街に戻ってきた。
おりしもMalmö市の夏のお祭り「マルモフェスティバル」が三年ぶりに開かれており、全国また外国からも訪問客がどっさり来てにぎわっている。人口がいつもの3倍ぐらいあるような気がする。
お祭りは約一週間続き、連日有名アーティストのコンサートやイベントがある。これらはたいてい無料!
そのほか、子供向けの移動遊園地やゲームもかなり大規模だ。駅に降り立ったとたんに絶叫系の乗り物からの悲鳴が夜遅くまで聞こえてくる。
そして、世界各国の食べ物にありつける屋台街もある。値段は安くないがちょっと珍しいものが食べられる。
ちょっと怪しいけれどひらがなは全部正しく書けていた!
ブダペストから来た家族が「こんなトッピングは初めて見た!」と驚いたスウェーデン風ランゴス
その中で私が気になっていたのはこの店。野草ルピナスの豆から作ったバーガー屋Lupinta
ルピナスは夏から秋にかけて原っぱや林の近くによく生えている野の草で、ジギタリスのように群生している。数種類の色が花が咲きなかなかデコラティブだ。
数年前になるが、スウェーデンの食環境を改善しよう!というテーマのテレビシリーズがあり、その中でこのルピナスの豆は処理をすれば食用にすることができると紹介されていた。タンパク質と繊維が豊富なのだという。海藻や昆虫とともに「未来の食べ物」のように持ち上げられていた。その後商品化されて冷凍食品として売り出されたことは聞いていたがいまひとつ話題にならない。
「今度道で見かけたら種をとってこよう。」と思ったのだが、以前この花をよく見かけた林のあたりを見てもみつからない。
「もしかしてみんなが取って食べつくしちゃったの?」と思っていたら、どうやらそうではないことがわかった。
このルピナスという植物はもともとスウェーデンにあった種ではなく、前世紀から増えてきたものらしい。繁殖力が強く、というか強すぎて在来種の植物を絶滅の危機に追いやっている悪玉だからできるだけ繁殖しないように努めるべきだと書いている報告書もあった。だから以前ほど見かけなくなっていたのだ。そんなにアグレッシブな植物だったとは!
へえーっ?
林や原っぱの夏の風物詩だったと自分が思っていたものが迷惑なよそ者だったというわけ?
最近動植物の「外来種による在来種の駆逐の問題」について見聞きするとき、ちょっと背中がうすら寒くなることがある。というのは私自身がスウェーデンにおける「外来種」だからだ…
それは置いておいて、それでもこれを食品とするのもダメということはないんじゃないかと会社のホームページをのぞいてみた。すると、この会社が商品化しているルピナスは自生しているものとは違って、ドイツから輸入した特別な種類のものであると書いてあった。それをどこかで栽培して工場で加工しているらしい。
「そこらへんに生えている野草を食べる」という私が抱いたイメージとはかなり違うけれど、とにかくその会社がこのマルモフェスティバルに「ルピナスバーガー」の屋台を出すというので「これは食べてみなくちゃ」と思って買いに行ったという次第。
メニューは三つ。ルピナスをハンバーグ上にしたものをパンにはさんだもの、中華まん風のものにはさんだもの、そして焼きそばにのせたもの。
値段は同じ95kr。私は中華まんサンドを注文した。
この写真ではよくわからないが、豆を煮てちょっとつぶして揚げたような感じ。食感はレンズマメのようでちょっとスパイスが利いていて美味しかった。
かかっているソースはマヨネーズとタイのシラチャーソースが混じったような感じ。
乾いた豆を売っている所もあるそうなので、今度買いに行ってみよう。
それにしても野生のルピナスの花が見られなくなってきたのはちょっと寂しい…。
道端のを食べちゃだめですよ(笑)。
この夏は久々に食べたいなと思ってたのだけど、ちょっと手間がかかるんですよね。アルカロイドについては、苦味がなくなったら毒も抜けてるということだと思います。
ギリシャにも生えているんですね!スウェーデンではかなり邪魔者扱いされるようになってしまって、「見かけたら通報するように」なんて書いてある地方自治体のサイトもあってびっくりしました。
処理に手間がかかるのはちょっとハードルが高いですね…
ところで、パコラのレシピによくでてくる「ヒング」を検索するとすぐいっしょに出てくるAsafoeridaというのはギリシャ語なんですね。これはよく使うスパイスですか?