ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『パゴダの王子』2011年11月5日(土)

2011年11月07日 | Weblog

Nさんより『パゴダの王子』5日の寄稿頂きました。
新鋭の米沢唯さんの魅力に溢れた舞台だったとのこと。


新国立劇場バレエ団 『パゴダの王子』 2011年11月5日(土)

さくら姫:米沢唯
王子:菅野英男
皇后エピーヌ:本島美和
皇帝:堀登

北の王:江本拓
東の王:輪島拓也
西の王:福岡雄大
南の王:貝川鐵夫

道化:吉本泰久
宮廷官吏:厚地康雄

妖怪:高橋一輝 野崎哲也 八木進 小野寺雄

雲:西川貴子 北原亜希 千歳美香子 川口藍 成田遥
  古川和則 輪島拓也 アンダーシュ・ハンマル 小柴富久修
  田中俊太朗 原健太 宝満直也 宇賀大将(交替出演)

星:大和雅美 石山沙央理 奥田花純 五月女遥 盆子原美奈 益田裕子

泡:さいとう美帆 高橋有里 寺島まゆみ 寺田亜沙子 堀口純
  丸尾孝子 井倉真未 加藤朋子 柴田知世 細田千晶

タツノオトシゴ:八幡顕光 江本拓 奥村康祐 福田圭吾
         小口邦明 清水裕三郎 林田翔平(交替出演)

深海:厚地康雄 芳賀望

炎:大和雅美 奥田花純 盆子原美奈 益田裕子

米沢さんのさくら姫は力強くメリハリが効いた踊りで
目の覚めるようなテクニックが冴え渡り、
舞台に大きなパワーを与えていた。
決して長身ではないが、そうとは感じさせぬほど
身体を大きく使った踊りで舞台栄えしていた。
12月の金平糖の女王に一層期待したい。

またさくら姫の中で唯一髪を少し両耳から垂らし、
東洋風の顔立ちも相俟って
歴史物語に登場するような日本女性らしさを醸し出していた。

菅野さんの王子は真面目さや実直さが伝わる優しい男性であった。
兄と妹という特にパ・ド・ドゥでの表現が難しい関係を
程好い距離を置きながらさくら姫を見守り、
恋愛ではなく家族愛として上手く表していた。
安定感抜群の技術の持ち主で、
後半のテクニックが詰め込まれたパ・ド・ドゥやソロも
危なげなく美しくこなしていた。
来年2月のこうもりのヨハンも楽しみである。

本島さんのエピーヌは恐ろしさと美しさの両方が全身から溢れる
輝くような皇后であった。
アイラインに赤を施して怖さを強調していたが、
元々の美しい顔立ちを更に際立たせ、大変似合っていた。
初めての悪女役を実に楽しそうに演じ、
踊りと共に目の力や冷酷さを湛えた表情のちょっとした変化で
その場の空気の色を瞬時に変えるオーラがあった。

連日見事な演奏を披露するオーケストラも讃えたい。
変拍子でカウントが難しく、不協和音が満載の曲の数々を
   繊細且つ表情豊かに聴かせていて
   全曲日本初演とは思えぬほどの完成度の高さである。

また、新国立劇場の誇るコール・ドの
一糸乱れぬきびきびとしたフォーメーションも素晴らしい。
少しでも呼吸がずれれば衝突の危険性が高い振付だが、
目まぐるしく隊形を変えながら綺羅星の如く舞うダンサー達に
心から拍手を送りたい。

さて、いよいよ楽日、
その後は久々にチャイコフスキー三大バレエの1つ、
くるみ割り人形が上演される。
子供達も大勢集まり、いつもとはまた異なる賑やかな劇場空間が広がるであろう。
17日(土)の初日と22日(木)には
今回出演されなかった山本隆之さんが王子役で登場する。
心ときめくクリスマスシーズンになることを期待したい。

 

 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
3回分ともありがとうございます (N)
2011-11-09 23:26:47
aruyaranaiyara様

3回分ともコメントいただきありがとうございます。
大変感激しております。
この日もいらしていたのですね。
色々と分かち合うことができ、嬉しい限りです。

>それで、顔立ちだけでなく、
よりいっそう東洋的に見えたのですね。

上階の席から見ていて何か違うと思い、
よく見てみると他のさくら姫とは異なる髪形でした。
大河ドラマに登場するヒロインのようでしたね。

>ヨハンといえば、ムスタッシュのお似合いな、
ダンディ度No.1、世界の山本さんの登場が待ち遠しい限りですね。

そうですね、洒脱さや色気が不可欠なこの役で、
右に出る人はなかなかお目にかかれないかと思います。

>新国立のバレエ演奏の中でも、歴代一、二の、
素晴らしい演奏でしたね。

渾身の演奏でしたね。
次のくるみ割り人形はおなじみの曲が多く
耳の肥えた観客が多いはずですので、
パゴダ並みの演奏を期待したいところです。


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Unknown (管理人)
2011-11-09 23:04:37
早速コメントありがとうございました
返信する
これからがますます (aruyaranaiyara)
2011-11-08 09:31:46
楽しみになってきました、米沢さくら姫!
素晴らしいテクニックとその雰囲気が良いですね。

Nさん、今回もいらしてたのですね。
楽しく拝聴させて頂きました。

>さくら姫の中で唯一髪を少し両耳から垂らし

いやー、全く気がつきませんでした。
それで、顔立ちだけでなく、
よりいっそう東洋的に見えたのですね。

Nさん流石です!
魂込めて、隅から隅まで集中して観劇されてますね。
見習わなければ、ぼーっと観てました。

>来年2月のこうもりのヨハンも楽しみである。

ヨハンといえば、ムスタッシュのお似合いな、
ダンディ度No.1、世界の山本さんの登場が待ち遠しい限りですね。

>完成度の高さである

ホントに、ホントに!
新国立のバレエ演奏の中でも、歴代一、二の、
素晴らしい演奏でしたね。
他の演目の時も、こうあって欲しいものです。
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