。そうよ私は蠍座の女。両者ともそれについては諦められるか優先順位が3番目以降くらいってことに関しては、ごく普通に「うらやましい」って言ってます。言わないことに関する態度は、まあ、その、うん。あんな感じです。情が深いと嫉妬深いは同じ意味です。

自分に足りない牡牛座理解と作文に当たっての足りないピース集めのために書き進めてきましたが、当所の目的はどこかに行ってしまったな。

 ヒューベルトのどこら辺に蠍座みがあるのか。
 情の深さと、強烈な怒りを持ち続けることができるところ(牡羊座は強烈な怒りを継続して保つのは難しい方です。たいていその場で怒ってその場で終了させてくれる)、これと定めた相手との一体化願望です。一体化願望はリンハルトには見られない部分ですね。
 水の星座の一体化願望は以下の通り。蟹座はみんな一丸となって。この「みんな」は仲間、家族、身内、一族郎党です。魚座は境界を失って溶け合う、あなたは私、私はあなた。みんなは私、私はみんな。集合体意識。蠍座は自分とは違う誰かと一つの個体となったかのような状態。そう見做される、あるいは「ひとつになる」(エロみ成分担当部分)。特に自分になく、あったら良いと思う部分がある人が良い。ガワ担当は別の誰かが良い。結構贅沢なこと言ってるな。
 シナリオ上ほぼ死ぬことも蠍座っぽさになっているのではないかと思います。1か0か。生か死か。蠍座というか、冥王星。死と再生と言えば、メンタルが死ぬような目に遭ったエーデルガルトがヒューベルトを人格の一部に取り込む形で己を成り立たせていますね。プレイヤー先生の選択で無事分離するかどうかが変わる感じ。
 あともう一つ。2室/牡牛座/ フェルディナントとの対比です。エーギル家が2室牡牛座木星イメージ(宰相殿の体型と地位がまんま木星だけど、眉間の皺は違うな)。木星と対比するなら土星じゃないのと思うけど、土星のイメージはさほどないのよね。5年後の衣装とか、ちゃんと皇帝陛下を止めようとしてくれるとことか。
 そこまで対称性はないのですが(根っこの部分は似ている)、ホロスコープの真向かいも星座/ハウス共にそんな感じです。ある程度の対称性はあるものの、根っこに共通する部分がある。
 2室は生得的なもの、生きていくのに必要な衣食住。
 牡牛座要素に関する体感的な知識不足なので、もうちょっと勉強してから改めて書くか、書ける方がいらしたらよろしくお願いしたいところです。

 ではどこら辺が特に蠍座っぽくないのか。知覚/認識→思考→判断→行動のスピードが速い。見る前に飛んでるレベルで速い。
 冥王星は、死と再生というものの、基本的にははたらかない。何かの拍子でうっかり、ごく稀にはまると(ピンポイントで)別人になるくらいの何かが訪れます。よかれあしかれ。そうなる前の自分は死んだのてす。ベレス/ベレト先生のお名前のところでも書きましたが、再生/復活の意味をもつ太陽が働きすぎているところは牡羊座なのだなあと思います。何回倒せばいいのってくらい(特に蒼月ルート)敵として現れますよねー。
 以降はもう少し勉強とゲームを進めてから書き足しますわ。

 無双が出たのでちょい足し。
 無双の衣装は蠍座的カラーリングに差し色が瞳の色なのかな。対して見間違いでなければアランデル公が差し色にしていたヘリオトロープがなくなってると思う。
 牡羊座の真向かいは天秤座。タロットカードで言うと正義。
 
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せんせいと黒鷲の学級のおなまえ

2021年12月30日 | 二次創作
・「それだけ」読みたい勢には優しくない仕様です。 ・ネタバレは普通に書いています。回避したい方は読まない方が無難です。 ・間違ってたらすみません。 ・鵜呑み、転用の結果生じた問題の責任はとりません。 ベレス/ベレト゠アイスナー  ベレス(ベレト)はゴエティア72柱の魔神の13番目(ゴエティアは魔術書)。階級は王。王が示す天体は太陽。魔神は順番に5度ずつ割り当てられてホロスコープを一周するが、13番目なので双子座0度から5度。10度ずつ割り振って2周するバージョンでは獅子座第1デーク(獅子座/獅子座)。太陽は復活、再生の意味を持ち獅子座が太陽が問題なく力を発揮できる場所であることから、後者由来なのではと思われる。  ちなみにシトリーは12番目の魔神。最初の儀式で復活失敗したのがバエルなら王(太陽)でかつ公爵(金星)、太陽が過剰に働く傾向のある牡羊座第1デーク(牡羊座/牡羊座)なので、荒神としてのソティスを復活させてしまったのかも。荒ぶる部分をおさえつつの復活を目指したために、感情がわかりにくい人になったのか。  ジェラルトはゲルハルトを由来とするとあるので、勇敢な槍を持つ闘士(『日本警察犬協会』サイト参照)。 アイスナーの意味は見つからなかったのでもう少し探します。ユダヤ系の名字はどこかに意味が載ってる可能性が高い。  もう一つ、ソティスはシリウスを神格化したもの。エジプト神としての名はソプデト。 帝国のお名前について  貴族の姓の前にフォンがついている。このフォンは英語のオブみたいな感じで、昔社会の授業で習った辺りの歴史では姓+フォン+領地だったのが、領地を持たない名誉貴族が出てきてフォン+姓もいるよってことだったんじゃなかったっけってとこですけど、アドラステア帝国では領地の地名は領地の地名、貴族の姓はフォンをつけずに家名となっています(フォンからが名字、ではない)。  名前はドイツ人名っぽいのですが、姓は古参(有力)貴族は北欧神話の巨人を由来にしているようです。  フレスベル「グ」、ヘヴリン「グ」、「ヒュー」ベルトあたりは時代を経た結果生じた音のゆらぎ、変化に収まるかな。ドイツ語は古語に当たるのではないかと推測しています。今でいうとラテン語辺り。フォドラで最も多い蔵書数を誇るであろう中央教会の図書館があの程度なので、古語の資料はほぼないと見ていい。黒鷲遊撃軍は格調(格好良さ)と教養が詰まった名前であって、中二病ってわけではないと思うよ。これが一日仕事で仕上がる辺り、勢いと喜びが大きいのがわかる。  初代皇帝にならって、貴族はドイツ語圏のファーストネームを名乗ることにしたのかな。帝国から離れたことを示すために王国貴族はフォンを使わないし、名前もドイツ語圏ではないし、その王国から分離した同盟領の貴族はフォンを使うかドイツ語圏の名前(ファーストネーム)である場合が多い。なので、名前でだいたいどこの貴族かがわかるようになってる。  え? フレーチェ? わかんない。 エーデルガルト=フォン=フレスベルグ  貴い守り手フォン死肉を貪り食らう者  よい子は意味をそのまま当てない。守り手というか、城塞というか。こうていはジェネラル系ユニット。  フレースベルグは鷲の姿の「巨人」です。人型ではないけど巨人。北欧神話の巨人は1.図体がでかい、2.人知を超える力がある(場合が多い)、3.人に恩恵をもたらさないなどの特徴を踏まえていれば、人っぽい形じゃなくてもいいみたい。  神話のオーディンとかしこい巨人によるなぜなに問答合戦によれば  オーディン「風はどこから吹くの?」  かしこい巨人「フレースベルグの羽ばたきから」  とのことなので、相当大きいです。フレスベルグ。  大きさイメージとしては、『熱血!大冒険大陸』に出てくる、願いを叶えてくれる鳥くらいではないかな。  紅花ルートだとエデヒューフェルで日月星なんだろうなあという配置。皇帝であって、王じゃないけど。フレスブルグの意味は『図解 北欧神話』参照。 ヒューベルト=フォン=ベストラ  卓越せる思想フォン最も良いもの  名前の意味は日本警察犬協会サイトのドイツ語の犬の名前一覧からそのままパクりました。ドロテアさんがヒューくんと呼んでなかったら明智君とかゆべさんとか読んでた名前です。もしくはたけし(人名に使える「ひゅう」と読む字を彪しか知らない→彪という名前を見たらたけしと読むかな)。  ベストラは北欧神話に登場する主神の母Bestlaの意味の方です。だいたいスペルが違ってる場合は元ネタっぽい方の意味を、見つかれば書いています。  あと、最も良いものという意味は昭和46年に出た本に載ってました(ウィキによると68年だからS43でした)。出典はあります(『北欧神話の口承』植田敏郎/鷺の宮書房)。  作中で明らかになる中では唯一の侯爵。魔神の階級と天体の関係でいうと侯爵は月。 フェルディナント=フォン=エーギル  エーギルの名前の意味は見つからなかったので、当たれる資料を当たって見つからなかったらその旨報告して調査終了になると思います。  フェルディナントは勇敢な旅人、だそうです。JICAの記事にあったよ(『人名の世界地図』掲載のフェルナンドも同様で、「旅と冒険」)。  北欧の巨人エーギルは海神のような扱い。海神の恩恵の方をニョルズ(ヴァン神族)が担当し、災厄の方をエーギル(巨人)が担当している。  妻のラーンは黄金が好きで、船乗りから巻き上げるんだとか。そのため身を守るための賄賂、お守りとして船乗りが少量の黄金を持つ習慣があったとかいいますが、その黄金は神々への接待に使われているので、エーギルの館を訪う神々のせいじゃないですか! ってならない不思議。  エーギルが大波で船を沈め、ラーンが漁網を切り裂く。ロイヤルブラッドにでてくるのは不運な男エイギル。  海で死んだ船乗りの魂はエーギルの元へ行くそうです。  エーギルとヘヴリングの名前の意味はサイト『名前辞典』https://namaejiten.net/様にあったのでそちらでお確かめください。  ルートヴィヒは名高い+戦士(『人名の世界地図』参照)。  公爵は金星。夕星、明けの明星、宵の明星、一番星と言えば金星。 リンハルト=フォン=ヘヴリング  ハルトの部分は強いぞって意味です。リンがわからない。昔からあるハルトのつく名前と新しめのリンの組み合わせ。ヘヴリングはエーギルとラーンの娘、九人の波の乙女のひとり。姉妹に「フレン」がいるのもセスリーンの紋章持ちなのがなんとなーくわかるかもしれない仕様。  九人の波の乙女は元々あった三位一体概念を×3という人数にして盛ってるイメージかな。  ヴァルデマーはウラジーミルの異形。支配、偉大な力(『人名の世界地図』参照)。 カスパル=フォン=ベルグリーズ 『聖書人名録』に名前の意味が載ってなかったよ。聖書では預言を元に救世主を訪れ拝みに来た東方の三賢者のひとり、老人。聖書には名前がなく、後に(恐らく)便宜上つけられた名前。イエスへの贈り物は没薬。  ベルグリーズはラグナロクで神々と巨人が戦う場所(ウィキペディアだとヴィーグリーズになってます)。グロンダーズ所領が関連情報として覚えやすい仕様なのか(ヘヴリングもそんな感じね)。グリーズという女巨人はいる。  レオポルトは勇敢な獅子。たぶん(『日本警察犬協会』サイト参照)。 ベルナデッタ=フォン=ヴァーリ  熊+女性名型の語尾etta。  ヴァーリは神と巨人といて、どちらでもいけそう。オーディンの息子(神)はバルドルの敵を討つために生まれ、ラグナロクを生き残る。ロキの息子(巨人)は狼に変じる。きょうだい殺しという共通点がある。  灰狼の学級の級長と接点があることを考えると、後者由来かなあ。クラッセに居所がないと言っているのもどっち由来なのかわからないのもなんとなーく重なりますね。  グレーゴーアがグレゴリーと共通する意味の名前なら見張る人。 ドロテア=アールノルト  ドロテアは恩寵(贈り物)、アールノルトは鷲。資料を探せば意味もわかる名前でたいへんありがたい。 ペトラーマクネアリー  ペトラは岩、マクネアリーはネアリーの息子(だと思う)。マク~は~の息子。他にオニールのオもそんな感じ。なんとかヴィッチみたいな~の息子を現す名前の部分は結構色々あります。  ネアリーはなんだろうね。 マヌエラ=カザグランダ  救い主としてのキリスト(の女性名形)=大きな家(直訳)  カザグランダは変形ポルトガル語。ごめんね書き間違ってたよマヌエラさん。デで終わると普通にポルトガル語だったんだけど。グランデは性別で変化しないのですが(カザでもカーホでもグランデ)、時代を経て変形したと見做すことにします。カザは女性名詞なので形容詞も女性形になる。地名のカザグランデと混ざりました。申し訳ない。グランダはエスペランサ語かも。謎の人感が増しますわ。 ハンネマン=フォン=エッサー  ジョンには色んな形があるのですね。エッサーはドイツ語直訳なら食べる人。住がマヌエラ先生で、食がハンネマン先生だとすると居がプレイヤー先生なのかね。 イエリッツァ=フォン=フリュム  名前の意味は調べても見つからないことがままあります。男性名とは書いてある。フリュムはラグナロクの時の巨人側の首領の名前です。 ほか追記(見つけ次第) ラディスラヴァはラジスラフの女性名形+英語読み。チェコの名前っぽい。貴族の名前はドイツ語圏とみると、実力で将軍職に就いた庶民ということかしら。人気出るわね。→無双によると近衛兵からの抜擢。本編で近衛が機能してないなあと思ったけど人手不足だったのがとてもよくわかる。 ゲルズは北欧神話、豊穣神フレイの妻になった女巨人。 ランドルフは盾+狼。 メトジェイはメトディウスのチェコ読みとのこと。出所はプラハの聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂なのか、ミュシャの絵なのか。ツィリル君(キュリロス、メトディオスのきょうだい)はプレイアブルなのに。
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うちのベストラ父さんについて

