Tシャツとサンダルの候

もう、不発弾を拾うのは止めようと思った。

毎朝、山登りの前に、もこと近所を散歩する。

 

 

今月初旬だったか・・・

 

近所のマンションに差し掛かったところで、もこがもよおした。

ウンチ拾いマイスターと呼ばれている私だ。(誰が言った!)

電光石火、その痕跡を道端から完璧に消し去った事は言うまでもない。

手提げにその袋をしまっていると、向かいのマンションから血相を変えたオッサンが小走りに近づいてきた。

 

「もしもし!そこでウンチをさせて貰っちゃ困ります!!」

 

 

もこがもよおした場所は、マンションの敷地内ではない。道を挟んだ反対側のガードレール側だ。

しかも、完璧に拾っているではないか。

 

「ちゃんと拾ってるじゃん。なんがいかんと?」

 

「一匹すると、他のもするようになるんで。」

 

私は、散歩中に道端でペットに排便させるのが、当然の権利だと言うつもりはない。

だが、飼い主が完全に始末するという条件付きでの、「仕方がない」という許容はある筈だ。

無論、誰かの敷地内なら話は別だ。

しかし、

人の通りもまばらな公道上だ。

しかも道を挟んでいる。

マンションの管理人の許容の範囲を超えたからといって、それに従わなくてはいけないのであろうか。

 

管理人の言い分も分かる。

万が一でも、これが原因で、寄ってたかって近所の犬たちに、マンションの目の前で、用を足されたら堪ったもんではなかろう。

それを穏やかに言えばいいのだ。

それならこっちだって、笑って頭の一つも下げたであろう。

だが、その血相の変え方はなんだ!

 

そういう態度ならこっちだって・・・

 

「てめえに謂われる筋合いじゃなかろうが!わかった。毎日ここを通って、こいつにさせちゃる。ケッ!」

 

 

 

 

以来、このマンションの前を、毎朝通っている。

大人げないとは思いながら、あの時の再現を願って歩いている。

管理人が今度はどう出るか、楽しみなのだ。

だが、

 

今朝も、マンションに手前100mぐらいで、

その体勢に入るもこ。

 

 

ち、違う。

もうちょっと先まで我慢しろ。

 

 

 

ポト

 

 

 

今日も虚しく、不発弾を拾う私であった。

 

 

 

いいか、もこ。

目標は前方100mだ。この次は外すなよ。

『もう止めよう』(もこ)

 

 

 

 

そうだな。

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