五高の歴史・落穂拾い

旧制第五高等学校の六十年にわたる想い出の歴史のエピソードを集めている。

剛毅木訥の竜南精神は忘れない

2012-07-11 03:44:37 | 五高の歴史

      現在の龍南風景

    

デモクラシー大正三年に勃発した第一次大戦は四年にして集結したが、あらゆる社会人に現実社会を凝視し認識せしめて、社会問題、労働問題が論ぜられるようになりデモクラシーの思想は全日本を風靡した、

影響は現実から超越せるものと信じられていた竜南の象牙の塔も取り壊すことなく吉野作造、大山郁夫の唱導する自由主義、デモクラシーの思想が入ってきた。

これは生徒が政治的なものに興味を持ったものと合致したのかもしれない。証として演説部は公会堂において政治思想を論じている。

大正5年8月には新寮も全部完成し四つの寮が並立し、以前の状態に復活した

しかし新習学寮の完成と共に寮長は生徒課より指名され寮生も一年生だけで伝統的なものは忘れがちであった。

当時の社会情勢が生徒に及ぼした影響もあったであろうが、最大の理由は旧寮時代の伝統、組織の一切は皆無であったからであろう。剛毅木訥の竜南精神だけは生き続いていた

また習学寮もこのような情勢であったので生徒監の堀重里教授が、昔の寮生の精神を呼び戻すための舎監になられたのであった。