2020年11月07日 | 二次創作
 どうにもベストラ侯(父の方)の人物像がつかめなかったので、ルートに合わせて組み立ててみることにしました。
 ベストラ家及びアガルタ勢についても触れますが、一案としてご参考になればと。
 書けるとこまで、随時追加。

 まず前提として。当方、ファイアーエムブレムヒーローズの風花雪月販促イベント(身もふたもない言い方ですが)に登場したヒューベルトがかわいいと思ったので風花雪月をスイッチごと買った者です。当該イベントにおけるヒューベルトの第一印象が「すごくかしこい人に守られてきたかしこい子みたいなかわいいことを言う」だったので、うちのベストラ侯は傾向として基本的にヒューくんガチ勢です。そうでないバージョンを思いつかなくもないですが、書きたいものでもないので。諸説と違ってここはうちのフォドラ。覚え違いや思い込みも含めて「それは違う」と言われても困るやつ。参考程度にご利用頂いても構いませんが、まるごとそのままというのはご遠慮ください。覚え違いや解釈違いもごく普通に組み込んであります。

 本編に触れてみて、ヒューベルトの感情表現が素直で育ちの良さが窺えるので、やっぱりベストラ父はヒューくんガチ勢なんじゃないかなと思います。ヒューベルトもある時点まではお父さん大好きだったんじゃないかな、メンタルがしっかりしてるのはある程度までは信頼できる人から充分に大切にされていると実感できていたからではないかと。反転したのはエーデルガルトの帰還からの一連の出来事由来でしょうか。
 推測としては、ヒューベルトが別のフレスベルグ家の人に仕えていた際、その人物が「帝位を得るために」実験に参加するのを止めようとして、死なない程度の目に遭ったのを前提としておきます。その後エーデルガルトが戻って、父が①フレスベルグ家を裏切り②今更父親面して自分を庇って③よりによってエーデルガルトを敵に差し出すという、一度で三連撃食らったから。
 佞臣から身を守るため、皇帝に一時的に身を引くことを勧めたと言えば辻褄は合っていた段階までは、まだそこまで振り切れた憎しみはなかったんじゃないかな。亡命について行くのを止めたのも、城内の敵を見極め選り分けてから改めてお迎えすれば良いと言えばこと足りそうなので。
 成り上がりでない身分の正室や側室の子に小紋章程度なら持ってる人がいてもおかしくはなく、でも皇帝が寵妃に舞い上がってたのも明らかで、皇帝のきょうだいに存命の人が出てこないのも、王国で国民を巻き込んだきょうだいげんかしてるのも、他のきょうだいやその周辺にとってエーデルガルトを排除したい理由になる。既に寵妃本人は追い出されている状態、エーデルガルトがいなくなれば大公位はなかったことになるかもとアランデル領を狙う向きもあったかもしれず。そこでフォルクハルトがエーデルガルトを連れ去ってしまえば、帝位を継ぐ可能性がある(セイロスの紋章を持つ)エーデルガルトの身の安全のためにという名目で、そこら辺をなかったことにしなくても良い理由ができる。皇帝は寵妃を諦めてなかったんじゃないかなと思います。母のいなくなった子を慰めるためというだけで、運命の恋なんて話をしないでしょうから。

 金鹿父さん
 空行く者の寄る辺なさ。
 若い。
 名前はエーリヒ。エリックを思い出してはいけない。
 物心ついたときには御屋形様。
 爵位/家督を継いだのは7歳。
 ただし名目上の代行が取れたのは17歳。
 戦勝に酔って捕虜を魔獣化させては屠っていた、その捕虜の「何故か姿を変えなかった者」が先祖。
 血が薄まっているので大概の紋章とは相性が悪い。
 アガルタ勢は敵。
 宰相殿は頼りにしているし水面下で結託している。
 暗殺? 本当にそう思ったの??
 ヒューベルトが闇魔法を使える理由は、複数の紋章が干渉し合ってるため。バランス良く収まってしまっているので表に出てこない。紋章武器を持つとこのバランスが崩れるのでダメージになる。

 青獅子父さん
 父祖からの負債。
 年齢は見た目でわからないタイプ。多分父さんの中では一番年上。
 名前はゴットフリート。名前、存在だけで嫌がらせっぽい感じになればと。
 家督と共に記憶を継ぐ「神様」の家系。
 アガルタ勢の持っている技術の中で幾つか失われた者はだいたい「覚えて」いるが、何も言わない。
 宰相殿は仕方のない御仁だと思っている。ただ、大概の他者に対しても同じように思っている。
 暗殺されたのが本人かどうかはわからないな。
 ヒューベルトの闇魔法は元々そういうものでしたが何か? くらいの感覚。

 黒鷲・銀雪父さん
 約束された未来とは。
 ちょっと険のある見た目。
 名前はフィンセント。VvVになってしまったけど気にしない。
 先祖は乱波。身の丈を隠す影を作れる者の元にいる。皇帝を裏切ったのはその役割を果たすのに十分でなくなったから。
 アガルタ勢は敵でも味方でもない。
 宰相殿も敵でも味方でもない。
 多分、普通に暗殺されてくれてると思う。
 ヒューくんの闇魔法はアガルタがらみでも良いかなあ。打ちのめされていると視野が狭まって、選択肢を失ってしまうし、そこはつけ込まれ放題だったかと。

