オリヴィアを聴きながら

2男児の母、業歴XX年のシステムエンジニアが日々のもろもろを雑記します。
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板ばさみ

2006-12-27 23:48:51 | お仕事情報
外注先とのトラブルの話を書きましたが、このA社、派遣事業も行っていて、私の両腕(片腕ではない)として活躍してくれている派遣従業員(仮にB氏とします。)の派遣元でもあります。

IT業界では一括請負と呼ばれる「最初に提供物と価格を決定して開発を行う」タイプと、作業請負と呼ばれる「最初に人月単価(一人当たりの一ヶ月分の価格)と作業期間を決定して開発を行う」タイプの請負契約があります。

派遣と作業請負の違いは指揮命令系統がどちらにあるかで区別します。

さて、今回、B氏が設計書を書き、A社に製造を委託するという構図になっているわけですが、これはシステム開発の現場では非常に多発するケースです。
そのために派遣従業員を置いてあるといっても過言ではありません。

よくあるケースですが、
この場合、B氏の立場は非常に難しいものになります。
職務上は派遣先である弊社の利害を第一義に考えて行動することを求められます。実際に、B氏本人の懐に響いてくるのは派遣元の収益ですから、外注先の利害を無視できません。

というわけで、うまくいくとWin-Winの良い関係が期待できるわけですが、そこに持っていくのはかなりの技量が必要です。

今回は、A社の担当はB氏の後輩にあたる人でしたので、素直に教えを請う&後輩を育成する美しい構図が展開され、開発作業は非常にスムーズに進んだと思います。
また、一括外注するにあたって、見積時に「今回の開発はプロトタイピングでお客様が意思決定するから、設計書の決定がぶれる可能性がある。かつ、お客様の担当者がコンピュータシステムに関して素人」ということから、『1割程度の仕様変更を見込んだ金額』を出すように指定してありました。
(通常は、そんなバッファはなくても2割やそこらの仕様変更は当然のようにあります。見積には当然見込んでおくものです。)

だから、結構、利の厚い商売がしてもらえたと思っているのですが・・・
(弊社の他の部署の仕事で、かなり搾取されて嫌気がさしていたのを知っていたので。)

今回のトラブルで一番気になっているのが、このB氏のことです。
気持ちよく仕事してもらうには、どうフォローしたものか・・・・


注文するのも難しい

2006-12-27 23:04:14 | お仕事情報
年末に来ていろんなところでクレームが発生していて、凹んでいます。
ちょっと愚痴モードですみません。

今日、一番応えたのは、外注先(仮にA社とします。)からのクレームでした。

発注条件に関するものですが・・・

システム開発において、プログラム製造のみを一括して外注することは往々にしてあります。
今回のA社にも弊社で作成した設計書を渡して、プログラム製造をお願いしました。プログラム製造とは、プログラムのコードを書いて、ユニットでのテストを実施して、プログラムレベルでのテスト(連結テスト)を実施するまでの工程です。

これを受け取って、システム全体での総合テスト、運用モードでの運用テスト、実環境でのフィールドテストというようにテストをすすめて、お客様の検証というフェーズになります。

納品物は、プログラムそのものとプログラム仕様書、テストの記録になります。

設計書=プログラムの外から見た動き方、見え方が書いてあるもの。
プログラム仕様書=プログラムの内部の構造を説明してあるもの。

テストの記録はチェックリストと、発生した不良(バグ)の記録です。

納品されたドキュメントの内容である程度の品質の判断をして、プログラムを実際に動かして受入検査を実施します。

受入検査でOKと判断したら、『検収』となって、外注先からの『商流での納品』が完了となり、買掛計上されるわけです。

さて、受入検査では発見できなかった不良がその後の、工程で発見された場合、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)という名の下に、外注先が不良を解消するような作業を無償で提供するという約束が、発注時の契約にはうたってあります。
期間は納品後、1年間です。これは、弊社がお客様に納品する場合にも同様です。

今回の発注条件では、『製造』の納品物を12月末までに納めること以外に、1月の総合テストに2日程度立ち会うことが条件として入れてありました。
テスト期間が短かったため、不良が出た場合に即時対応(翌日では遅い)してもらいたいからです。
というわけで、『モノ』の納品は12月末までにお願いして、発注書は1月末納品で起票してありました。

これが間違えの元です。

私の説明が不足していたのでしょう。

A社の担当者は12月末納品を目指して、それはそれはがんばったそうです。
そして、社長にも12月納品で見込みを報告し、当然、そのような予算組みをしていたわけです。

そして、今日。

今週はじめから納品物の受入検査は実施していて、こちらが指摘した不具合も速攻で対応してくれて、めでたく「OKだね」ということになりました。

「納品書を提出してもよろしいですね」

ちょっと、待った、発注伝票は1月末だぜい・・・

ということで、A社の社長(歯に衣着せぬモノいいが気持ちよい人)は「おいおい、うちの若い衆のがんばりをどうしてくれるんだ?なぜ、今月納品じゃないんだ?」

弊社の課長は「伝票どおりです。」
(伝票見てないの?)
というわけで、A社の社長さんは怒ってしまいました。

そもそも、瑕疵担保を取っておきながら、なぜ翌月のテスト完了まで拘束するような注文を出す?そんなにうちの会社が信用できないのか?


説明しますと、
弊社でも納品後のテストや本稼動に立会いを求められることは多々あります。
でも、これが納品後(=売上後)だと原価計算上の作業が完了しているので、発生した費用を処理できないんですよ。
3月末納品で、4月本稼動というケースだと、4月に稼動立会いをした費用を、期末の決算完了したあとの原価計算にもぐりこませることができなくなってしまって、往生することになるんです。

というわけで、立会いが予定されている場合には、立会い完了後を商流の売上日とするんですね。

ま、これが納得いかないというので、話は平行線なんですが。
張り切って「売り上げよう」としていた若き担当者のモチベーションの低下が一番頭にきたようなんです。(この社長のそういうところが好きなんだけどね。)

担当者が「今月中に売り上げるぞ」という勢いだなあとは、私も感じていたので、その時点で「水を差す」というか注意喚起しておけば良かったんですが・・・
今となっては何を言っても遅いですね。

というわけで、結構好きな外注先だったA社と、取引が減っちゃうかなあ?と凹んでいる次第です。