誰でも自由なこころで 時代小説「かもうな」掲載中

江戸時代の仙臺藩髙橋家に養子に入った治郎の生涯を愛馬のすず風を通して描いた作品です。時代考は本当に大変でした。

春告知草も咲き 桜はそろそろ 楽しみです。(二)

2023年03月25日 21時05分21秒 | 日記

奥州一之宮 塩竈神社にて

                   雪月風花とは申しますが、こちらでも花の季節がもうすぐ訪れます。

                   

 

 

 

 

 


かもうな すず風 第二之巻(七)

2023年03月25日 11時14分19秒 | 日記

青葉城恋唄 さとう宗幸 YouTube

かもうな

すず風 第二之巻(七)

   治郎は確信している。人も馬も互いに信頼し合うが、馬の人への信頼は命を賭しての

   信頼だ。人は裏切るが馬は決して人を裏切ることはしない。だからこそ人は馬を裏切

   ってはならない。

   宝暦二年(1752)二月しては珍しく暖かく、すず風に乗馬して東六番丁を通ると白馬

   に乗った同じ歳くらいの青年に出会った。この辺は五百石取り以上の屋敷が多く、大

   き薬医門から見える屋敷杜も堂々たるものであった。

   あの若侍は誰だろう。

   それにしても白馬に朱漆の三懸(さんがい)とは見事なものだ。

   しかも弓手(ゆんで)に手綱、馬手(めて)に四尺位の棒を抱えている。

   じっと見つめている治郎にその若侍が気づいたのか、白馬の若侍は治郎に向かって軽く

   会釈した。治郎は慌ててすず風を止め会釈を返したが、我ながらそのぎこちなさに恥じ

   いるのだった。

    参)騎乗の場合、自分より格上の武士に出会ったら馬を止め馬上から会釈するのがこの時代の礼儀であった。

   これが治郎にとって宿命の出会いになるとは未だ知るよしもない。

    参)三懸とは、馬の顔や胸(胸懸)、尻(尻懸)の飾りを総称して三懸という。

                 ・・・続く・・・

青葉城本丸御殿図