【為替本日の注目点】ドル円急落し、一時104円台に
2019-01-04 11:40

株式市場は再び大荒れの展開。アップルが売上高を下方修正したことから、アップル関連銘柄が下落を牽引。ダウは660ドル下げ、S&P500は小幅高。債券相場は大幅に続伸。長期金利も2.55%台まで低下。金は続伸し半年振りの高値に。原油は反発。
12月ADP雇用者数 → 27.1万人
新規失業保険申請件数 → 23.1万件
12月ISM製造業景況指数 → 54.1
ドル/円 107.11 ~ 108.30
ユーロ/ドル 1.1338 ~ 1.1411
ユーロ/円 122.06 ~ 123.41
NYダウ -660.02 → 22,686.22ドル
GOLD +10.07 → 1,294.80ドル
WTI +0.55 → 47.09ドル
米10年国債 -0.069 → 2.552%
本日の注目イベント
中 中国 12月財新サービス業PMI
中 中国 12月財新コンポジットPMI
独 独12月失業率
欧 ユーロ圏12月総合PMI(改定値)
欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏11月生産者物価指数
欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
英 英11月消費者信用残高
英 英11月 マネーサプライ
英 英12月サービス業PMI
米 12月雇用統計
米 FRBパウエル議長、イエレン前議長、バーナンキ元議長がAEA年次総会でインタビューに応じる。ボスティック・アトランタ連銀総裁がAEA年次総会でパネル討論会に参加。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
まだお正月気分も抜けず、お屠蘇気分も冷めない中、金融市場は波乱の幕開けです。特に為替市場では、参加者が少ない時間帯でドル円が急落し、昨年3月以来となる104円台半ばまで円高が進む場面がありました。相場は相当荒れていたようで、この時のスプレッドもかなりワイドであったと思われます。そのためソースによっては、ドルの底値に違いがあります。市場では「フラッシュクラッシュ」という言葉が使われており、いずれにしても相当混乱していたのは事実のようです。
ドル急落の原因はこの2つでしょう。予想されていたことでしたが、中国のPMIが4ケ月連続で前月割れを示しただけではなく、節目の「50」を割り込んだことや、アップルが売上高予想を20年ぶりに下方修正したことが引き金となり、東京勢が休みで、さらに3日の朝方で参加者が少ない時間帯に104円台まで円高が進みました。アップルのティムクックCEOは「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」とのコメントを残しています。
それにしても104円台とは驚きました。昨年1年の値幅が9円91銭ほどだったものが、ここ2日の営業日で5円以上の値動きがあったわけです。今年のドル円は、少なくとも昨年のように上にも下にも値幅の少ないことはないと考えるべきでしょう。昨年の値動きの鈍さとは別次元に入ったと思います。個人投資家の皆さんも、エントリーする際のタイミングや指値の際には注意してください。NYダウが600ドル下げても50銭程度の円高にしか振れない動きは終わったと考え、ボラティリティーが高止まりする1年であると肝に銘じるべきです。
ドル円は104円台半ばまで急落したことで、昨年の円の最高値である104円55銭とほぼ並んだことになります。何とかドル高傾向を維持していた「週足」も一気に崩れ、円の先高観を示唆しています。104円台半ばは昨年の底値近辺であったこともあり、下げ止まったと思われますが、「日足」の120日移動平均線からの乖離を見ても行き過ぎは明らかです。今後は、参加者も通常に戻った際にこの水準を抜けるかどうかが極めて大きな意味を持ってくると思われます。昨年のドル最安値を割り込めば、さらに円高が進むと考えられるからです。
ドル円は、株式市場との相関性もより強めてくるものと思われます。株高が進めばドルが買われ、株安が進めばドルが売られ傾向が昨年よりは強まると予想されます。その意味では、本日は米国株の大幅安を受けて日経平均株価も大きく売られることが予想されます。先物から予測されるのは500円から800円程になりますが、ここに円高が加わるため、さらに下げ幅を拡大するかもしれません。
レンジは106円80銭~108円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 3日のオセアニア市場で、104円台まで急落したドル円は107円台から108円台で推移。株価が再び大幅に下落したことで107円11銭までドル安が進んだが107円台後半まで値を戻す。
- ユーロドルは昨年からのレンジを抜け切れずに1.14を挟む展開。ドル円が円高に振れた分、ユーロ円も122円まで下落。
- 株式市場は再び大荒れの展開。アップルが売上高を下方修正したことから、アップル関連銘柄が下落を牽引。ダウは660ドル下げ、S&P500は小幅高。
- 債券相場は大幅に続伸。長期金利も2.55%台まで低下。
- 金は続伸し半年振りの高値に。原油は反発。
12月ADP雇用者数 → 27.1万人
新規失業保険申請件数 → 23.1万件