 黒鷲・紅花父さん
 親殺し。
 存在しないように存在するのが影というものだとか何とか言って、名乗りもしないので当分何にも出てこない。
 名前は諦めてクラウスにしました。それでもやっぱり詳細は謎です。皇帝と同じ名前なのも不遜かな。自分で名乗ったんじゃないけど。

 翠風ラストで登場したのが本人かどうかってところで、複製体でも良いんじゃないかなあ、と。身体と紋章の適合が確認されている→紋章石はあるってところで、どうにかなる。炎の紋章だけはストックがほぼなかったところにエーデルガルトの実験の成功によってストックが増やせる可能性が出た。エーデルガルトに対する実験で使ったのがネメシスだっただろうから、エーデルガルトは「適合者がいるなら複製体ネメシスが使える」ことを証明したことになります。
 レアさんがネメシス本人からお母様を回収していると思われるので、アガルタ勢が持っていたのはストックを使って作っておいた複製体なのではないかと思いました。原本はとっておくものです。
 エーデルガルトがアガルタの希望なのは、他の紋章の持ち主(大本)が女神の眷族だからで、炎の紋章の持ち主は、まだ見ぬ別の力を生み出すかも知れないと見做されていたのかも。それか、アガルタ勢自身では神を倒せず、神を殺して神の力を奪うには神の力(炎の紋章)を借りるしかないのかも。

 FE世界では神様はだいたい竜なのですが、飛竜は飛ぶことに特化して神性を失ったもの、マムクートは竜石によって竜化するもの。竜石を手放し(あるいは失い)特殊な力を持つ者もいます(ていうかそんなのチェイニーくらいしか知らんけど)。
 風花雪月では竜の力が紋章の力となっており、その力の結晶が紋章石となっています。また、竜の姿となるに当たって、竜石を必要としていません。
 紋章の力を手放した者がいても良いんじゃないかな、というところからの青獅子設定です。
 風花雪月での伝承だと、竜化してるときの姿は人間から見て敵ということになっているようです。人っぽい姿をもってようやく神になった女神と、聖人・使徒となった眷族。一方、ガワだけなら人っぽいアガルタ勢。後者は女神によって神の座を追われたのかも知れません。
 そこ、別に争わなくても良くない? と困惑するマジ神はいるかもしれないし、いないかもしれない。

 ベストラ家の表向きの公務がすべて宮城内で事足りる件についても、出自を考えるのに一枚噛ませておきたいところではあって。
 宮城の外に出せなかった。
 表沙汰にできない事情を抱えていた。
 実在しない「誰か」を当てていたが、そのうちそこに良い感じに収まる誰かが現れた。
 と、想像し放題です。これと一つに決めるのは惜しいし、もっと別の事情があってもいいと思うの。

 以下、初期に思いつきをまとめようとして失敗したやつのコピペ。
 金鹿からゲーム始めたのがわかりやすい仕様となっております。この青獅子の設定を踏み台にしたやつを翠風に持ってきたものを書いて、据わりは悪いけど書いたらもういいやってなったので、書くことはもうないかな。ブツは心情的な事情で取り下げちゃいましたが、落ち着いたら再掲します(ついったに放り込みました)。
 最初に思いついたのがエーリヒ(子供大人)だったので、うちのエーギル父さんがやけに頼れる樽になったのです。

金鹿(翠風)エーリヒ
紋章酔いする。症状の緩和のため紋章を持ったために死んだ血族の肉を食う。小さな賽の目状になったもの。たまに内臓だったり骨だったり脳だったりするけど。
先祖はアガルタ、表沙汰にできない捕虜としてアンヴァル宮城に来たのが最初。紋章ストックとして確保された模様。
他のアガルタ勢と違って先祖は普通に死んでるかもしれないし、パーンとして去ったかもしれない。袂は分かっているので仲良くはない。むしろ敵。
多数の紋章の影響を受ける。ダメージは追うものの、特定の紋章を引っ張り出して使うことは可能。普段は紋章は表に出てこない。紋章を持って生まれるものが現れだしたのは、血が薄まってきたからと理解している。実際は不明。
建国当初からの記録は館の各所に隠されている。
幼少期からほぼ当主。まあ若い。
七貴族の変に参加したのは帝国を敵から守るため。と戦争回避。

青獅子(蒼月)ゴットフリート
神様みたいな
先祖はアガルタの神。次代に力を継承すると瞳の色が生来のものに戻る。
神でいるときの瞳の色は青。神であっても元神、次代には生来の色にしか見えない。本人も鏡で見ても生来の色に見える。
力とは記憶。感情や都合で歪まない。失われた人の文明もアガルタの技術もすべて。
ヒューベルトが死んでしまったので帝国を去る。
変に参加したのは置いていった細胞を元に作られたコピー。クローンみたいなもの(記憶はある)。自らを紛い物と認識している。
ヒューベルトが死んだ。皇帝は紛い物をつくって寄越し、これでなかったことにするものと決めた。つまり、フレスベルグはベストラを不要とした。それは帝国の終焉を選択したのと同じだ。<私>は宮城を去ったが、私が宮城にいることを否定しなかった。では、紛い物の私はここで何をすべきなのだろう。
本人はいなくなったらそのまま帰ってこないしフォドラにもいないかもしれない。

教会(銀雪)フィンセント
アガルタの民(ご先祖さん)が同居している。
脳内一人ノリツッコミができそう。
ご先祖さんは穏健派。ただし科学者としては良心がどこかに行ってしまうときがある。
基本的には乗っ取らない系なんだけど、たまにそうでもないときも。


追加事項:ヒューベルトの闇魔法の由来についてもう少し。これは紅花父さんに加えても良いかなあ。
ベストラ家はマクイルの紋章を継いでいる(とする)。門外不出の技や情報を持っている家からは大紋章を持つ者が現れやすいのなら、教会と距離ができて以降皇帝が持たない大紋章を持っているのは据わりが悪いからと生得的に大紋章を持つ者から紋章を取り除いていたかもしれず、その場合闇魔法の使い手となる(理を曲げたので理魔法が使えなくなる)。また、闇魔法の使い手が当主(嫡子)となる。帝国最初期は皇帝から「私が帝位に相応しくないと思ったなら、このセイロスの紋章を消して欲しい」と言われるくらい信頼と近しさがあったかもしれない。「消しますよ」は昔は「皇帝陛下に図々しい要求をするならお前の紋章を消してやるぞ(意訳)」だったかもしれない。何でマクイルなのかって、四聖人に挙げられるほどの近しさが帝国建国当時はあって、なんの痕跡もないのは不自然だから。
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七貴族の変について諸説

2020年10月24日 | 二次創作
 ・諸事情によって注意書きから入ります。
 ・『ファイアーエムブレム風花雪月無双』の情報は当分(発売後半年後くらい)反映しません(そしてエアプになる予定です)。『ファイアーエムブレム風花雪月』のリプレイ等で気づいたことなどは随時、修正、書き足しなどしていきます。……という予定だったのですが、無双のifがどこまでifなのかわからなくなってきたので、特に無双由来で反映できるところはなさそうです。エアプについては下の方に個人的な事情を書いておきます。全くのエアプではありません。
 ・引用を超えるコピペは法律に引っかかる恐れがあります。また、ブログ利用規約もございますので、画面スクショ貼り付けではなく該当ページへのリンクをお願いいたします。中の人は規約を守り、利用料金を払ってgooブログを利用している立場です。このブログを閲覧なさる方は利用規約をお守りください。ご面倒でもよろしくお願いします。

 ・こちらの文章は、そもそも『わからないことを楽しむ』ことを目的として書かれたものです。これが正解と思って書いていません。

 ・諸説あったら面白いし読んでみたいと言いながら、自分のはまとめてなかったので書きました。とは言えまとまっていません。
 ・覚え違いや思い込みも含まれていると思われますので、ご注意ください。
 ・だいたいゲームにはこういう遊び方もあるよ的なものなので、公式から正式に情報が出ても多分このままです。
 ・それほどきちんと「こうして始まって終わる」を書いていません。ぼんやりした感じです。そこら辺はそれぞれの自由な創作に任せたいし、多分私も何か書くとなると毎度ちょっとずつ何か違う。
 ・踏み台(叩き台)にしていただいて構いませんので、差し支えなかったら何か書いて欲しい。読みたいです(このページの目的)。

 皇帝vs六大貴族+1ってことで良いのかな。+1が誰なのかも含めて明確に書かれてはいませんが(フェルディナントさんによればフリュムだそうです。時期が合わない気がして勝手に脳内却下してました)、後に主犯の一人と目されているのがアランデル公なので、絡んでたか巻き込まれたかはしてたはずです。また、単に七貴族と言ったら入る(らしい)ヌーヴェルかもしれない。既に没落していたからエーデルガルト即位後の言及がない。要衝を任されていたとはいえ子爵で、国政には直接関わってないだろうから皇帝に対抗する理由があったかは微妙。ゲルズが巻き込んだことにするのもありかな。
 六大貴族は宰相、宮内卿、内務卿、外務卿、軍務卿、教務卿を代々継いできた家。七大貴族だったら+1はヌーヴェルで確定(ヌーヴェルの皇帝派はその後の扱いに対する後付けの認識)。
 おそらくは六大貴族と後の摂政で良いとは思う。

