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社員がコロナに感染 公表や職場復帰は計画的に

2020-06-27 13:09:46 | 日記

社員がコロナに感染 公表や職場復帰は計画


マスク姿で通勤する人たち(6月1日午前、東京・丸の内)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染者が出たことをどのように公表するかなど、企業が対処すべきことは多い。感染した従業員をいかに職場復帰させるかも課題だ。新型コロナがもたらした未曽有のリスクに企業はどう対応すればいいのか。企業の危機管理に詳しい社会情報大学院大学の白井邦芳教授に感染者が出た後の企業対応や、今後の課題について聞いた。


 しらい・くによし 1981年早大教育卒、AIU保険(現AIG損害保険)入社。ACEコンサルティングを経て17年にゼウス・コンサルティングを設立。同年から社会情報大学院大学の教授も務める

――社内で感染者が出た場合の公表準備を重要視している企業が多い一方で、各社の広報対応はバラバラです。

「感染者に関する個人情報の扱いに苦慮する企業が多い。東京証券取引所もガイドラインを出しているが、公衆衛生上の観点からどこまで情報を開示しないといけないかがわからない。感染者発生に伴う情報開示の対応は最悪の場合、従業員の人権侵害につながりかねず慎重に決めなくてはならない。情報公開は感染経路や濃厚接触者の把握といった情報開示の目的を達成するのに必要な範囲内で実施すべきだ。例えば、海外子会社の社員で日本に渡航歴のない従業員の情報を日本で公開する必要はない」

――今後は一度感染した従業員の職場復帰に向けた対応も求められます。

「感染者の対応を職場に任せると、上司の感情的な判断で風当たりが強くなることがある。会社として職場復帰までのロードマップを示す必要がある。感染していない従業員のケアも欠かせない。消毒などを終えても感染者が出たオフィスで働くことに不安を抱く人もいれば、逆に在宅勤務にストレスを感じる人もいる。あらゆる不満に対処するための体制作りが求められる」

 

■職場での感染リスクを減らす

――企業には具体的にどのような対応が求められますか。

「従業員のストレスチェックの項目に新型コロナに関する項目を盛り込むなどの対応がある。新型コロナ関連の悩み相談ができる新たな窓口を設置するなどの取り組みも進んでいる」

――感染拡大の防止に向けた取り組みも進んでいます。

「新型コロナの感染拡大前に比べて在宅勤務や時差出勤などを取り入れる企業が増えた。特に共用の食堂や寮で寝食を共にすることが多く、集団感染のリスクの高い工場では濃厚接触者を減らす工夫を凝らす企業が多い。例えば、従業員を2つのチームに分けてそれぞれ隔日で勤務したり食事の時間を分けたりする事例がある」

「ただ、感染防止の社内ルールを定めるだけでは不十分で、社内教育の徹底も怠ってはいけない。マスク着用などの対応を取ってからも、社内で感染者が出る事例が多いからだ。主な原因は感染防止策への理解不足だ。マスクや手袋を着用しただけで安心してしまい、手洗いうがいなどを怠ってさらなる感染につながるケースなどが後を絶たない」

 

――感染防止には休日など勤務時間外の従業員の過ごし方も重要になってきます。

「根本的なリスクを遮断するのは非常に難しい。会社が海外渡航を禁止しているにもかかわらず、従業員が無断で海外で結婚式を挙げて濃厚接触者を出したケースもある。政府や地方自治体もテレビのコマーシャルなどで感染防止を訴えているが、各企業でも社内の意識改革に取り組むべきだ。一部の企業では管理職などを対象に研修を実施する動きも出てきている」

――新型コロナ問題の収束には時間がかかるとの見方もあります。

「収束はワクチンの開発にかかる時間などを考慮すると2年はかかるとみた方がいい。かなりの長期戦になるだろう。2020年に入ってから続いている異常事態に、従業員の精神的ストレスもかなり蓄積されており、現状の対策を続けるには限界が近づきつつある。日本政府が打ち出している新しい生活様式を見据えて、企業も新たな対応策を練る必要がある」

■オフィスレイアウトの変更も必要

――現状の対策からどのような変化が求められますか。

「従業員がストレスをためずにこれまでと同じように仕事ができる職場環境の構築が求められる。具体的には、従業員同士の接触が少なくなるようにオフィスのレイアウトを変更して職場の動線を再編成する、検温に時間がかからないようにサーモグラフィーを導入するといった対応が考えられる。新型コロナの感染が広まる前から注目を集めていたオフィスのフリーアドレス化も有効な手段となるかもしれない。今後は働き方改革の一環として注目される。経営者も投資を惜しむべきではない」

――日本では緊急事態宣言が解除され、世界各国で制限緩和に向けた動きが出ています。

「各国の宣言や規制解除後の方が企業判断は険しくて厳しいものになる。同じ国内でも地域によって制限の対応が異なってくるため、拠点を構える地域などによって企業が取るべき対応が大きく変わってくるからだ。他社の対応を模倣するだけでは対策として不十分で、今後は独自に経営判断すべき事項がより多くなる」

――企業にはどのような準備が求められますか。

「まずは事業を継続する上で致命的になり得るあらゆるリスクの洗い出しをしなくてはならない。情報戦になるため、社内に情報収集機関が必要だ。管理職に高齢で持病がある人が多い企業は、万が一の場合に会社としての機能をどう維持するかなども検討しておく必要がある」

「グローバルに拠点を構える企業を中心に対策を講じる動きも既に出始めている。例えば海外で働く従業員に対して、働いている地域で企業活動に制限がかかった場合、日本に帰国させるのではなく、勤務地の近くの比較的安全な地域で一時待機してもらい、すぐに活動を再開できる体制を整えるといった対策だ」

(聞き手は企業報道部 菅野気宇)


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