新国立劇場バレエ団 『白鳥の湖」（ウヴァーロフ出演日分）－１－

Nさんより寄稿頂きました。ザハロワ降板の舞台を御覧になったとの箏。Nさん誠にありがとうございました。また画像はチケットもぎり場横に置かれていたザハロワのメッセージの文面とのこと

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』

 体調不良によるスヴェトラーナ・ザハロワの降板が

初日の開演数時間前に告知され、

恐らく新国立劇場バレエ団公演史上最大の騒ぎであったであろう。

到着して初めて降板を知る客も大勢いて、会場は一時騒然としていた。

初日の開演前には牧阿佐美芸術監督が

ザハロワの降板を詫びるとともに、

団員一同精一杯の舞台を作り上げるとの挨拶があった。

 

 

1月17日・19日・21日（3日間ともウヴァーロフ出演日）

 

17日と19日のオデット/オディールは厚木三杏さんが代役を務めた。

ザハロワ目当ての観客が大半を占める緊迫した状況下(特に17日)、

よく踊りきったと思う。

出だしは硬さがあったものの前回の初役時よりも情感が増し、

そしてウヴァーロフからたっぷりの愛情を注がれて

終幕ではこちらの目頭が熱くなってしまった。

19日はウヴァーロフとのパートナーシップが益々良くなり、

初日ではややタイミングがずれてしまった箇所も

きっちりと決めていた。

 本来22日のみの出演でその日に向けて調整していたところへ

初日当日朝にザハロワの代役を踊るよう告げられたのだから、

並々ならぬプレッシャーがかかっていたことは想像に難くない。

ウヴァーロフとは1時間半程度合わせて本番に臨んだそうだ。

心から拍手を送りたい。

 

21日は代わって川村真樹さんが主役を務めた。

優美でたおやか、丁寧な踊りが持ち味で

純和風なお顔立ちのダンサーである。

ふんわりと柔らかな風情で王子を包み込む、

慈愛に満ちたオデットだった。

また技術が大変しっかりとしているため危なげな箇所が無く、

終始安心して鑑賞できた。

 オディールも好演だった。

清楚な役柄の印象が強いだけに、

ほんの少し悪戯っぽく微笑むだけでどきっとさせられる

魅惑的なヒロインだった。

 

今回はパ・ド・トロワや大きな白鳥などを務めることになっており、

まさかオデット/オディール役を踊ることになるとは想定外だったであろう。

前回踊ったのは2008年6月の1回だけ、それにも関わらず3,4日間程度で

振付を思い起こして本番に臨んだ。

厚木さんと同様、ウヴァーロフとは1時間半程度しか

合わせる時間がなかったそうだ。

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コール・ドダンサーとして入団し、コリフェ、ソリストを経て

ファーストソリストにまで登りつめただけの確かな実力を証明してくれた。

来シーズンは火の鳥やラ・バヤデールのニキヤ、そして当たり役のシンデレラの仙女と

ビントレー次期監督も特に一目置いているダンサーである。