さて、
何で、人っ子一人いない道の駅で、あまりの淋しさに、お化けでいいから出て来て欲しいなどと呟き、車中泊をしていたか。
それは、仰烏帽子山に登る為である。
目的は無論、この山に咲くシモバシラの霜柱を・・・あれ、ややこしいな。
えーっと、シモバシラという名の植物が作り出す、氷の造形を見たいがためであった。
従って、気象条件に縛りがあるのだ。
氷点下である事は勿論だが、かと言って、深く積雪してしまってもダメだ。
要するに、積雪していない晴れた日の早朝が、出会う確率は高い。
去年の同時期にもしたように、登山口に一番近いこの道の駅に、前泊したと言う訳である。
ところがである。
予めの予報では、24日の五木地方は氷点下となっていたのだが、当日の予報では、最低気温が+2度と変わってしまった。
これで、シモバシラの霜柱を見る事は、絶望的となってしまった。
だが、しかしである。
もしかしたら山では、猛烈に冷え込んでるかもしれぬ。
ここまで来て登らない選択肢はなかろう。
朝まだきの道の駅を出発だ。
登山口に着いた時、ちょうど、朝日が彼方の稜線から登ってきた。
見る見るうちに、茜色に染まる空。
イエーイ
間に合っちゃったぜ。
朝日を浴びながら、登山準備を済ませ、
出発だ。
去年は、登山口から登ってすぐの場所から、それは見られた筈だが・・・
思った通り、影も形もない。
あんまり残念なので、去年登った時の画像を貼り付けておく。
去年のシモバシラだ。
これを見たかったのだ。
まったくトホホである。
仕方ない。
単純に仰烏帽子山への、山登りそのものを楽しむしか無さそうだ。
杉の植林帯を抜けると、原生林の森に変わる。
不意に前方の林の中を、白い物がヒラヒラと横切っていった。
100m程向こうで動きが止まった。
最大ズームでパシャリ。
肉眼では遠すぎて、この時点では何が何だか分からなかった。
兎?
すると、すぐその後、目の前を二匹のペアーが横切った。
鹿か!
一匹などは、数秒間だけポーズを取ってくれるサービスぶりだ。
肝心の顔は幹に隠れてはいるが、このワンチャンスしかない。
大急ぎで、
パシャリ
この山は福寿草の群生地でもある。
残念ながら激減しているのだとか。
前回登った時はスルーした仏石。
今回はシモバシラも見る事が出来なかったし、ここぐらいは立ち寄っとかなきゃ。
尾根を巻くように登って行き、最後は激下りだ。
これか、仏石って。
石灰岩の巨岩である。
このアングルが仏様に見えるのかな?
石灰岩の尾根を本コースへと戻る。
風穴。
中からは、暖かい蒸気が上がってきている。
ここを掘れば、温泉が湧く事、請け合いだ。
山頂稜線に出た。
ここで漸く、恥ずかしがり屋の仰烏帽子が、その姿を現してくれた。
が、その前に、
兎群石山(とぐんせきやま)まで7分とある。
行ってみよう。
マジか。
まさかの藪漕ぎ?
と、心配したが、その先はこんな事もなく、順調に進む。
山頂は緩やかな台状になっていた。
なるほど、兎の群れね。
ここも石灰岩が織りなした景観であった。
あ、霜柱だ。
山頂近くになって漸くだ。
昨晩は、この標高になって初めて、氷点下だったという事である。
もっと下に生えるシモバシラソウに、氷が付く訳が無い。
本ルートに戻る。
暫く登ると岩場が見えてくる。
この岩場を登ると、仰烏帽子山頂だ。
あ、これはスルーしよう。
山頂からの眺め。
そこには、墨絵のような光景が広がっていた。
霧島連山かな。
市房山?
早朝から登ったせいで、まだ10時前だ。
ちょっと休憩したら、とんぼ返りで下山である。
途中一組だけすれ違ったが、
「見られんやったですね。」
この挨拶だけで、お互いのこの日の思いは通じる。
まったく・・・
暖冬のバカ!!
時期を見て是非ともリベンジしたい。
福寿草とセットで見られたら最高だけどね。