 ヴァーリはベル父なのか、祖父母のどちらかなのかはわかりません。ベルナデッタはヴァーリ伯長子(嫡子と書かれてはいない)の子として生まれ、アロイスに雰囲気の似た親戚のおじさんがいたそうなので、ヴァーリを協力させるのに叔父さんは邪魔だったかも知れません(同じ人ではない可能性も当然ありますし、叔母さんかもしれません)。ベルナデッタが父から「良いところに嫁に行け」と言われたということは、この発言の当時は嫡子は別にいたと考えられます(この場合ベルナデッタの経歴における「長子の子」の長子は第一子の意味をとる)。敬虔なセイロス教信徒でもあるフォルクハルト=フォン=アランデルが、妹の輿入れをきっかけに身の丈に合わない扱いを受けるに当たって(結果多額の寄進を教会に行うわけですが)、教務卿のヴァーリの関係者にその辺りの相談をしていてもおかしくはないし、それがベル父の発言につながった部分もあるのではと思います。
 内務卿と軍務卿は内務卿の領地にある鉱山を巡って仲が悪い(領地は距離があるので揉める理由が行方不明)。仲が悪いのってだいたい隣同士なんですがゲルズとヌーヴェルはそうでもなかったようで。この時点で先代だったのか当代だったのかもプレイヤーが想像したら良いよってとこなのか、記述を見逃してるのかわかってません。とりあえずここではリンハルトの親とカスパルの父について。
 内務卿は「良くも悪くも普通の人」って、リンハルトに言われても何の参考にもならない気がしますが、飛び抜けておかしいところもなければ、できない人ってわけでもなさそう。
 軍務卿は遣り手のイメージはある。家督を父から分捕ったときに味方した者に引き込まれたのかもしれない。
 宰相家は皇家と血縁を持っている可能性がある。後に(おそらくは摂政に向けた)報告書の改竄をフェルディナントが見つけています。
 外務卿は他家と距離を取っていますが、交渉に必要なカードを入手する機会は常に窺っている。独立はしないものの、独立性は保ちたい印象。(これは追加コンテンツからの外伝ですが)ヌーヴェル子爵を友人と言っているものの、コンスタンツェの状況を知らなかった。けれども後の戦役で潰されたヌーヴェル家の領地を丸抱えと言うか、コンスタンツェが取り戻したい姿で保全していそう(ここでがっつりカードを消費した可能性がありますね)。また外伝に出てきたときの(モブ顔ですが)外見が若い。もしかしたら最年少かもしれない。老け作りしたものの言い方を選ぶ人なら若い方だと思う。ただ、狸爺的な言い方されてたのが本編だったか、そうでないものだったかが思い出せなくてですね。実際爺で紋章なしなら、自由行動に出ている辺り、何かあっても問題ない体制はできていそう。それこそベストラ侯のように何かの拍子でうっかり死んでも危なげのないゲルズなんじゃないかと。
 宮内卿は領地を持たず(皇帝を挟まない状態なら他家との利害関係を持ちにくい)、公務は基本的に宮城内でなし得るもののみ。とは言えヒーローズのヒューベルト曰く「ベストラ家の仕事の大半はうしろぐらいもの」。裏仕事の範囲がどのくらい広いのかが想定しづらく、考えるのが面倒になったら「そこは工兵がなんやかんやで」ってやっても良いんじゃないかってくらいヒューベルトが仕事しすぎる。私が個人的にベストラの裏仕事に夢を見すぎているので、捏造が過ぎることを書いてしまうかもしれないから、ちょっと気をつけます。

 七貴族が六大貴族すべてを含まない場合、確定しているのは主犯格とされるエーギルと、後に主犯格とされるアランデル。ベストラは含まれているかどうかはともかくヒューベルトの後の言動から参画していたと見なせそうなので、残り四人くらいは自由に出し入れできそうな気配ではあります。
 ただ、どうでも良い下っ端貴族だからとこの件に一枚嚙んだものを放置するわけがないので、FEHのヒューベルトの必殺台詞「屑が」はそこら辺のイベントを本筋じゃないからと削除した結果なのかも(父殺しでも良いけど)。
 無双の困ったところは、そこら辺の情報が結局さっぱり出てこなかったとこです。ifなら痒いところに手が届いて欲しい。
 本編で六大貴族のうち二人が紋章なしなのに、魔改造で紋章持ちになった者に家を乗っ取らせてるかのような紋章保持率になってるのも気持ち悪いし(青ルートがそうなってるだけ説はあり)、親世代の紋章保持率もifすぎる。ベルグリーズの継承争いで、紋章社会において紋章持ちを敢えて排除しようとした先代ベルグリーズ伯の狂いっぷりにドン引きしてないのオカシイと思うの。

 爵位が序列を意味するかどうかは怪しいですが、宰相エーギル、外務卿ゲルズが公爵、宮内卿ベストラが侯爵、軍務卿ベルグリーズ、内務卿ヘヴリング、教務卿ヴァーリが伯爵。だいたい公爵は国として独立しても良いくらい偉い。嫡子はひとつ下の爵位と同格かそのすぐ下くらいの位置づけです(お呼ばれの名簿順的に。フォドラでは違うかもしれない)。子の中でも特別。
 日本では貴族イコール爵位持ちなのですが(明治以後)、帝国では貴族(唯一の例外を除いて)イコール領地持ちです。爵位があるのは上位貴族なのかもしれない。爵位と領地が不可分とは限らない(貴族制度の最初は不可分だったはずです)。
 後にエーデルガルトが神と戦うからか、帝国は北欧神話の巨人の名が姓になっている家が結構あります。北欧神話の巨人はラグナロクで神と戦うのです。ベルグリーズはラグナロクにおける神との決戦の地で、ベストラはスペルを(おそらくはわざと)変えてある(Bestla→Vestra 後者は英語では聖具室に近い(vestry)。ラテン語系だと前者の方が獣っぽい(bestia)。vはファウだからフェストラになるんじゃないのかなって思うけど、本編でベストラって読んでるんだからベストラ。※最初は後者の方が獣に近いかと思ったのですが、iとlは文字によっては読み違うから、こっちの方が近いかも、と訂正と追加)。海外勢は元ネタの巨人(主神の母)と、どっちが良かったのかな。もちろん他の巨人等もスペルは違っていますが、von使ってるのにVかあと思ったので。
 なお、ラグナロクの際の巨人の総領はフリュム。ラグナロクに参戦していないだろう巨人の名前もありますが、そこはそれ。

 アガルタ勢。本拠地が同盟領になったのは良かったのか悪かったのか。頭を抑えれば何とかなりそうな帝国や王国と違って、一枚岩ですらない同盟領ですってよ奥様。フォドラ全土各所に小規模な拠点くらいはありそうだけど、大きなことをやるには本拠地に近いところが良いみたい。実験結果のデータも持って帰りやすいし。どうも、同盟領より帝国領の方がやりやすかったようです。フリュム領の隣はエーギル領でしたっけ。(地位的に)中央に近い。
 紋章に関わることで色々怪しげなことをする割に、それ以外の目的が特に見えない。

 七貴族の変は最初、誰が主犯でも組み立てられるくらい情報が少ないなって思ったんですが、ゲルズは安全圏から何かやってると言うより外側にいたい人っぽいから外して(追加コンテンツ情報ですが)、リンハルトはいくら興味がない分野でも「嫌な感じ」くらいは感じ取るだろうからへヴリングも外せそう、その後の立ち回り方からしてベルグリーズも違う感じ。私の脳みそではそこまで思い切ったの書けないのでここら辺は外しています。ベルグリーズはポンコツな皇帝が軍を掌握しようと軍務卿から帝国軍を分捕ろうとしたのでぶち切れ他が便乗ってくらいしか出てこないし、便乗ついでにヘヴリングやヴァーリ抱き込んだやつが結局持ってっただろうしってなって、気がついたら主犯じゃなくなってたパターンにしかならないんですわ。書ける方がいらしたらぜひ読んでみたいベルグリーズ主犯説。

 変から亡命したエーデルガルト皇女の帰還まで約三年。この間、他の皇子皇女が無事だったかどうかも不明。教会への寄進が滞っていないことから(寄進が途切れたタイミングはディミトリが指摘しています)、アランデル公はエーデルガルトを亡命させてから割とすぐに帝国に戻っているはず(領地をほったらかして寄進できる利益は確保できないため)。その後また連れ戻しにフェルディアに行って戻る。莫大な寄進が出来るほどの利益をもたらす領地は、妹の後ろ盾となるべく皇帝から与えられたものでしょう(あんまり役に立った感じがないので実際「善良な」人だったのでしょう)。つまり、元々は皇帝の直轄領だったと考えられます。妹が帝国を追放された後フェルディアにいられたのは、教会への寄進→教会から王国への働きかけかと。直轄領といっても、皇帝が直接管理していた感じではなさそう。FEHのヒューベルトが腐敗貴族について「領地を正しく収めることも出来ない」と言っていますし(ヒューベルトは自分の領域外のことでとやかく悪し様に言うことが極めて少ない)、直轄領の管理はベストラの管轄だったかも。皇帝の名の下に皇帝の利益となるべくその領地を運営するので、「自分の」領地は持たないのかな。
 親世代の紋章の有無については特に語られていません。代々セイロスの紋章を持つとなっている皇帝ですが、紋章が持ち主を選び、紋章の持ち主に紋章の元になった女神の眷族っぽさがあるなら、イオニアス9世にセイロス感がないのは気になるところ。と、思っていたのですが(2回目)、「なくしてしまった大切なものを取り戻すために取り返しのつかない暴挙に出るセイロス」と見れば、エーデルガルトの母がらみの暴走も紋章由来かもしれない。どういうところでセイロス感が出るのかはガチャなのかな。取り繕ってるガワに近いところが出れば、皇帝としては当たりの方だったのかも。ジェラルトさんは多分「炎の紋章の持ち主のためなら他の何を捨て、他の誰の手を離すこともできるセイロス」あたり。エーデルガルトは「母と同胞を失う絶望の淵に立って尚、通常では倒せないだろう敵と戦おうとして、動かしがたい決意で立ち上がるセイロス」。

