ミュージシャンのKANさんが亡くなった。
19歳で出会って、ずっと大好きだった。
ファンクラブにも入り、数えきれないくらいライブに行った。
ラジオに初めてリクエストして採用されたのは「恋する2人の834㎞」(「野球選手が好きだった。」収録)だった。
もともと大江千里さんのファンで、ピアノ弾きに惹かれる素地はあった。
ポール・マッカートニーとビリー・ジョエルが好きな兄の影響で、ダイレクトな懐かしさと親しみを感じた。
KANさんの素晴らしいところは、クラシックの素養に下支えされたその卓越した演奏技術と心地よいメロディーと歌声。
さらに独特すぎる面白い歌詞と切ない歌を歌い分けるバランス感覚と豊かな音楽性、そしてなんといっても、信じられないほどの諧謔精神で抱腹絶倒のライブパフォーマンスだった。
著名人の訃報にふれ涙することはあまりない私だが、今回は、さすがに泣いた。
そのくらい、大きな大きな影響を受けた人だ。
ここ数年は諸事情でライブに足を運べず、昨年末のライブが延期になった際には家族と残念がった。
近年バンドメンバーが亡くなったり、闘病でツアー中止したりいろいろあって、でも復活を願っていた。
私の身内にKANファンは多い(兄、私、夫)が、周りにはあまりファンがいない印象で、どちらかといえば、ひそやかに応援するスタイル。
「KANのライブに行く」というと「えっ、そんなに曲あるの? 愛は勝つ10回歌うの?」と言われた知り合いもいた。
今回の訃報を伝えるテレビも、9割がた「愛は勝つの大ヒットで知られるミュージシャンのKANさんが」という伝え方で、それはとても正しいけれど、ファンは思っている、「それだけじゃないぜ」と。「KANちゃんもっとすごい曲いっぱいあるぜ」と。
好きなアルバム、好きな曲は挙げればきりがない。
思い入れがあるアルバムは「TOKYO MAN」。
曲は「東京ライフ」「Day By Day」「Regrets」「Songwriter」「プロポーズ」「君が好き胸が痛い」「何の変哲もないLove Song」「朝日橋」「めずらしい人生」、今井美樹さんに提供した「新しい街で」、ああ、ビリーの「Baby Grant」をリスペクトした「牛乳のんでギュー」も忘れてはいけないわ。「秋、多摩川にて」も。。。
そう、「愛は勝つ」はビリーの「アップタウンガール」を目指したことは有名ですが、「Songwriter 」は「The Entertainer」や「She’s always a woman 」「summer highland falls」かなとか元ネタを探すのもファンの楽しみの一つでした。
桜井さんや馬場さんとのコラボ、Perfume風、マッキーや浜省へのオマージュ(?)もびっくりしたな…
ほんと全部好きなんですけどね……
今、FM COCOLOノンストップKANメドレーを聴きながら本文を書いています。
全部好き、全部クオリティーが高すぎると一人夜中に身もだえています。
こんなに才能のある音楽家はそうそういない、と。
そして今更ながら、こんなにもたくさん愛されたミュージシャンだったんだ、と。
サブスク解禁もされ、曲を残す覚悟があったと今では判る。
KANさんはいつか戻ってくると楽観的で身勝手で迂闊な一ファンの私は信じ、もっともっとライブを見たかったと涙したけれど、KANさんのライブ未経験の方から「羨ましい」と言っていただき、そうか、その宝石のような音楽と人柄に、人生を彩ってもらえて幸せだったんだと、本当に感謝しています。
ありがとう、KANさん。
最後まであなたらしい去り方に、心から敬服しています。
Songwriter KAN
https://youtu.be/ZgFzYTIr-nk?si=is14OF7LP9kNOZHz
この曲の途中で、奥様の早稲田桜子さんのバイオリンが入ります
その瞬間ちらっと見てニヤッとするKANさん、永遠に推せる。
(2:20〜)
余談ですが2011年10月のサンパール荒川でのライブで、すぐ近くに奥様が座っていらして、あまりに素敵な方で声をかけたい衝動を必死にこらえ、以降ブログなどひそかに拝読していた私なので、奥様の心中を思うと余計なお世話と知りつつ心配しています。
金沢Azホールでのライブで、地元の小学生に「好きな子いるの? 一番可愛い子と付き合わなきゃだめだよ。一番可愛いと思う子だよ」と熱弁をふるっていたKANさんにとっての一番可愛い子が、桜子さんその人だったんだな。
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