12月ISM製造業景況指数 → 54.1
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ドル/円 | 107.11 ~ 108.30 |
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ユーロ/ドル | 1.1338 ~ 1.1411 |
ユーロ/円 | 122.06 ~ 123.41 |
NYダウ | -660.02 → 22,686.22ドル |
GOLD | +10.07 → 1,294.80ドル |
WTI | +0.55 → 47.09ドル |
米10年国債 | -0.069 → 2.552% |
本日の注目イベント
- 中 中国 12月財新サービス業PMI
- 中 中国 12月財新コンポジットPMI
- 独 独12月失業率
- 欧 ユーロ圏12月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏11月生産者物価指数
- 欧 ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
- 英 英11月消費者信用残高
- 英 英11月 マネーサプライ
- 英 英12月サービス業PMI
- 米 12月雇用統計
- 米 FRBパウエル議長、イエレン前議長、バーナンキ元議長がAEA年次総会でインタビューに応じる。ボスティック・アトランタ連銀総裁がAEA年次総会でパネル討論会に参加。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
まだお正月気分も抜けず、お屠蘇気分も冷めない中、金融市場は波乱の幕開けです。特に為替市場では、参加者が少ない時間帯でドル円が急落し、昨年3月以来となる104円台半ばまで円高が進む場面がありました。相場は相当荒れていたようで、この時のスプレッドもかなりワイドであったと思われます。そのためソースによっては、ドルの底値に違いがあります。市場では「フラッシュクラッシュ」という言葉が使われており、いずれにしても相当混乱していたのは事実のようです。
ドル急落の原因はこの2つでしょう。予想されていたことでしたが、中国のPMIが4ケ月連続で前月割れを示しただけではなく、節目の「50」を割り込んだことや、アップルが売上高予想を20年ぶりに下方修正したことが引き金となり、東京勢が休みで、さらに3日の朝方で参加者が少ない時間帯に104円台まで円高が進みました。アップルのティムクックCEOは「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」とのコメントを残しています。
それにしても104円台とは驚きました。昨年1年の値幅が9円91銭ほどだったものが、ここ2日の営業日で5円以上の値動きがあったわけです。今年のドル円は、少なくとも昨年のように上にも下にも値幅の少ないことはないと考えるべきでしょう。昨年の値動きの鈍さとは別次元に入ったと思います。個人投資家の皆さんも、エントリーする際のタイミングや指値の際には注意してください。NYダウが600ドル下げても50銭程度の円高にしか振れない動きは終わったと考え、ボラティリティーが高止まりする1年であると肝に銘じるべきです。
ドル円は104円台半ばまで急落したことで、昨年の円の最高値である104円55銭とほぼ並んだことになります。何とかドル高傾向を維持していた「週足」も一気に崩れ、円の先高観を示唆しています。104円台半ばは昨年の底値近辺であったこともあり、下げ止まったと思われますが、「日足」の120日移動平均線からの乖離を見ても行き過ぎは明らかです。今後は、参加者も通常に戻った際にこの水準を抜けるかどうかが極めて大きな意味を持ってくると思われます。昨年のドル最安値を割り込めば、さらに円高が進むと考えられるからです。
ドル円は、株式市場との相関性もより強めてくるものと思われます。株高が進めばドルが買われ、株安が進めばドルが売られ傾向が昨年よりは強まると予想されます。その意味では、本日は米国株の大幅安を受けて日経平均株価も大きく売られることが予想されます。先物から予測されるのは500円から800円程になりますが、ここに円高が加わるため、さらに下げ幅を拡大するかもしれません。レンジは106円80銭~108円30銭程度を予想します。
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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11/3 | トランプ・米大統領 | 「米国と中国が貿易摩擦解消するための合意に達すると考えており、そうなれば両国に有益だろう」ホワイトハウスで。 | 株価のマイナス幅が縮小 |
11/14 | パウエル・FRB議長 | 「あとどれくらい利上げをするのか、今後の利上げのぺースについてわれわれは考えなければならない」ダラスでの公開討論会で。 | -------- |
11/15 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「政策の過ちが経済の過熱や不況の引き金になりかねない領域に近づいているため、当局は追加利上げを慎重に進めるべきだ」マドリードの会合で。 | -------- |
