「もしもーし。」
大分の友人からの電話である。
彼の息子(熊本在住)が、私の古巣に車検入庫中だと言う。
ついては、
「息子が車を引き取りに行く日に、俺も合流するけん、あそこに行かない?」
段取りでは、彼の長女(福岡在住)も、後ほどやって来るとの由。
大分、熊本、福岡の人間をも惹きつける磁力を持つ、「あそこ」とは、
久留米の繁華街『文化街』である。
正確に言うなら、文化街にある『かけだおれ』である。
このブログにおいて、ひとつのカテゴリーが作れるほど登場回数の多い、ディープ過ぎる居酒屋だ。
でな訳で文化街である。
かけだおれである。
「こんばんはー。江島だけど。」
「ハーイ。お待ちしておりました。上にどうぞ。」
私達は2階の座敷へと通された。
「ビッシュでーす。」
「きたきた。くー!久しぶり。」
「ダルムでーす。」
この神々しいまでの焦げ具合、しわしわ加減。
過呼吸になりそうだ。
倒れる前に、さっさと食っちまおう。
もぐ
「うまかー」(一同)
このビッシュとダルムに、かけだおれの全てが詰まっている。
いや、もうひとつある。
チロリで燗付けされる前割焼酎だ。
前割の魔法は、安物の焼酎を、実にまろやかな一級品にしてしまう。
「注ぎまーす。」
「おう、盛大に注いでくんな。」
うーん。
注ぎ方だけは、亡くなった親父に及ばないな。
あと1mm、表面張力を盛り上げなきゃ。
そうこうするうち、彼の娘も到着。
改めて乾杯である。
カンパーイ!
酒、料理、そして佇まい。
何から何まで『ザ・昭和』なこの空間に、酔っぱらい達の時間は過ぎていく。