三角芳子 YoshikoMisumi

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アニメーション界の至宝。フレデリック・バック氏が逝去

2013-12-25 | プロフィール


前にも記事で書いたことがありますが、アニメーション界の巨匠、フレデリック・バック氏が12/24に逝去されたそうです。
知らせを聞き、哀しみでいっぱいです。。

フレデリック・バック氏の作品は世界に対する愛に溢れていて、本当に本当にすばらしい作品ばかりです。
自然を愛し、人を愛したバックさんは世界中の人に尊敬された素晴らしいアーティストでした。

『木を植えた男』

1988年に制作した『木を植えた男』では、アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞。
数万枚の原画をほとんど1人で描き上げるという、途方もない手仕事によって作られた。『木を植えた男』の制作中には右目を痛めながらも5年の月日をかけて完成させた。1990年にカナダ勲章を授与されている。
生命の輝きと愛に満ちた素晴らしい作品です。

バック作品を貫くのは自然への愛。かつてインタビューで「私がアニメで作品を作ったのは理由があります。地球環境保護のために何かの役に立ちたかったからです」と語ったそうです。


『クラック!』

私が好きなバックさんの作品はたくさんありますが、前にも書いた『クラック!』という作品も素晴らしい作品です。
バックさんの長女、スーゼルのアイデアをもとに、一脚のロッキングチェアが辿る運命を通じて、失われつつあるケベックの伝統的な生活や文化、家族愛、自然への共感、現代文明批判などをユーモラスに描く。
アカデミー賞短編アニメーション部門受賞。

今年8月にバックさんに会いにいった時に、この作品の本物の椅子が彼のアトリエにあってびっくりしました!


バックさんがこれに座ってギーギーと揺らしてくれて、なんとも幸せな気持ちになりました。

ぜひ、ぜひバックさんの作品、皆さんにも一度みてもらいたいです。
Youtubeに作品DVDの紹介movieがあったので貼っておきます
「フレデリック・バック作品集 予告」
Les classiques de Fr�d�ric Back � nouveau en DVD!

ネットでもみれますが、、ぜひちゃんとした綺麗な画質でその世界観を楽しんでもらいたいです。
フレデリック・バック傑作選(アマゾン)

8月にお会いしたばかりだったので、、とてもショックです。
バックさんはご自身でも植樹運動をたくさんしていらっしゃって、「もう山1つは植えたかな?」と優しく笑っていらっしゃって、「木を一緒に植えていきましょう。」とお話ししてくださいました。『木を植えた男』の主人公ブッフィエはバックさんの生き方そのもののようで。。肌で感じて涙がじわっとしました。
作品と自分の信念がまっすぐ一致しているバックさんの姿勢。作家として本当に尊敬の念を感じずにいられません。
サインしていただけることになり、絵とメッセージも一緒に描いてくださいました。

「plant a tree for the future」[未来のために木を植えていく]バックさんから受け取ったメッセージです。

最後に目をみて「また会いましょうね」と優しく大きな手で握手していただき、涙がでてしまいました。
愛に溢れたバックさんの作品はこれからも多くの人の気持ちに残っていくのだと思います。
尊敬する作家バックさん。一生忘れません。
フレデリック・バックさんのご冥福をお祈りいたします。



カナダで作られていた『木を植えた男』の木の像。たくさんの人に愛された作家さんでした。

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フレデリック・バック(Frédéric Back)
Frédéric Back : HP
バックさんは1924年、ザールブリュッケン(当時フランス、現ドイツ)生まれ。第2次世界大戦の終戦後からカナダに移り住み、アーティスト・イラストレーターとして活躍した。1970年代からアニメーション作家としての活動を本格化させ、1980年の『トゥ・リエン』を皮切りに、アカデミー賞短編アニメ賞に4度ノミネート。1981年の『クラック!』と1987年の『木を植えた男』で同賞を受賞している。
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