月岡芳年 月百姿
『三日月の頃よ梨(り)待し今宵哉』 翁
明治二十四年印刷
松尾芭蕉(まつおばしょう)は江戸時代前期の俳人
寛永二十一年(1644年)~元禄七年(1694年)十月十二日
伊賀上野の生まれ。俳号ははじめ宗房を用い
江戸に下って桃青(とうせい)と号した。
国立国会図書館デジタルコレクション 056
ほぼ日刊イトイ新聞 志の輔さん×近松先生×糸井重里:旧暦鼎談
太陽より身近だったのは月? より抜粋
(志の輔) 昔ね、満月の夜に、村人たちがみんなでゴザ敷いて
酒持ってきて、みんなで句を作ってるんです。
そこに、芭蕉が通りかかるんです。
「私も一句詠ませていただくと、一杯ご馳走になれますかね」ってね。
村人は芭蕉だって知らないんですよ。
で、村人も「ああ、いいよ」って言うわけですよ。
「じゃ、なんかやってみなよ」って言われた時に
その芭蕉がおもむろに短冊に、「三日月の」ってこう書いたら
村人がみんな見て、「バカでねえかお前、満月の夜に三日月のって。
ダメだ、この百姓は」って言ってたら、芭蕉はすかさずね。
「・・・・・・ 頃より待ちし今宵かな」って書いたら
「この人、うまいなあ」って言い出した。
この話、お客さんにぱっと伝わるんですよ。
やっぱりその三日月と三日月から満月になるあいだの
月夜の状態があたまに浮かぶんでしょうね。みんな笑うわけですよ。
と、あるようこの句は落語の話にもなっているのですが
芭蕉の句ではなく松亭金水という人が嘉永3年(1850年)
「松亭漫筆」に書いた創作のようです。
一茶説もあるようですが両者ともにこの句は見当たりませんでした。