広い野原に誰かが置いていった小さなボートがポツンとある。主人公のムギちゃんはここに来ると、気分がよくなって歌いたくなる。ここへ来る前にママからしかられて、いろいろな怖~い顔のママを想像しながら歌い出す。
「ママの怒った顔はーシーサーに似ているー♪」「ママの怒った顔はージャミラの時もあるー♪」「モアイの時もあるー♪」
■「やさしい麦茶」CM、ママあるあるに共感殺到
ムギちゃんの歌う姿がとにかくかわいいと評判なのが、サントリー食品インターナショナルの「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」のCMだ。実感を伴ったリアルな「ママあるある」にも多くの共感と注目が寄せられて、6月度調査で作品別CM好感度の1位となった。
CM好感度調査のモニターの感想を見ると、世代を問わずに好感を持たれていることがわかる。子どもたちからは「歌がおもしろい」「うちのお母さんもそうだな」や「たしかに」「学校でも人気がある」などと、納得したり共感したりする意見が多数あった。
ママ世代からは「ほんわか笑顔にさせてくれる」「くすっと笑ってしまう」と心なごむ一方で、「子育てをしているとイライラすることが多いが、優しいのが一番という言葉にハッとさせられた。心のゆとりが大切ですね」「確かになるかな……。やさしい麦茶で心を落ち着かせます」「子どもにそう思われてるのかな……と思った」「ママはみんな同じだと思いました」「その通りかも」などと自身の子どもとの接し方を振り返り、複雑な心境を明かすママもいた。
また、少し上の世代からは、「子育て時代はそんな顔をしてしまうものです。でも、やさしいのが一番!」など、子育て時代を懐かしむ、おばあちゃん目線の感想も寄せられた。
母親や子育てに関するテーマはデリケートな部分も多く、最近母親の“ワンオペ育児”を連想させるとしてあるWEB動画が炎上したように、描き方を間違うとリスクが伴う。
こうした状況の中でも、やさしい麦茶のCMは「ママの怒った顔」を子ども目線のキャラクターで象徴的に描くことで、リアルな「ママあるある」をユーモラスな形に転嫁させている。ここが、全世代から好感を持たれているゆえんだろう。