ジジイの定義とは、一体何だろう?
何をもって、人は人をそう呼ぶようになるのか。
まずは年齢。
それから、健康面や体力的な事。
物事の考え方や処し方。
はたまた、孫の存在も。
私自身はと言えば、自分がジジイと呼ばれる年齢に達した今も、いまだに実感出来ないでいる。
いや・・・出来ないでいた。
今回も、前置きが長くなった。
本題である。
去年の今頃、『これから北海道へ一人旅』と言う少し前の事。
旅行中に歯が痛くなっては堪らんと、前からグラグラしていた奥歯を抜いた。
右下奥歯はこれで、完全に消えて無くなる。
以来、そのままである。
先だって、歯石を取ってもらおうと、歯科医院に足を運んだ。
同級生である院長は、私の口中を覗き込みながら、
「ははあ。上の奥歯が外側に伸びてきよるバイ。」(院長)
「マジか!」(私)
下の歯が無くなって、邪魔者がいなくなったとばかりに、上の奥歯が伸びてきていると言うのだ。
「そんな我儘な……」
「入れ歯作ろうか。」
「うーむ。」
本意ではないが、同級生の言に従い部分入れ歯を作る事に。
何度かの型どりを済ませ、今日が出来上がりだ。
「どげんね、はめ心地は?」
「違和感しかなか。」
「ハハハ、慣れて貰うしかなかね。」
今、分かった。
ジジイとは何たるかを。
どんなに「ジジイとは思っていない!」と否定しようが、これで私は立派なジジイである。
燦然と輝くジジイになったのだ。
なにしろ、
『お爺ちゃん、お口くちゃーい。』
なのだ。(孫などいないけど)
煎餅の欠片が歯茎との間に挟まり、「ウギッ」と顔をしかめるようになるのだ。
寝る前には、入れ歯洗浄剤でシュワーっとするのだ。
どうだ。
素敵だろう。
トホホ