オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

月百姿 霜満軍営秋気清

2017-09-04 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『霜満軍営秋気清 数行過鳫月三更』 謙信 

明治二十三年印刷

 

 

上杉謙信(うえすぎけんしん)は戦国-織豊時代の武将

享禄三年(1530年)一月二十一日 天正六年(1578年)三月十三日

武田信玄とは信濃の覇権をめぐって数度合戦

永禄四年(1561年) 川中島の戦いは有名である


国立国会図書館デジタルコレクション 016


九月十三夜陣中作

霜満軍営秋気清  数行過雁月三更

越山併得能州景  遮莫家郷憶遠征

しもはぐんえいにみちて しゅうききよし

  すうこうのかがん つきさんこう

えつざんあわせえたり のうしゅうのけい

  さもあらばあれ かきょうえんせいをおもうを


霜は軍営を白くおおい 秋の空気はすがすがしい

幾列かの雁が飛んでいき 十三夜の月は煌々と照らしている。

越後、越中の山々と手に入れた能登の風景をあわせてながめている

故郷にいる家族が遠征中の私のことを案じていたとしても

それはどうでもよい。


この漢詩を詠んだ二日後の天正五年九月十五日

謙信は七尾城の長続連を攻め落とし能登を手に入れるが

この半年後、関東への出陣直前急死する。