あなたは自分の年金支給予定額を知っていますか?
平均寿命と定年制度
新型コロナの感染状況が収まりつつある。100年前のスペイン風邪では3年にわたり人々を繰り返し襲い、甚大な被害を及ぼした。今回も結局2年を超えてしまうことは間違いないところではある。
さて100年前の日本人の平均寿命をご存知だろうか。時は明治時代、この頃の平均寿命は、何と男性が43歳、女性44歳である。今で言えば、中年に入るぐらいの年齢である。あくまで平均であるため、長生きする人(渋沢栄一:91歳)もいれば、短命の人(坂本龍馬:31歳、江戸時代だが)もいた。日本人の寿命が延びていくのは、時代が昭和に入ってから、さらに1947年ごろから急速に寿命が延び、1951年に男性60歳、女性64歳になった。
そして2019年時点では、男性81.4歳、女性87.4歳となり、長命化は緩やかだがまだ続いている。明治時代の人よりも、2倍近い時間を生きることができるようになったということである。
定年制度は、明治時代後期(1900年頃)に一部の大企業で始まり、その後各社で取り入れられる様になった。この頃の定年年齢は概ね55歳であり、平均年齢よりも高い年齢設定になっている。長い期間の雇用を確保(労働者を縛る意味もある)するために設けられたという考え方もあり、まさに「終身雇用」であったとも言える。
翻って現在は、65歳までの就労機会確保が概ね確保され、国は70歳までの就労を積極的に進めようとしている。その意味では終身雇用に近づいているとも言えるが、実際にはそれなくしては、生活を維持できない人も多く存在するのも事実である。
一方、現在は明治時代にはなかった社会保障制度があり、年金制度により、人々は一定年齢以上になると年金を受給できる様になった。現在の年金制度は、一定期間以上の年金保険料を支払っていれば、その期間や金額に応じて、65歳から支給を受けることができる。
一昔であれば、年金を受け取って、老後時間的にも余裕あり、ゆったりした生活を送ることができる的なイメージがあった。現在はそのような生活イメージは全くなくなり、年金を受給しただけでは、生活を維持できないということも発生し、その後の介護などを考えると一定以上の蓄えを必要とすることになっている。要は年金だけでは足りない人も結構いると言うことだ。
あなたは自分の年金支給予定額を知っていますか?
「みなさんは、ご自身の老齢年金受給見込額は月額でいくらになるか分かりますか?」
60〜74歳でまだ年金受給していないシニア約1000人に聞いた質問に対する答えは、
はい29%、いいえ71% である。
(「くらしと仕事に関する中高年インターネット調査」(2021年1月実施、年金シニアプラン総合研究機構)
何と7割以上の人が、自分の年金受給額見込みを知らない答えている。また、配偶者の年金受給見込み額については、さらに多く82%が知らないとしており、本人分以上に意識されていないことになる。
この支給見込み額は、「ねんきん定期便」として、毎年誕生月に個人別に送られてきている。ここに、60歳まで条件変更ない場合の基礎年金+厚生年金の年間支給額見込み(年額)が記載されている。これを知らないと、65歳以降の生活設計の基本ができないので、ぜひご自宅でねんきん定期便を確認してほしい。また、「ねんきんネット」に登録することで、インターネットを通じて、自身の年金記録を確認することができる。
中には、年金支給額見込み欄に金額が記載されていない人も存在する。これは年金受給資格に達していないことが考えられるので、FPなどの専門家や年金事務所に相談することをお勧めする。また、人によっては「特別支給の老齢厚生年金」や「経過的加算部分」に金額が入ることもあり、この内容はネットで検索するか、専門家に相談しよう。
受給開始年齢を自分で決めることが出来ることを知っていますか?
「受給開始年齢は、60~70歳の間で自らの判断で自由に選択できることを知っていますか」
この質問に対する答えは、
はい75%、いいえ25% である。
この質問も基本的な質問であるが、4人に1人がこのことを知らないとしている。通常は65歳からの年金受給だが、これを60歳から繰り上げて受給することができる。しかし年金支給額が繰り上げ月数によって減少するなどマイナス要素が大きいので、一般的にはお薦めしない。一方繰り下げ受給は、来年(2022年4月)以降最大75歳まで繰り下げることができるようになる。1ヶ月単位で繰り下げが可能で0.7%ずつ受給額が増え、75歳まで繰り下げると最大42%増額するとされている。繰り下げも、自身の生活状況や健康を考えながら慎重に決めるべきで、通算受給額で見た場合必ずしも増えない場合もある。よく分からないときは、FPなど専門家に相談しよう。
今女性の就業率が上がり、共働き世帯が中心になっている。夫婦で家計も分担して管理するなど様々なケースがあるが、世帯全体としてマネジメントしていくことが必要であり、将来的な家計マネジメントでは、ぜひ協力して実態把握とプラン作成することをお奨めする。
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