11/16 | クラリダ・FRB副議長 | 「米金融当局は、政策決定に際して世界の経済成長を考慮に入れるべき必要があるだろう」CNNとのインタビューで。 | ドル円113円台前半から112円台半ばまで下落 |
11/19 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「われわれはあらかじめ設定されたコースを進んでいるわけではない。低インフレの下で力強い米経済を維持することに最善を尽くすため、金融政策のやり方を調整する」NYのイベントで。 | -------- |
11/20 | クドロー・米国経済会議(NEC) | 米中首脳会談に関して「米国の利益に合致しない限り、合意はない」FOXとのインタビューで。 | -------- |
11/21 | マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI) | 「米金融当局は段階的な金融引き締めについて少なくとも休止する検討を開始しつつあり、来年春にも利上げサイクルを終了させる可能性がある」 | 市場はドル安・株高で反応 |
11/26 | トランプ・米大統領 | 「われわれが取引しなければ、私は2670億ドル相当にも10%から25%の関税を課すことになる」WSJ紙とのインタビュ-で。 | -------- |
11/28 | パウエル・FRB議長 | 「経済にとって中立、すなわち成長を加速も減速もさせない水準に関する幅広い予想レンジをわずかに下回っている」Economic Club NYで。 | ドル円114円台から113円半ばへ。NYダウ617ドルの急騰 |
12/1 | トランプ・米大統領 | 「首脳同士によるすばらしい取引だ」米中首脳会談を終えて。 | -------- |
12/3 | クドロー・米国経済会議(NEC) | 「現時点で私はこれを(公約)と呼ぼう。公約は必ずしも貿易合意ではないが、中国側が検討し、恐らく実行するものだ」ホワイトハウスの公式ブリーフィングで。 | -------- |
12/4 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「パウエル議長が述べたことと完全に一致していると思うが、米経済は強いが地平線上に(ある程度の)リスクは確実に存在するというのが私の見解だ」記者会見で。 | -------- |
12/5 | トランプ・米大統領 | 中国からとても強いシグナルが送られている」米中首脳会談を終え数日後に。 | ドル円は小幅に上昇 |
12/11 | トランプ・米大統領 | FRBが利上げをすれば「それは愚かなことだと思うが、私に何が言えよう」ホワイトハウスでロイター通信とのインタビューで。 | ドル円は小幅に下落したが限定的 |
12/12 | ドラギ・ECB総裁 | 「リスクは依然としておおむね均衡しているものの、下方向に向かいつつある」(金利は)「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」理事会後の記者会見で。 | ユーロドル下落 |
12/17 | トランプ・米大統領 | 「ドルはとても強く、インフレは事実上存在せず、米国以外の世界は荒れている。パリは燃え、中国は急降下だ。米金融当局がまた金利を上げようと検討しているだけでも、信じがたい。勝利をつかめ!」FOMCを前に。 | -------- |
12/18 | トランプ・米大統領 | 「FOMCの出席者はまた誤りを犯す前に、本日のウォール・ストリート・ジャーナル社説を読んだ方がいいだろう」「市場の流動性をこれ以上引き締めるべきではない。500億ドルなどやめろ。相場を感じ、意味のない数字にとらわれるな。幸運を祈る」FOMCを前に。 | -------- |
12/18 | ムニューシン・米財務長官 | 「ドルが強い理由の一部は人々の米国経済への見解や、世界の他の国々の成長と比較した米経済の成長にある」ブルームバーグとのインタビューで。 | -------- |
12/19 | FOMC声明文 | 「連邦準備法に定める責務に従い、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を目指す。委員会は、FF金利目標レンジを漸進的にさらに幾分か引き上げることが、経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、およびインフレ率が中期的に委員会の対称的な2%目標付近で推移することと合致すると判断している」 | 予想より「ハト派的ではない」と受け止められて大幅な株安に |
12/24 | トランプ・米大統領 | 「米国経済が抱える唯一の問題はFRBだ。相場感覚がなく、必要不可欠な貿易戦争のほか、ドル高、国境問題により民主党が政府機関を閉鎖したことすら理解していない」株価の暴落を受けて。 | -------- |
1/3 | ティムクック・アップルCEO | 「主要新興市場で幾らか苦戦するとは予想していたが、特に中国圏でこれほどの経済鈍化は見込んでいなかった」売上げ高の下方修正発表時に | ドル円108円台から104円台に急落 |
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。