3日のオセアニア市場で、104円台まで急落したドル円は107円台から108円台で推移。株価が再び大幅に下落したことで107円11銭までドル安が進んだが107円台後半まで値を戻す。ユーロドルは昨年からのレンジを抜け切れずに1.14を挟む展開。ドル円が円高に振れた分、ユーロ円も122円まで下落。

 株式市場は再び大荒れの展開。アップルが売上高を下方修正したことから、アップル関連銘柄が下落を牽引。ダウは660ドル下げ、S&P500は小幅高。債券相場は大幅に続伸。長期金利も2.55%台まで低下。金は続伸し半年振りの高値に。原油は反発。

12月ADP雇用者数    → 27.1万人
新規失業保険申請件数    → 23.1万件
12月ISM製造業景況指数 → 54.1

ドル/円   107.11 ~ 108.30
ユーロ/ドル 1.1338 ~ 1.1411
ユーロ/円  122.06 ~ 123.41
NYダウ   -660.02 → 22,686.22ドル
GOLD   +10.07  → 1,294.80ドル
WTI    +0.55   → 47.09ドル
米10年国債 -0.069  → 2.552%

 本日の注目イベント

中  中国 12月財新サービス業PMI
中  中国 12月財新コンポジットPMI
独  独12月失業率
欧  ユーロ圏12月総合PMI(改定値)
欧  ユーロ圏12月サービス業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏11月生産者物価指数
欧  ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
英  英11月消費者信用残高
英  英11月 マネーサプライ
英  英12月サービス業PMI
米  12月雇用統計
米  FRBパウエル議長、イエレン前議長、バーナンキ元議長がAEA年次総会でインタビューに応じる。ボスティック・アトランタ連銀総裁がAEA年次総会でパネル討論会に参加。

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 まだお正月気分も抜けず、お屠蘇気分も冷めない中、金融市場は波乱の幕開けです。特に為替市場では、参加者が少ない時間帯でドル円が急落し、昨年3月以来となる104円台半ばまで円高が進む場面がありました。相場は相当荒れていたようで、この時のスプレッドもかなりワイドであったと思われます。そのためソースによっては、ドルの底値に違いがあります。市場では「フラッシュクラッシュ」という言葉が使われており、いずれにしても相当混乱していたのは事実のようです。

 ドル急落の原因はこの2つでしょう。予想されていたことでしたが、中国のPMIが4ケ月連続で前月割れを示しただけではなく、節目の「50」を割り込んだことや、アップルが売上高予想を20年ぶりに下方修正したことが引き金となり、東京勢が休みで、さらに3日の朝方で参加者が少ない時間帯に104円台まで円高が進みました。アップルのティムクックCEOは「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」とのコメントを残しています。

 それにしても104円台とは驚きました。昨年1年の値幅が9円91銭ほどだったものが、ここ2日の営業日で5円以上の値動きがあったわけです。今年のドル円は、少なくとも昨年のように上にも下にも値幅の少ないことはないと考えるべきでしょう。昨年の値動きの鈍さとは別次元に入ったと思います。個人投資家の皆さんも、エントリーする際のタイミングや指値の際には注意してください。NYダウが600ドル下げても50銭程度の円高にしか振れない動きは終わったと考え、ボラティリティーが高止まりする1年であると肝に銘じるべきです。

 ドル円は104円台半ばまで急落したことで、昨年の円の最高値である104円55銭とほぼ並んだことになります。何とかドル高傾向を維持していた「週足」も一気に崩れ、円の先高観を示唆しています。104円台半ばは昨年の底値近辺であったこともあり、下げ止まったと思われますが、「日足」の120日移動平均線からの乖離を見ても行き過ぎは明らかです。今後は、参加者も通常に戻った際にこの水準を抜けるかどうかが極めて大きな意味を持ってくると思われます。昨年のドル最安値を割り込めば、さらに円高が進むと考えられるからです。

 ドル円は、株式市場との相関性もより強めてくるものと思われます。株高が進めばドルが買われ、株安が進めばドルが売られ傾向が昨年よりは強まると予想されます。その意味では、本日は米国株の大幅安を受けて日経平均株価も大きく売られることが予想されます。先物から予測されるのは500円から800円程になりますが、ここに円高が加わるため、さらに下げ幅を拡大するかもしれません。

 レンジは106円80銭~108円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)