7月27日
31日に帰りのフェリーを予約している。
更に28日にはニセコ近辺まで戻っていたい事情もある。
よって、これからは移動が主な作業となる。
とは言いながらも、知床遊覧船クルーズが欠航になったお陰で、糠平までの移動が可能になった。
目的はタイトルの通り、
廃線となった旧国鉄士幌線のコンクリートアーチ橋、タウシュベツ橋梁を見る為である。
この橋に近づくためには、現地NPO法人が運営するツアー参加(3500円)が便利だ。
簡単なガイダンスの後、全員が黄色い長靴に履き替え、ツアーガイドが運転する4台の車に分乗して出発である。
鍵がかかったゲート。
ここから先の林道は、許可車両しか入場できないようになっている。
「ここから先は頻繁に目撃されてます。この前も親子連れを見たばかりです。」(ツアーガイド)
ウンチもゴロゴロ落ちているとの事。
「あの折れたフキは、クマが食い散らかした後ですね。」(ガイド)
ヒョー
「あ、鹿ですね。」
木の影から、こちらを警戒する様に見つめている。
林道の最終地点に車を停め、そこからは歩きだ。
「この道は士幌線の線路跡です。」(ガイド)
転がっているのは流木だそうだ。
という事は、ダムの水位は最大、ここまで上がるって事らしい。
見えてきた。
タウシュベツ橋梁だ。
「実際は名前なんか無いんですけどね。タウシュベツ川に架かるアーチ橋だから、何となくそう呼んでるだけで。」 (ガイド)
崩壊美という物があるとすれば、ここにはそれが満ち満ちている。
昭和12年に完成したこの橋梁は、昭和30年に完成した糠平ダム運用の為に水没する事となる。
その間僅か19年の生涯だ。
糠平ダムは、発電の為に建設されたダムである。
電力需要が高まる冬に向けて、水位は最大になり、橋梁は完全に水没する。
そしてここは、厳寒の地なのだ。
冬には70センチもの厚さの氷が張るそうだ。
発電の為の放流で毎日20㎝づつ水位が下がり、同時に氷もコンクリート壁を削りながら下がって行く。
更に、コンクリートに沁み込んだ水は、内部で結氷し膨張する。
内と外と同時に橋を破壊していった結果がこの姿である。
長崎の軍艦島の崩壊は塩害だが、ここは凍害である。
「近いうちに、完全に崩落してしまって、橋の姿をとどめなくなると言われています。」(ガイド)
ダムの湖底はところどころ渡渉ポイントがあり、分りやすいようにピンクのリボンが付けられている。
ここをジャブジャブと長靴の儘渡って行く。
NPO法人が貸し出す長靴が無いと、湖底歩きはできないのだ。
糠平ダム湖
鉄筋がむき出しに。
場所を移動。
「ここは本当にヤバいんで、クマよけスプレーを持って行きます。」(ガイド)
ガイドが言う本当にヤバい所とは、
幌加駅跡だ。
線路がいまだに残されている。
この切替ポイントは、今でもちゃんと線路を動かせるのだ。
駅員官舎跡。
コンクリートで出来た基礎は、トイレである。
「2個並んでいるという事は、2軒長屋であった事を示します。同じようなものがそこらに幾つか見られるでしょ。」(ガイド)
士幌線は昭和62年に廃線となっている。
今は鬱蒼とした森になっているこの駅の付近には、ちょっとした商店や飲み屋さんが並ぶ通りがあり、人口300人程の集落があった。
廃線になって30年余り。
今やかつてのホームには、2本の木が大きく枝を広げているばかりである。
郵便ポスト。
幌加集落には郵便局が無かった為、列車がその役割を果たしていた。
配達されてきた郵便物は、駅舎で仕分けしていたんだろうか。
ツアーはここで終了だ。
この日は帯広辺りまでは移動しておきたい。
移動のついでに、
ここに立ち寄る。
朝ドラロケ地が観光の為に解放されたと、地元のニュースで報道されていたからだ。
こんだけ?
赤い屋根の家はここじゃないのね。
お風呂は天然温泉鳳の舞 410円
宿泊は道の駅おとふけ wifi良好
駐車場は全て車中泊車両で埋まる。
普通車数台がエンジンかけっぱなしである。
走行距離170km 累積走行距離2611km