 ひとまず配置と関係性を整理したかったけど、この時点で想像の余地がありすぎるので、わかったとこだけ。わかってないけど。

 ここからようやく諸説(前置きが長い)。

①皇帝は何かの間違いで追放されてしまった運命の恋人の居場所を突き止めたので連れ戻したかったvs王国との戦争になるから全力で拒否
 皇帝にエーデルガルトの母の居場所を伝えたのが誰か。恐らく追放に関わっていたベストラやその縁者ではないはずです。また、寵妃を連れ戻すに当たって追放に関わった者たちとその縁者を、ものを言える立場から遠ざけたかったでしょう(集権化)。エーデルガルトの母は側室です。正妃の縁者に有力貴族がいたかもしれません。
 勿論これは、ある程度ベストラが弱体化していないと成立しません(または、弱体化していた時期があったのでなければ)。皇帝にその情報を与えるものを近づけてしまっているので。
 実際にはパトリシア(ここではこの名前にしときます)はアガルタ勢が帝国宮城に根を張り終えたので王国へ。作られた「傾城」である可能性もあり。
 戦争を回避していることもあって、皇帝の向こうに回ったベルグリーズに何かしらの有益な、あるいは重要な何かがもたらされたとしたら、それはそのとき後宮にいて、まだ生まれていなかった皇帝の子かも。特定の人物に対する強烈な執着とその感情に伴う常人離れした行動にお心当たりありませんかという妄想。変以後の子はいないなら、このとき後宮から人がいなくなってると見て良さそう(本来の職務を放棄することによって裏仕事に注力→「大半は~」の根拠)。
 アランデル公があらかじめ安全なところに逃がしたはずのエーデルガルトを連れて戻ってきたとき、皇帝が裏切っていたのは誰かとようやく気づくつくり。三年摂政なしでどう切り盛りしてたのかはわからないし、その立場で戻ってきて摂政になれるって何をどうやったのっていう謎が大きい。でも中身の変わった(前から代わってたかも知れないけどその場合は元の人物っぽさをやめた)アランデル公が実験を主導してるのは、その技術を持ってる者たちに指示できるのが彼だけっぽいから多分そう。
 ここで戦争が起こらなかったのでGOtoダスカーの悲劇。
 決定的な破滅をもたらす悪魔は無害そうな姿をしている。

 エーデルガルトの亡命とパトリシアが王国に行ったのが同時だと当然成り立たない。のでこの説では亡命は皇帝の指示であり、王国の母を頼って逃げるようにということだったことにする。悪い暮らしにはならないだろうから、という(希望的観測に満ちた)部分も含めて。
 アランデル公の主観だと「皇帝の指示」、皇帝の主観だと「連れ去られた」だと、こういう工作ができる人が亡命を画策したことになりますね。
 追放と言ってもフェルディアにいたのは、彼女の安全をある程度確保できるところだったからかと。寵妃の敵は帝国の有力貴族の郎党でしょうから、帝国内はもとより、同盟領も手出しは出来そうです。気遣いは裏目に出る。
 アランデル公が摂政になった時期がエーデルガルトの帰還の後か前かははっきりしてない。
 帰還前なら行って戻って、行って戻ってるのですが、アランデル公が連れ去ったと知るのが帰還の時。摂政に寵妃の兄を指名することで、皇帝が宰相の専横を防ごうとした形。
 帰還後なら三年の間アランデル公のようにアランデル領を管理し、寄進を行っていた者がいる可能性。本編の「摂政」は寄進をしていないのではないかなーというのと、その時まで無事だった気がしないのと。ここ読みにくくてわかりにくかったのでちょっと直しました。

 直したのにわかりづらい。
①’皇帝がエーデルガルトの母の所在を知ったのはいつか?
 皇帝の主観:エーデルガルトは(アランデル公に)連れ去られる形で亡命(誰が連れ去ったかをいつ知ったかは不明)
 アランデル公の視点:皇帝の命で姪を王国に逃がす
 このとき、王国にエーデルガルトの母がいることを、アランデル公は知っているし、皇帝も知っていると思っている(皇帝が知っているかは明記されていない)
 エーデルガルトの母の敵:帝国内の有力貴族 同盟領にも帝国派はおり、王国の方が比較的マシ(たぶん)
 皇帝とアランデル公の認識の齟齬を作れるのはおそらくベストラ侯
 皇帝がパトリシアの所在を知って取り戻そうと画策しはじめたのに気づいて、身内にエーデルガルトを連れ去らせることで牽制
 ひとつ動いてしまうと、皇帝を止めるところまで行かないと寵妃の追放に関わった者の立場は危ういのでノンストップで

②六大貴族の誰かが自分を裏切る気がする皇帝vs既得権益&自己防衛
 豊かな帝国も決して統治が安定していたとは言えず、集権化を目指した途端に六大貴族(と、もうひとり)にひっくり返されていることから、あまり求心力がある皇帝とは言えないようです。
 皇帝は元々猜疑心と被害者意識が強い人だったかも知れない。エーデルガルトはきょうだいの人数が多いですが、父方のおじおばは一人も登場しません。バックアップはかけておくタイプのベストラが、この状態を何の手も打たずに認めたのでないなら、イオニアスの帝位には別の協力者が必要だったはずです。その協力者と関わるようになったら、アランデル公のお人柄が変わったようですよ?
 
 と、ここまでアガルタ勢+皇帝vs帝国貴族っぽい形の説。
 ベストラ侯が皇帝は当然として、ヒューベルトを守ろうとしたとして、単純に理屈で考えたら、ヒューベルトに対してエーデルガルトを盾に取れるものが敵にいたことになります。この場合は皇帝(だから反撃で潰すことができない)。
 ヒューベルトにとって、変においては全くの部外者であるハンネマン先生の推測が的外れだったら笑い飛ばしてるところかと。ただ、ヒューベルトの主観でそう思ってただけという可能性もあって(子供の生存本能として)、ベストラ侯に別の目的があったことを否定しません。

③不穏を感じ取った皇帝vsアガルタ勢にほぼ乗っ取られたフリュムと近いエーギル+元々そんな感じのベストラ+ほかのみなさん
 宰相がアガルタ勢にほぼ乗っ取られたフリュム領を横から分捕ったのか、単に隠れ蓑にするために置いておかれたのか、後者だったら先に異変に気づいて宰相を暗殺でもしないと皇帝詰むよね。そうしなかったのは何でって、ベストラがアガルタ側だったってことかな。
 フェルディナントが無事だったのはアガルタ勢の復讐心がもっぱらセイロスに向いていたのと、キッホルの紋章についてのデータを既に持っていて興味がなかったのかも(ちと苦しい)。

④そろそろみんなのネタ。「別の話の主人公」説。内容的にはどっちらけになりまーす。
 教会が手をつけられないほどの戦乱と混乱に見舞われたフォドラ。潜伏し、その戦乱を招いたアガルタ勢が、苦慮している大司教の元に復讐にやってくる。
 異界の住人たる主人公は、焦土と化したフォドラで子供の死体から奇妙な石を見つける。
「どうかフォドラを助けて欲しい」
 時を遡り、石から生まれた妖精()の力を借りて、歴史をやり直せ!
 プラン1:狂った皇帝を押し込めろ
 ……別のゲームになったよ、アハハ!

⑤元々そういう契約だった説。
 赤き凶星を女神へと変えたフォドラに元いた神は、それと同時に力を失うものの、人にしては長めの寿命と、高度文明を支えた知識、知恵を持っていました。
 女神が元神を奉じていた者たちの復讐に遭ったとき、元神に幼い末っ子を託します。
 しかし、愛しいお母様でない何かがお母様のように己にとやかく言うのを許せなかった末っ子は、自分の代わりに自分の祝福を受けた帝国皇帝を補佐するよう元神に依頼します。表向きは穏やかに。
「では千年ほど見守ることとします」
 元神は名をベストラと改めました。自らに、あるいは自らの子に破滅を齎す者の「母」として。
 元神を表す色は、青。ベストラ家は元神を慕っていた人が名を継いだもの。
 
 これは、話(ネタ)の類型としては、呪い(予言)を残して去る怪異(魔女)の亜種です。
 捏造慣れしてない方は「ふたつの紋章を持つ皇帝が立つとき、セイロスの加護は帝国から失われる」くらいのベタから逆算すると、話として元の話からかけ離れすぎず作りやすいかも。慣れてきたら新ネタぶっ込んでみよう。
 怪異譚ぽい感じなら「玉座の間で神馬の蹄の音を聞いた者が帝国を終焉に導く」みたいな架空の「ごく一部の人しか知らない言い伝え」から広げてみる。
 「その話を私の他に誰かとしたか?」「皇子殿下から、父上に話してみよと言われました」
 新生アドラステア帝国誕生のために計算と陰謀を巡らせる親世代。

 こういうのは、通常あり得ない偶然が重なっても不思議な力で呪い/予言の成就に近づいていくので、辻褄を合わせるのに便利。

⑥先帝以前からの蓄積された不満と軋轢に、イオニアス9世の暴走が着火した。
 いきなりそうなったわけじゃなかった。だから皇帝はなす術なく押し込められた。この辺は材料が特にないので捏造し放題ですとも。

