4月15日は三角帽子とカルメン組曲の二本立てのバレエをボリショイで見ました。
カルメン組曲は前回1月28日にステパネンコがカルメンでしたが今回はザハーロワが演じました。2005年版の振付で6回目。ホセをマリインスキー劇場のアンドレイ メルクリエフが演じ盛んな拍手を受けていました。トレドをMark Peretokin, Corregidor Rinat Arifulin, Fate : Nataliya Vyskubenkoです。
アンコールの動画です。
15年ほど前にプリセツカヤでカルメン組曲を見たことがある駐在員の方と今回ご一緒しましたが彼によれば以前の振付との違いははっきりしないが少なくともザハ-ロワはプリセツカヤよりずっと機敏に動く場面が多いように思うとのことでした。
やはり輝くばかりの美貌で今が旬というべき ザハ-ロワが誘惑のボーズをとったり 妖艶な笑顔を見せると ザハ-ロワはカルメンに向いているかという宇治さんの御意見はわからないでもないのですが何でも許せてしまうというのは偽らざるファン心理。
当方はステパネンコの勝気そうなお姉さんのカルメンもカルメンらしいとは思いますが男を手玉にとって男がころっといくのはザハ-ロワかなと思ってしまいます。
みやびいさん、はじめまして。ザハロワに限らず、プリマは好みが分かれるようですね。私はニーナは飽きるほど見ましたが。2月出産産休中で40代前半。復帰未定。グルジアの芸監でもあり出てきてもビデオのように踊るかは?。ここの日記等参考に自分好みのプリマを見つけられるのも一興では。
さて、「カルメン」ですが、去年の復活初演時と一番違うのは、脇役マルク・ペレトーキン(ホセの恋敵)の頭。ボリショイのベテラン・ペレトーキンは去年は前髪薄毛化を気にしすぎた?のか、頭に布を巻いて出てきて、写真で見たらこれがちーともかっこよくなかった。トレドですか、闘牛士エスカミリオはカルメンがホセから心変わりする役で、プリセツカヤが踊った時の映像ではホセ役とともにラテン風のいい男が演じてました。やっぱしここは、伊達男にキメてもらわないと、ということで、布をとったマルク氏、いいではないですか-。初演時より作品にあっていて、安堵。
初演キャスト、ホセ役はザハロワの信頼厚いウヴァーロフで、ケガ欠場につき代役に注目でした。メルクリエフできましたか-、いいではないですかー。ザハロワも、少し役に慣れてきたのか、カーテンコールの拍手は黄金時代等よりは少なく聞こえましたが、彼女自身はカルメン風のしぐさなど板についてきてるようにみえてほっとしました。
昔は映像のプリセツカヤの「カルメン組曲」に感動したのですが、今見ると、彼女以外の周りのダンサーがいかに優れていたかがよく分かります。前の日記に宇治さんが書いてらしたFate役、私の見たカサトキナは役をよく練り上げており、コールドもよく作品を伝えていました。プリセツカヤは確か当初この作品を他の人が踊るのを許してなかったような(うろおぼえ)。スターとしてのプリセツカヤの後半生に振付けられたものでカルメンの踊りは技術難度は低く、成功したスター向きの作品でしょう。プリセツカヤがこの作品を踊れなくなると作品を残すためでしょうがマイヤさん指名のスタープリマ達だけが踊っていました。あと、日本人のプリマも複数踊っており、私は日本で何人かのプリマで見ています。作品の紹介に終わった人もいればとても上手だった人もいました。
マイヤさんだけが踊ってた時代は彼女がよく見えたのですが、彼女以上に男性が参りそうな魅力を持っていて、体の若さもあり踊りももっと上手な人もいたので、管理人様のお知り合いの15年前に同作品を見た方(すごーい!)のご意見(マイヤさんよりザハロワの方が動きが俊敏だった)というのもよくわかります。
何といってもビゼー曲シチェドリン編曲の音楽がよく台本もしっかりしていて振り付けもまともだと思うので、ザハロワのようなスターの起用でこの作品が残ってくれたら嬉しいですね。
プリセツカヤの時代はボリショイは人数が多く幾らでも役に合う脇役を連れてこられたのでしょうけど、今回のホセ、トレド役は今現実的な中でバランスのとれたいいキャストだと思います。
プリセツカヤの「カルメン組曲」(写真で見た限り振り付け同じっぽいです)の主眼は、一つにはスター性を見せる、ということ。(これはプリセツカヤが大変優れていたと思います)ザハロワとプリセツカヤに共通するのは、このスター性かな-と思ってます。
もう一つは権力との闘争、のようなプリセツカヤ独自の「闘うカルメン」のイメージなんですが。マイヤさんの炎のような激しい生き様がシンクロし上演当時は優れた芸術的テーマを示しましたが、今の劇場にくる人に権力と闘ってる人なんているのか?と思うし、マイヤさん自身も変質し、今、踊るプリマ達それぞれが自身と向き合い、しっくりくる独自のテーマを見つけるべき作品と思っています。
ザハロワに燃えるようなものを感じたのは一度しかないので危惧しましたが、「お姫様」にちょっと飽きてる感じの彼女が衣装など工夫し、のって踊ってるのをみるとだんだん良くなるかな、と。
マイヤさんは黒衣装、ザハロワは前半赤、後半黒で似合ってますね。ホセの衣装の色変えたのは納得できないけど。
ザハロワは昨年自身のガラ・コンをやり、そこに呼ばれてたのが、キーロフ時代の相手で彼氏といわれるゼレンスキー、ボシリョイでの相手ウヴァーロフ、モダン担当のメルクリエフ。(パリ・オペラ座の40代スターのイレールもキャストはされていたかもしれない。ザハロワが大好きらしい)
彼女は世界中の主要な劇場に招かれ、数多くの相手役と踊ってるのですが、彼女自身が呼んだこの人たちがザハロワの特にお気に入り。中であまり壊れてないのは若いメルクリエフだけなので長身ザハロワの相手としてはいいのかも。とりあえずイキのいい踊りは見せてくれるので雰囲気を伝えるペレトーキンと共にザハロワのカルメンの脇としては堅実な布陣と思いました。
映画版:プリセツカヤ(カルメン)、N.ファジェーチェフ(ホセ)、ラードチェンコ(エスカミリオ)、ラヴレニューク(ツニガ)、カサートキナ(運命)、これは日本でもDVDで買えます。
TV版:プリセツカヤ、ゴドノーフ、ラードチェンコ、バルィキン、アラウホ、これはクラシカ・ジャパンで放映されました。
ライヴ版:プリセツカヤ、ベルディシェフ、ラードチェンコ、他は失念、これはロシアのレーベル、クループヌィ・プランからリリースされていました(但し10年くらい前)。
では、また。
薀蓄んより
ザハロワは黒鳥でも、こういうカルメンみたいな男心をくすぐるキュートな妖艶さでやった方が、尊大に冷たくやるよりいいんじゃないかと思ってます。ただ、この手の役はくせになるのであまり役に上達して本来の白鳥系の清純な個性(できる人が限られる貴重なもの)をあまり早くに失わないでほしい気もしますね。
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