月岡芳年 月百姿
『霜満軍営秋気清 数行過鳫月三更』 謙信
明治二十三年印刷
上杉謙信(うえすぎけんしん)は戦国-織豊時代の武将
享禄三年(1530年)一月二十一日 ~ 天正六年(1578年)三月十三日
武田信玄とは信濃の覇権をめぐって数度合戦
永禄四年(1561年) の川中島の戦いは有名である
国立国会図書館デジタルコレクション 016
九月十三夜陣中作
霜満軍営秋気清 数行過雁月三更
越山併得能州景 遮莫家郷憶遠征
しもはぐんえいにみちて しゅうききよし
すうこうのかがん つきさんこう
えつざんあわせえたり のうしゅうのけい
さもあらばあれ かきょうえんせいをおもうを
霜は軍営を白くおおい 秋の空気はすがすがしい
幾列かの雁が飛んでいき 十三夜の月は煌々と照らしている。
越後、越中の山々と手に入れた能登の風景をあわせてながめている
故郷にいる家族が遠征中の私のことを案じていたとしても
それはどうでもよい。
この漢詩を詠んだ二日後の天正五年九月十五日
謙信は七尾城の長続連を攻め落とし能登を手に入れるが
この半年後、関東への出陣直前急死する。