⑦皇帝を、紋章を持っているように見えるヤバイ敵と戦う矢面に立たせないため。
 フォドラの紋章の数は22。そうでない力を持つ者が脅威として現れても、紋章を持っているように見えたら教会に助けは求めにくい。
 そこであの人たちがフォドラの紋章を扱う技術を手に味方に来てくれたら。……というオウガバトル式。
  例)貴き11の死体
   全員は出てこないでしょうけども、セイロスとセイロスが生み出したものを憎んでいるかもしれない。ゴーレム? 本体かしら。

 書かれていないところは辻褄が合えばいくらでも捏造して放り込めます。
 変と実験を分けた方が良いのか、絡めた方が良いのか。アガルタ勢は便乗しただけなのか、時間を掛けて仕組んでいたのか。積極的な反皇帝派は誰だったのか。
 一つ変えただけで全体の印象が変わってくるので、好みに合わせて組み立ててみるのも面白いかと思います。

③’アガルタに欲望のたがを外された宰相の暴走
 常識人には暴走する狂人を止めることはできない。
 何でこれを書いてなかったかというと、変からエーデルガルトの即位まで何年もあるからで、一度たがが外れてあり得ない暴走をした人が、まともに止まれないまま何年も過ごしていたらエーデルガルトを「殿下」とは呼べないだろうと推測したからです。『FE風花雪月』は人のメンタルのつくりを割としっかり学んだ、あるいは直感的に理解できる人が、人物造形と配置に噛んでる感じがあって(無双はそうでもない)、(だからちょっと余計にしんどくなることがあります)そこは信頼したいところ。
 宰相として帝国を支えていたなら、「フォドラ全土を再び帝国の版図としたい野望がある」というのも、強欲な人なら尚更、実現に必要な金銭と労力と時間>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>旨味なのを普通に理解しているはずなので(王国領はもうちょっと>>>>>>>が多い気がする)、不自然だなと、別の目的があるのだとごく普通に思っておりましたとも。
 貴族でさえ飢える王国、妥協という言葉の意味をもう一度確かめたい同盟。版図を広げたって、安定的運営から利益を出すまでになるには何代か、かかりそうじゃないですか。



 エアプ事情
 そもそも「無双」のゲームとしての魅力と体質が合わなくてですね。序盤でも1マップで休日がつぶれますの。視覚的情報量が多すぎてぐるんぐるんするので、休み休みでもなかなか進みませんの。方向音痴だし、リズム音痴だしでアクションが苦手っていうだけならまだ良かったのですが、エフェクトが豪華すぎるのとやたら回転するのが睡眠を妨害してくるくらいダメージになってて。
 命大事にでやってますので、半年くらいかかるかなと思って情報があっても書けない予定でしたが、どうにも無理っぽいなーと諦めることにしました。音声コンフィグが充実してなかったら、だましだましもできなかったので、エフェクトもコンフィグできたらありがたかったなあ。

 無双風花雪月について。
 紋章持ち偏重・重用はむしろ王国のイメージだったのが、ゲルズとベストラ以外当主っぽい人がみんな紋章持ちなのでひっくり返してきましたね(なにがしかの事情で紋章を得た人物に当主が替わったのかもしれませんが)。紋章が持ち主を選ぶのではないかというハンネマン先生の私見は好きだったんですけど、完全に個人の感想になっちゃった感じ。
 ゲーム性のためなのか、キャラ付けのためなのか、親世代が紋章持ちになってて、ビミョーな気持ちになりました。
 ていうか、ベルグリーズが後継争いになったことが、帝国が紋章至上主義じゃなかったことを証明しちゃってませんか? それともとち狂った恋心のとち狂いぶりはこのくらいですって例示?
 ただ、リンハルトのお父さんが天才を理解できないエリートなのは、めっちゃわかる。セスリーンみは感じないけれども。
 ヴァーリ伯が紋章持ちなのも、それでいいの? と思う。本編ではただの小心者というより劣等コンプレックスがこじれた人っぽいと思ってたので。「紋章はないけど弟妹の方が人望があった」ならこじれるだろうって? 紋章持ちに下のきょうだいがいた例は本編ではエーデルガルトだけよ。
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エスケイプあるいは三十年分の肉厚

2020年04月12日 | 二次創作
 風花雪月黒鷲捏造親世代。5年後にベストラ侯が生きているくらいのがっつり捏造なので、無理っぽい人は無理に読まないで欲しい。
 願望のみを乗っけた捏造設定をぶっ込み放題にぶっ込んだやつ。
 こういういかにもな二次創作は書いてて楽しかったです。
 登場人物の名前がほぼ出てこないのは二次慣れしてないのと、この話ではわざとです。
 前半部分をあとから書き足しました。このベストラ父さんは金鹿ルート。
 うちはルートによってベストラ父さんのキャラが違うので。そのせいでエーギル父さんまで違っちゃいましたという話。
 基本的に会話が成立していないので、混乱しやすい方はお気をつけて。
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 肩に食い込む重みがそろそろ指先の感覚を奪う頃だ。
 脱走したことになっている恩人は、ここに移送された。近く、騒動に巻き込まれて死ぬ予定になっている。おそらく、本人に否やはない。私の背中の死体が、覆してくれると良いのだけれど。
 自重を超える荷物を背負うにはコツがある。一度下ろしてしまうと、もう一度持ち上げたいとはなかなか思わぬものだ。
「身の丈に合わぬことをひとりでするものではないぞ」
 もう三十年は前のことだ。叱られたことのない子供だった私は、呆れて自分をたしなめる青年に驚いた。何でも一人でやるしかなかったから、そうでない選択肢があると、にわかに理解できなかった。けれどその時、ようやく少しだけ世界が広く見えた。追い詰めてくるばかりの窮屈なものではなくなった。
 今は一人で何でもやる。背に負った重い荷物は自分で選んだものだ。だから心は軽い。
 大きめの商家の倉庫だった建物を、雑に作り替えた自警団の番所。一部が寝泊まりできるようになっている、その中でも最も小さな部屋に罪人を閉じ込めておくことがある。中央からの役人に引き渡すこともあれば、そのまま始末することもある。自警団は領主が変わってから隣接の領地の密かな援助を受けて結成された。先代はその余裕を与えなかったが失脚した。領民は新領主を歓迎したが、期待は手ひどく裏切られ、怒りと憎しみに変わった。新領主は恨みのはけ口として旧領主を差し出すことにした。
 何もかもが間違っている。
 改築された倉庫に人の出入りし居住できる強度はない。罪人を取り戻そうとする賊が襲撃してくれば、ひとたまりもないつくりだ。投石にも焼き討ちにも弱い。何より、組織だった防衛がしにくい。せめて設計からやり直せ。
 先代領主は故あって領内を金銭的に締め上げた。その分、帝国に巣くう敵を慎重に排除していたはずだ。搾取の部分を猿真似をした者が破綻させ、事ここに至った。咎があるなら現領主の方だろう。
「ここにいる罪人と話がしたいのだけれど、表立って許可は出せないようでね」
 番兵は訝しげに私を見た。
 私の姿形を知る者は多くない。けれど、似た色合いを持つ人物は知っているだろう。
 今、ここに罪人は一人しかいない。その事情を知る部外者。当然、警戒はする。
