夜にあらわる〝幻の通天閣〟
【動画あり】怪現象…あり得ない場所に〝通天閣〟出現! ハルカス展望台「夜のトリビア」
日本一高い超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の地上約300メートル地点にある展望台で、夜間だけ、大阪のシンボル「通天閣」(同市浪速区)があるはずのない場所にくっきりと浮かび上がる不思議なスポットがある。
本物の通天閣の東に突然浮かび上がる“幻の通天閣”。目撃した入場者は「なんで~」と驚きの声を上げ、ハルカスの関係者は「スタッフの間でも知る人ぞ知るハルカスの『トリビア』。新たな話題のスポットになれば」と期待を寄せる。果たして“怪現象”の原因とは?(吉国在)
夜も更けた頃、通天閣が2本くっきりと浮かぶ現象が起きるのは、大阪市内が一望できる全面ガラス張りのあべのハルカス60階展望台(約1千平方メートル)の中でも、北東角にある1~2メートル四方の一角だけだ。
1本はハルカスの北西約900メートルにある本物の通天閣。そして、そこから約120度東に目を向けると、ハルカスから北東約1キロのJR寺田町駅の東側付近にも、確かに本物そっくりの通天閣が堂々とそびえ立っているように見える。
この不思議な現象を最初に発見したのは、あべのハルカスを運営する近鉄不動産の社員、小塚康生さん(30)。5月中旬ごろ、同僚と館内を巡回中に偶然見つけたという。
「目の前に広がる市内の夜景にふと目を落とすと、あるはずのないところに通天閣がにょきにょきっと生えていた。思わず興奮してスマホで写真を撮りまくりました」と振り返る。
通天閣がライトアップしている夜間だけの現象で、見る角度や場所を少し変えても、幻の通天閣はたちまち消えてしまう。
幻の通天閣をよく見ると、確かに本物そっくりだが、タワー側面の「HITACHI」などの文字は逆さま。このあたりにナゾを解く鍵がありそうだ。
タワーが景観にもたらす影響について詳しい近畿大理工学部の岡田昌彰教授に写真を見てもらうと、「北東方向に鏡の役割を果たすような大きな構造物はない。光の屈折などの偶然が重なってハルカスのガラスに通天閣のネオンが反射して起きる現象では」との分析。そのうえで「ほかのタワーでは聞いたことがない非常に珍しい現象。大阪の新しい名物になりそうな面白い話だ」と話す。
知人の男性と一緒にハルカスを訪れ、幻の通天閣を初めて目にした京都市中京区のアルバイト、小川美咲さん(22)は「突然、通天閣が浮かび上がってくる。不思議~」と驚きの声を上げていた。
昼間はビルや民家が立ち並ぶ一角(上)に、夜になると突然“通天閣”が浮かび上がる(下)=大阪市阿倍野区のあべのハルカス展望台から(竹川禎一郎撮影)
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