ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

新国立劇場バレエ団『ダイナミックダンス!』2013年1月25日(金)

2013年01月29日 | Weblog
 Nさんからの寄稿二日目です。
 

新国立劇場バレエ団『ダイナミックダンス!』2013年1月25日(金)

「コンチェルト・バロッコ」
男性プリンシパル:厚地康雄
女性プリンシパル:米沢 唯、寺田亜沙子

「テイク・ファイヴ」
テイク・ファイヴ:米沢 唯
スリー・トゥ・ゲット・レディー:長田佳世、丸尾孝子、細田千晶
フライング・ソロ:福田圭吾
トゥー・ステップ:小野絢子、福岡雄大
フォー・スクェア:マイレン・トレウバエフ、福田圭吾、奥村康祐、清水裕三郎

「イン・ジ・アッパールーム」
長田佳世、寺田亜沙子、井倉真未、竹田仁美、奥田花純、加藤朋子、五月女 遥
マイレン・トレウバエフ、八幡顕光、厚地康雄、貝川鐵夫、江本 拓、原 健太

『コンチェルト・バロッコ』
2日目の女性プリンシパルは米沢唯さんと寺田亜沙子さん、
米沢さんは伸びやかさのある気持ち良い踊りで舞台を牽引され、
寺田さんは女性らしい柔らかさの中から色香が漂い、
長い手脚を生かしてしっとり美しく踊られていた。
初日の小野さん、長田さんが競って主張をするような「競演」に対し、
米沢さん、寺田さんは少し抑えた中から楚々とした反応が生まれ、
「共演」のように感じた。
それぞれ魅力の異なるダンサーが組んでいるが
2組とも音楽に溶け合っているのは共通、心地良さに包まれた。
男性プリンシパルの厚地康雄さんの

爽やかな風情と華やかさのある容姿も目を引いた。

『テイク・ファイブ』
米沢さんの色っぽさと可愛らしい魅力が満開、
福田圭吾さんの洗練された、音楽の中で軽快に遊ぶような踊りは
特に印象深く、お茶目な表情にも楽しませていただいた。
小野絢子さんは顔や身体のちょっとした角度で実に艶っぽくなり、
魅せ方を心得た踊りが素敵であった。

『イン・ジ・アッパールーム』
プリンシパルやソリストを中心に揃えた初日組が
凄味を感じさせながらストイックに突き進んでいた印象に対し、
こちらの組はどこか明るさや楽しさが全身から伝わってきた。
中でも五月女さん、奥田さん、井倉さん、竹田さんの
最後まで笑みを絶やさぬタフさに感服である。
身体が悲鳴を上げそうな振付をこなし、
更には幕開けから焚かれるスモークの煙さ
(終演後は客席も真っ白!)にも負けじと踊り切ったダンサー達に
大きな拍手が沸き起こった。
両キャストとも圧巻の舞台である。

現代作品ばかりを揃えた意欲的なプログラムを考えたビントレー監督、

そして成功させたダンサー達に心から讃えたい。

しかしながら残席が多かったのは惜しまれる。

不況とはいえ、ミュージカルやオペラは完売に近い公演が多数、

観客動員数を増やせるよう宣伝方法や営業を見直すべきであろう。

 

次回公演はロマンティックバレエの最高峰・ジゼルである。

中世ドイツを舞台に身体が弱い可憐で素朴な村娘と

貴族の青年の禁じられた恋を描いた傑作バレエである。

特に、農民ではなく実は貴公子で婚約者もいるという恋人の事実を知った

ジゼルがショックのあまり狂うようにして踊る狂乱の場や

死後、精霊となって体重を感じさせずに舞う姿は見所である。

また、ジゼルの恋人・アルベルトにとって

ジゼルとの恋は本気だったのか遊びだったのか、

演じるダンサーや演出によって異なってくる点も興味深い。

ゲストはイングリッシュナショナルバレエから、

新国立のダンサーからは長田佳世さん、菅野英男さん、

米沢唯さん、厚地康雄さんが挑む。

新国立劇場では7年ぶりの上演、どんな舞台になるか待ち遠しいばかりである。



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