 兵は後ろの扉を見た。番所の内側から、入り口前にいる人物を確かめることができない。本当に、ひどいつくりだ。
「お待ちください」
 慎重に言い置いて兵は扉の内側へ去った。図面通りなら、正面から一人ずつ殺していけば、騒がれることも、ことが発覚することも当分はない。けれど、なるべくそうしないと決めた。彼らを地域の防衛に足りる集団にするには、時間と教育が要る。まずは領主が別の誰かに変わるのが望ましいのだけれど、その前に個人的な事情ごときで全滅させてはいけない。これからの帝国を、あるいは別の何かを担っていく者たちだ。
 紋章酔いの症状は出ないから、ここにいる紋章持ちは公一人。
 血が薄まったためか、先祖が受けた呪いとも言うべきものが、目に見える不都合として現れるようになった。紋章酔いはそのひとつ。比較的マシな部類だ。
 帝国でない何かが何になるのか、手を離してしまった私にはどうでもいい話だ。
 ガルグ=マクにいた頃、鷲獅子戦の感想戦で、亡友が言っていたという言葉を思い出す。
「宮内卿が前線にいるなら帝国は末期だ」
 残念ながら、遠からずきっとそうなる。
 けれど、宮城の外に現れる宮内卿のおかげで、必要な小細工の数が減った。良し悪しだ。
 ヒューベルトとは、同じ者を敵としながら、決して共に戦うことはなかった。裏切り者など背を預けるには値しないのだろう、それでいい。皇帝を皇帝たらしめるのがベストラならば、私はとうにベストラであることをやめた。
 番兵が戻ってきた。
 兵装も武器も足りていないのだろう、鎧が身体に合っていない。少しの挙動でずれては直し。年齢の割に苦労が染みついているのか、表情が疲れている。きっと三十を少し過ぎたくらいで老人に見えるようになる。生きていればの話だけれど。
「お入りください。……その、話をしに来られたとのことですが」
 扉を大きく開ける。警戒した様子を見せる兵が二人、テーブルの奥に座っている。テーブルの板は分厚く、作戦机にもなっているようだ。
「うん、話をするだけです」
 事態が動くのはまだ先だから。何かをするのはそのあと。
「どのようなお話を」
「その荷物は何ですか」
 番兵を遮り、座っているうちの一人が声をかけてくる。責任感が強すぎて前のめりになる性行があるようだ。
「死体ですよ」
 番兵が一歩離れた。安全距離としては不十分だが通路は狭い。
「あなたはいずれこうなると、知らせてやりたくなりまして」
 嘘は言っていない。役に立つかは知らないが、女神に誓ってもいいだろう。
「改めても?」
「構いません。疫病で死んだものでもありませんから」
 言い足して、その知識のないものに言っても仕方のないことを言ったと思った。
 座っていたもう一方が腰を上げた。
「疫病で死んだ者だと、何か問題があるのでしょうか」
 リーダー格の号令担当と頭脳労働担当、その後者。確か、近所の子供に読み書きを教えることもあったと。
「最悪の場合、ここにいる全員がその疾病で死にますね」
 流行病の恐ろしさは、呪いの比ではない。教団が科学と医学の進歩を差し止める、その傲慢から来る災厄であるにも関わらず、人は流行の終焉を神に祈る。このばかばかしさと来たら。
「その者はもう死んでいるのにですか」
 病は宿主と同時には死なない。医者の残した記録が裏付けている。三四半世紀前に国境の領地をまるごと焼いた魔人は、およそ四半世紀前に同じ病を広がる前に焼いて封じたと手紙を寄越して、それからまもなく死んだ。その翌年、ガルグ=マクで直弟子と出会い、さらにその翌年、直弟子も死んだ。
「焼くしかないものも、いまだありますよ」
 白魔法で救うことのできない者はいる。祈りでは助けられない。コルネリアがもたらしたのが緩い公衆衛生でなく特効薬であったなら、教団は言いがかりをつけ彼女を魔女として血祭りに上げただろう。魔人は自らの領地を焼く狂人を演じなければならなかった。
「あなたは、お医者様ですか」
 似たようなことなら、いくらか。人体に関わる知識はそれこそ千年分はある。けれど私は医者にはなれない。
「亡友に医者がいました」
 魔人の直弟子。彼を消すことに関しては、教団と敵との利害が一致した。
 皇帝を盾に取る敵と、帝国を作った教団と。もっと早くに自分を諦めていたなら、誰かは助けられたかもしれない。起こるとわかっていた水害から。起こるとわかっていた紛争から。起こるとわかっていた虐殺から。けれど、諦められなかった。私は彼らを助けない選択をした。その報いが、死ぬとわかっている我が子を止められないことならば、随分と軽い。
「あの罪人は、あなたにとって、それほど憎い方なのですか」
 死体を見せつけたくなるほどに。
 なるほど、それが普通の感性か。私は恩人にひどいことをしに来た。そうなるのか。
「憎いわけではありません。むしろ、恩返しのようなものです」
 返すべくもないけれど。
「そうですか、でしたらどうぞ、奥へお進みください」
 座ったままのもう一方が驚いて名を呼ぶ。
「改めなくても?」
「はい」
 きっぱりと肯定した。彼女は恩人にそれなりの敬意を持っている。ここから逃がすでもなく、害意もないことを確かめられれば良かったようだ。
 自警団は思想的にも一枚岩ではないのが見て取れる。
「後日になりますが、ここの改築案を届けさせますよ。今のままでは、拠点としてまるで役に立ちませんから」
 少しでも、自らを守ることができるようになるといい。
「ありがとうございます、閣下」
 隣で、確かに不便なところはあるけどなどと、もごもご言っている。
「爵位は既に倅が継いでいます」
 皇帝を皇帝たらしめるベストラとして。
「それでは何と」
「呼び名などなくとも、もうここへは来ません」
 番兵は混乱のあまり口許が笑い始めた。
 気難しげに息を吐く彼女のような者には、まだ生きにくい世の中だ。考えすぎる、察しが良すぎる、わかりすぎる。そうした人たちを摩耗させても女神はどこまでも赦すだろう。学問を押しとどめるとはそういうことだ。学び得る者はどこにでもいるというのに。
 動けなくなっている番兵を置いて、奥へと進む。建物自体がそう広くないから端の方というだけ。気づかれないまま軟禁されている罪人を連れ出すのに特に苦労はしない。
 けれど、今はそうしない。
 ドアには一応、錠がかけてある。
 幼い私は恋に狂った皇帝を、皇帝としてあるべき姿に変えようとした。狂った者を変えようなどと、どれほど愚かで驕慢なことか。狂気は人の力の及ぶところではない。
 自ら望んで手にした帝位、継承権を持つきょうだいを遠ざけ、時に命を奪った。にもかかわらず、皇帝でない何かに成り下がろうとする先帝を、認められなかった。
 皇帝は不逞の輩にその力を奪われたものであり、自ら力を振るうにふさわしからぬ者になったわけではない。そういう形にしておきたかった。
 最初から、何もかもが間違っていた。
 これは私の過ちだ。他の誰かに何を負わせることがある。
 指先が冷たい。背中の荷物はそこまで重いものだったろうか。
 ドアを開け、部屋の中に向かって声をかける。
「お久しぶりです、元宰相殿」
 樽のような体型の恩人は窓の外を見て振り返りもしない。後頭部に残る東雲色は、以前より量を減らしている。
 ドアを閉め、目的を伝える。
 話をすると言っても、それほど会話が成立したことはない。それで伝わるし、それで十分だった。これまでは。
 背の荷物を下ろす。この死体と、この恩人とを見比べるために。
 箱の蓋を開けると、恩人は心持ち眉間の皺を深くしながら振り返った。


