東京二日目は、今度の旅のそもそもの目的、甥っ子の結婚式である。
最近の結婚式は、昔に比べたら合理的だと、つくづく思う。
そもそも、私が結婚した頃は、もれなく仲人が付いてきた。
あれって最近、どこに行ってしまったのだろうか。
絶滅してしまったに違いない。
また、結婚に至るまでには、
くぎ茶や結納、家具入れ等、馬鹿げた儀式を通過せねばならなかった。
あるいは九州の場合、お謡い三番と言う、庶民が武家を真似たであろう風習が根強く残っていた。
これが、儀式毎に執り行われるのだ。
亡くなった親父から、男子の教養じゃけん、謡曲は習っておくようにと、命じられたが、
私は、
「天地が裂けても、そげなみっともない事はせん!」と言い放ち、親父を激怒させたものだ。
弟に言わせれば、
「結納やらなんやら、いっさいなか。」
らしい。
誠に結構な世の中となったものだ。
披露宴では、来賓挨拶すら無い。
いきなり乾杯の挨拶から始まった。
これって、どれだけ称賛しても、し足りないぐらいだ。
ご馳走を前に、涎ダラダラのくせに、神妙な顔をして時が過ぎるのを待っている事ほど、間抜けな事は無いからだ。
そもそも、会場の誰もが、スピーチしている本人すらも望んでいない時間を設けるって、考えてみれば不思議な事である。
こういう、意味のない工程も、どんどん無くしていけばいい。
また最近は、コース料理が出されることが多く、お酌したりされたりの煩わしさが、以前に比べたら格段に少なくなった。
テーブルの係が、料理ごとに、それに合った酒を勧めに来てくれるからだ。
これまた、大変いい事である。
久々の親族や知人との再開を懐かしみ、新しき知己を得た事を喜び、美味しい料理と酒に舌鼓をうつ。
そして何より、二人の行く末に幸多かれと祈る。
これ以外には、何も必要はない。
賑やかだった披露宴も終わり、空港へ向かう。
夕暮れ迫る空港で、
あんなに飲んで食ったはずなのに、さらにカツサンドを頬張る私。
炭水化物は別腹なのだ。
フー
疲れた。
帰るべ。