少し長くなる。
下の娘がまだ大学生の頃。
バイトに行こうと、車のエンジンをかけると、
「ニャー」
「???」
怪訝に思い、すぐにエンジンを止めて耳を澄ませる娘。
暫く様子を見るも、その後は何の物音も聞こえない。
(気のせいか)
もう一度、
ブルルン
「ニャーーー」
再びエンジンを止め、今度は車の周りを一回り。
車体の下も覗き込むが異常なし。
(はっ!)
もしやと思いボンネットを開けると・・・
そこには、薄汚れて震える子猫の姿が。
慌てて抱き抱え、近くの動物病院へ。
無論、バイトはキャンセルだ。
幸い子猫は、傷一つ負っていなかった。
と言う顛末を、帰宅した私らに話し、
「飼いたい。」
ふむ、やっぱりそう来るか。
ダメだと言っても、きかんだろうし。
仕方ない。
「名前はどうする。」
保護者とも言うべき次女は『ショコラ』を主張するも、
東京の長女も電話で参戦、『ウメ』を主張する。
ショコラかウメか。
「わかった。こうしよう。この子猫の名は・・・」
ショコラ・カトリーヌ・ウメ。
通称ウメ。
「これでどうだ。」
「カトリーヌって?」
私がどさくさに紛れて潜り込ませた『カトリーヌ』に、娘達から疑義が生じた。
「まあ、ミドルネームがあった方がかっこいいやん。」
「ふーーん。」
こっそり白状する。
謎のミドルネームは、私がフランスの女優カトリーヌ・ドヌーヴのファンだったからである。
娘達には内緒だ。
つい最近、東京の長女から、
《世の中には猫じゃらしアプリと言うものがある。ついてはダウンロードして、その様子を送れ》
との指令が下った。
↓動画である。
(テレビの音が邪魔!)
あれから7年が経ち、
ウメはタブレットを使いこなす猫に成長した。