 結局、取り返された。敵の手に渡る物資、資金の話だ。
 まず、既に敵の影響下にあったフリュム領から、私の名で敵に関わる者を締め出した。少しでも余計に手を出せば何も取れなくなるほどに締め上げていたから、敵がその配分と調整を理解できなければ、領民が暴動を起こす。豊かな帝国領内で、近隣領地からの援助を完全に絶つことはできない。締め上げすぎたら死ぬが、さもなければ必ず余力がある。人体実験をするくせに、人間の強度と紋章の相性をろくに理解していないと聞いたから、こちらの方もそんなものだろう。暴動に巻き込まれるのは、立場と状況を考えれば仕方がないことと言えた。領民にしてみたら領主が代わったところで敵の名前がすげ替えられただけの話だったので、どちらも許しがたいだろう。後釜については、過去の印象が良いだけに失望も大きいはずだ。
 印象はあらかじめ作り、積み上げておくものだ。大きな金額を動かす日常があると思われていれば、その数字に多少の揺らぎがあっても、御用商人がうまくやったと認識されるに過ぎない。宮城にまで入り込んだ、味方の顔をした敵と戦うに当たって、近衛ですら役に立ったことはない。敵の向こう側にいるのが、他ならぬ皇帝だったからだ。その皇帝から力を奪ったとは言え、そのまま帝国領内を好き放題に食い散らされるわけにはいかない。となれば、戦うための資金も人も、戦うと決めた者たちで用意するしかない。正直に言うなら教団との戦争は避けたかった。相容れないと誰にもわかる態度でいられたのは、この認識の違いによる。
 それにしても、アレだの敵だのと。共通の通称すらないのは不便なものだ。
 いずれ忘れ去られるべき者に、その名で呼ぶ価値はないと言っていた男は、予告通りに死んだと聞いた。本当に、今の帝国にあの敵と戦うだけの力があるのか、いずれそうする余地ができる算段が付いたのか、まともな情報が入ってこない軟禁場所で把握できる術はない。
 帝国が終わるにしろ、そうでないにしろ、フレスベルグの意志によるべきだ。そのための皇帝は立った。あとはなるようになるだけだ。となれば、私も役割を十分に果たしたと言えよう。些かの不名誉は取るに足らぬことだ。
「お久しぶりです、元宰相殿」
 声と共に、部屋のドアが開いた。錠がついていたはずだが、声の主にはどうということもないようだ。
 窓の外を見ているふりをして、振り返らないことにした。関わると本当にろくなことがなかったのだから、せめてもの抵抗だ。死んだはずだとか、常識外だとか、場をわきまえるべきだとかは求めてはいけない概念だと身にしみている。
 もう少し驚いた方が良かったのかもしれないが、とてもそんな気にはなれなかった。
 この男は死の使い方を知っている。
「そろそろ貴方に死んでいただこうと思いまして、その準備に参りました」
 こういうことは本当にうれしそうに言うのだな。
 声だけを聞いていると、感情を取り逃がす。大事なことほど、取るに足らぬことのように、投げ捨てるような言い方をする。
 窓を見ると、相変わらずどこか絶望を含んだ顔をしていた。口許だけが笑っている。
 生意気な青二才にうっかり道理を説いてやったせいで(私も若かった)、変になつかれたのが運の尽き。
「死人はお前の方だろう」
 男は背負った大きな箱を下ろすと、声を立てて笑った。今は何と呼ぶべきか。互いに名では呼ばないし、これからもそうかもしれない。味方であると知られることが互いの命を危うくする。そういう時期が長かった。
「ええ、まあ。病死でも自殺でもないということは、そういうことです」
 軽く言っているから、言いたくないことが多々あったようだ。
 一見穏やかに当主が交代したときの方が、血なまぐさい事件が起きている家柄だ。
 家督を継いだ子息とは、外見だけは余り似ていない。余人には髪と瞳の色が同じなら似ているように見えるものらしいが。
「それでですね」
 箱を開けると、折りたたまれた人間が出てきた。さすがに振り返る。
「ここに、伝え聞く貴方の風貌と共通点があるのを良いことに、重税のついでで余計なことをして幾人かの商人を吊らせた賊の死体があります」
 まだ死体ではない。箱に収めるためか、いくつかの関節がはずされ、意識はないものの、死んではいない。
「特徴的な違いがある部分をつぶしておき、それが目立たなくなる頃合いを見計らって発見してもらうこととします」
 長年の重圧と過労と不摂生が作ったこの身体と、賊とやらの体格は、近いと言えるものだろうか。
「そこでですね」
 男は賊の額近くの髪を無造作に掴んで引き抜いた。
「わあああ」
「何故貴方が悲鳴を?」
 心底不思議そうに言ってくるのが恨めしい。自身の手に負えないものを、配分も含めてどれだけこちらに丸投げしてきたと思っているのか。本当に、度し難い。
「普段身につけておられる下着の素材と形を確認したいのですが」
 下着?
「気の毒な元宰相殿は混乱のさなか、どこからか沸いて出た物取りに遭って、身ぐるみ剥がされてしまうので」
 ちょっと待て、その筋書きは何だ。滑稽小話でもあるまいし。
 実際には、追い詰められた者ほど辻褄の合わない行動を取る。もしかしたら、私もそうかもしれない。気の毒かどうかはさておき。
「細部はどうでも、これが貴方の死体だと認識されれば良いのです」
 男が引きちぎった髪を燃やすと、嫌な臭いがした。どこであれ、人の身体が燃えるのは嫌なものだ。
「替えの服ならその戸棚にある」
 広くもない部屋の大きくもない戸棚。寝台が部屋の三分の一を占めており、椅子はあるが机はない。
「まがい物にはまがい物で十分かと」
 ならば、現物を見れば良いだけだ。だが、言葉の意図は理解したらしく、不満を隠そうともしない。
「私の名で死ぬのだろう」
 状態はどうあれ。詳細を入念に確かめる者はないだろうが、疑いの余地は少しでも減らした方が良い。
 諦めたのか、男は戸棚から下着だけを一枚ずつ取り出した。賊に合わせて多少の調整はするはずだ。
「帝国が続くにしろ、そうでないにしろ、元宰相殿は障害か老害にしかなりませんから、どこかで静かに暮らしていただけると良いのですが」
 知っている。はっきりと死んだことにしておきたい理由も。立ったばかりの皇帝が反体制側を引き寄せるのに使うには、元宰相の立場ではことが大きくなりすぎてしまう。
「ご希望は?」
「お前は?」
 質問に質問で返す。希望などない。何ならその筋書き通りに死んでもかまわない。悪辣な領主は片方だけでも早々に酷たらしく死んだ方が、領民の不満は収まりやすい。敢えて助ける理由もないものを、何を求めて来たというのか。
 案の定、途方に暮れた顔をしている。
 今更別の場所で別人のように生きて何になる。
 これ以上のこともほかの選択もできなかったろう、お互いに。
 身動きが取れなくなると、人の顔を見に来る。頼られたからこその今。何かを間違えたわけでもなく、破綻したわけでもなく訪れた結末。これでいいと言ったら。
 返事はない。それが返答。
 全く、余計なことにばかり口が回るくせに言外の要求が多い。
 手を出すまいと決めたこと以外に、できることが何もない。主も友も妻も、みんな死んでしまった、だから何かをすべき相手もいない。ほかに引き受ける者などおるまい、だから私の元に来た。
「いくつか聞いておきたい」
「お答えできるものでしたら」
 あからさまに安堵する。何に怯えることがある? 思い描く未来などなかった。一つの手違いでもあれば帝国は生まれ変われなかった。もう報われているというのに。
「調査員は何人残った?」
 正確にはフリュム領から搾り取るのに必要な調査をまとめていた者たちだ。そのまま敵に使われる気もない者もいるだろう。
「生存が確認できた二十七人はエーギル領に帰しました、倅が」
 近々に起こる暴動は確定済みか。よくもこれだけ持ったものだ。領民や敵から身を守る名目で、調査員を元いた土地に帰すのは皇帝の温情にも見える。混乱に巻き込まれて元宰相が死ぬのは不可抗力、と。
 理屈がよくわかっている。あとは、経験だ。その機会があれば良いが。
「敵の名を知っているな」
 名がない敵。何より味方にものを伝えるに当たって不便で仕方がなかった。
「ええ、まあ。私はアレだの敵だのとしか呼びませんが、倅は呼称で呼んでおります」
 勝手に呼称をつけてもまた不都合があるだろう。
「そういう問題ではない」
 名を知っている。つまり敵には特定の名がある。
「父祖に倣ったものです。実例としては、ネの付くアレについた蚤、モグラもどき、言葉の意味が変わったので現在では口にすれば良識が疑われる文言になったもの、長すぎて結局あのアレと呼ぶに至ったものなどと、連中が名乗った名で呼んだ者はおりません」
 恐らくその言葉の意味が変わったのは、ほかならぬベストラのせいだろう。
「私の代では既に帝国内に入り込まれていて、当の本人共に何の話をしているのか知られる恐れがありましたので」
 ほかの物事には符丁や隠語を使うのに、あの敵にはそうしない。せめて特定の呼称でもつけておいてくれれば良いものを。……待て。さきほど挙げた実例以外の統一された呼称で子息が敵を呼んでいるなら、それが「呼称で呼んでいる」という言い方になるのか。
「それで、その呼称とやらは」
「私は呼びません」
 頑なだな。自分にとっては呼称ではない、で通すつもりらしい。
 敵の名を呼ぶ機会など、ない方が良い。同じ間違いが起こるのでなければ。そのための記録を残すに当たって、名が書けないままだと骨が折れる。
「敵が宮城で最初に殺したのは皇弟か?」
「いいえ」
 となると、敵が最初に入り込んでいたのは、この元宮内卿が爵位を継ぐ前、表向き出入りできなかった後宮か。寵姫の入内に強硬に異を唱えたのは彼女を敵から守るため。
 皇帝も敵も、後宮での事情を、年端も行かぬ宮内卿の嫡子が知っているとは思っていなかった。本来職務に当たるはずの宮内卿が臥せっていたこともあり、両者ともに自由を奪われまいとした結果、事態が悪い方向に傾いた。
 かの寵姫が入内を果たし、敵が皇帝の子と妃を幾人か葬ったあと、ようやくベストラの代が代わったときには、帝国は、いつ乗っ取られてもおかしくはない状況ができあがっていた。
「どこへ行くつもりだった」
 彼は理由を余人に知られぬまま皇帝から離心した。だからそれが誰もが目を背けてきた人物か、後宮に由来していると想像はつく。先帝を皇帝とは見なせなくなることが起こった、あるいは。離心したように見せることで、敵を見誤ってきた皇帝に距離を取らせようとしたか。
「いつの話でしょう」
 ベストラは、帝国のはじめの時から言わば宮城に閉じ込められてきた。帝国中から集まる情報を受け取りはしても、自らが帝国中のどこへでも行けるわけではない。
 だからこそ、どこかへ行くつもりだったはずだ。帝国を見限って。あるいは、皇帝を後ろめたさから救うために。
 全盛期にはフォドラ全土を巡っていた情報網は見る影もなく寸断され、秘密警察たる私兵は皇帝の命で解体され、頼るべきを背にかばう立場に置かされていた、幼さ故に、立場故に助けを求める言葉は事前に遮断されていた。それでも守ると決めた皇帝にはそのために疎まれ、敵と戦うに当たっては枷としかならなかった。絶望が表情に張り付いているのは当たり前だ。打てる手はすべて打っているのに、良からぬ事態が起こると知っていてそうなるのだから。長くそうしていたら、そういう顔になる。一つの間違いが帝国を終わらせてしまうと自らを追い立ててきた私の眉間の皺と同じように。
「……飛竜を駆って、できるだけ遠くへと思ったことならありますよ。若い頃ですが」
「若……?」
 随分年下だと思っていた者から意外な単語が出てくると、なかなかに衝撃的だ。
「アレについて最初にご相談申し上げたのが何年前だったと」
 もう三十年近く前だ。互いにまだ家督を継ぐ前。父の名代として公務に当たることもある年少者に、なぜだか私は年長者として実利を説くべきだと思い込んでいて。薄気味悪い話を薄気味悪い者から聞いたようなつもりでいた。公務にすら出ていたのだから、正式な継承がなかっただけで、実態は当時から彼が当主だったのだろう。子供とみて話を聞かなかった父は戦力とみなされず、対応がその分遅れた。
「何がおかしい」
 元宮内卿が笑ったままうなずく。
「意外なほど筒抜けだったのだなと」
 心情的に距離を取られているなら、ごまかせているはずだと。そういう希望的観測は、だいたい的外れだ。距離は、他人が自分を見ていない保証にはならない。
「お前は顔に出すぎる」
 他者への失望と、諦めとを。
 ただの裏返しでもあり、引き受けてきたものの多さでもあり、それ故の実感の乏しさでもある。どうしようもなく、ほかのやり方を知らない。守る側でしかなかった者は、守られてしまった者の悲しみや、守られすぎた者の増長を理解しない。
 理解は共感ではない。が、この扱いの面倒くさい危険物はおそらく誰の手にも余る。
 見込み違いだと言ってやりたいが、放っておいてもどうせ死ぬ身だ。毒を食らわば皿までといこうか。
 できるだけ遠くへ。海を越えて、紋章と関わりを持たずにいられる場所を確保していたのではないか。
 私が障害か老害にしかならないというなら、フォドラの外に行くのが良いはずだ。
「腹芸ができないとはご指摘の通りです」
 そんなことも言ったな。
 小さく息をつき、笑いを収める。この世の終わりのような顔をして。
「言葉も通じない場所にお連れしても?」
 地獄とどちらがましかは、後で考えることにしよう。
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